0-知的生産の技術

考える場所と、考えを貯める場所 あるいはEvernoteとアウトライナー

最近のEvernoteは「ワークスペース」を目指しているらしい。

  • 書く
  • 集める
  • 見つける
  • 発表する

こうした4つの機能を担うツールになる、というのがその意味のようだ。

集める場所、書く場所

さて私は、膨大な量のネタをEvernoteにストックしている。それは思いつきのメモであったり、Webスクラップでありと形はさまざまだ。その形がさまざまなものを「えっと、どこに保存しようかな」なんて考えることなく記録できるのがEvernoteの優れた点であるのは、今更言うまでもない。

そして、それらを必要に応じて発見できるのもEvernoteの長所だ。集めるだけ集めて見つからないのでは意味がない。

私はEvernoteにネタを集め、それを見つけて、文章を書き始める。

別のエディタを使って、だ。

小さな文章ならCotEditorでそのまま書き始める。今こうして書いている文章もそうやって生まれている。少し大きめの文章になると、アナログノートでアイデアを膨らませたり、アウトラインで項目を立てたりもする。

何をしているのか?

考えているのだ。

書くという行為には考えるという行為がバックボーンにある。書く前に考えるを終わらせる人もいるし、書きながら考える人もいるが、どちらにせよこの二つは不可分だ。

しかしながら、一口に「考える」と言ってもその実体は一つではない。多様な思考アプリケーションの複合体こそが「考える」という言葉が指し示すものだからだ。本来ここは慎重に切り分けて話を進めていかなければいけない。

が、時間もないことなので一つの実例を示してお茶を濁そう。

ちょっとした小話

今月の電子書籍の企画は何にしようかな、とふと私は思いついた。もう6日なので、そろそろ企画に着手しなければいけない。とにかくアイデアを整理しよう。私はクラウド型アウトライナーであるWorkflowyにアクセスした。すでに存在していた「プロジェクト」の下にパタパタと新項目を立てていく。

screenshot

なんとなくこれかな、というアイデア(という名の思いつき)はすでにいくつかあった。それを並べていく。ここにある項目ならば、砂漠に浮かぶオアシスの蜃気楼ぐらいには全体像が思い浮かぶ。すぐにでも着手できそうだ。

screenshot

でも、他には何かないだろうか。

screenshot

私はそう思い、別の切り口のアイデアを思考の溝から拾い上げる。思いついた3つの項目がもう一つ下の階層に並んだ。どんな本になるのかはまったくわからないけれども、これはこれで面白そうだ。

screenshot

そうして一回目のブレストが終わりを告げた。

階層と機動力

こうした作業を行うとき、もし項目がすべて同一階層に並んでいたら、すごく脳が気持ち悪い。

screenshot

私の中で上の三つと下の三つは違ったカテゴリだからだ。しかも、上の三つに比べ、下の三つは若干「弱い」感じがする。だから実例の方の階層構造がぴったり来るのだ。

もちろんEvernoteにもリストを表現する機能はある。フォーマットからリストを選択すれば、お馴染みのナカグロ付きリストが作れる。じゃあ、Evernoteでも良いのかというと、そうは行かない。

たとえば考えを進めていって、最終的に「R25の知的生産」をテーマとして選んだとしよう。その際、アウトライナーならひょいと項目をドラッグすればそれでよい。格上げ、というやつだ。そして、そのままその下にタスクやらネタを書き込んで行ける。

Evernoteの場合、ノートの中でこれをやると、新しいノートの作成や新規ノートブックの作成が必要になる。ちょっと手間だ。そして、その手間はあまりいただけない。アウトライナーが(Evernoteに比べて)機動力がある、というのはこういう意味である。

「じゃあ、はじめから一項目一ノートでブレストをすればいいんじゃないのか?」

そう思われるかもしれない。たしかにそれだと新しいノートの作成の手間はなくなる。が、代わりに階層を掘り下げていく機能を手放すことになってしまう。違ったカテゴリであっても一列に並べなければいけないのだ。それもまたいただけない。

さいごに

ツールには目的があり、その目的に適した機能が選択される。そして、「考える」ためには、考えるためのツールが必要だ。さらに言えば、「考える」にもいろいろある。

Evernoteとアウトライナーが一つに融合する夢を、私は抱いてはいない。きっと外部アプリケーションとの連携でうまい具合に着地してくれるだろう。

が、それはそれとしてEvernoteの機動力をあげることはまだまだできると思う。「選択したテキストをタイトルにして新しいノートを作成し、相互にノートリンクを貼る」とか「水平線が入っている部分でノートをスプリットする」とか、実装できそうな機能はいろいろ思いつく。そして、きっとそれに適した「考える」もまた存在すると思うのだ。

▼拙著:

EVERNOTE「超」知的生産術
EVERNOTE「超」知的生産術 倉下忠憲

シーアンドアール研究所 2011-02-26
売り上げランキング : 62572

Amazonで詳しく見る by G-Tools

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です