執筆法

大きなお城と宮殿 あるいは読書メモの効用

『数学文章作法 推敲篇』にこんな一文がありました。

文章は大きな構造物ですから、通読して文章全体の現状を把握することがとても大切です。

ぱっと連想したのは、「大きなお城」と「記憶の宮殿」の二つ。

私が本を書いているとき、頭の中にお城ができていく感覚があります。できていく、というか作っているのは私なんですが、感覚として大きくて(たぶん)立派なお城が概念のメタファーとして立ち上がっていきます。これについては、あとでもう少し考えましょう。

「記憶の宮殿」については、以下の記事をご覧ください。

記憶力を底上げする「記憶の宮殿」の作り方

文章という大きな構造物、記憶の宮殿、これになにかあと一つ要素を加えたら、おいしいカレーができそうな気がするのですが、今のところノーアイデア。

では、「大きなお城」のお話に戻りましょう。

組み立てる

構造物のたとえとして、建物で考えてみます。

小さな建物を作るのと、大きな建物を作るのは、似ている部分はあるにせよやっぱり違いがあります。最近のコンビニは工場で作った部品を現場で組み立てて、はい完成! みたいな工法もあるようですが、もちろんそれはコンビニが小さな建物だからです。10階以上のビルを同じようには作れないでしょう。

逆に、犬小屋みたいなものは、そのまま買ってくることができます。あるいは切った木材に適当に釘を打っても、(見た目はともかく)機能する犬小屋を作ることは可能でしょう。

140字のツイートを生み出すことと10万字の文章を書き上げること。

含まれている作業に共通点はありますが、140字のツイートを1000回繰り返したからと言って、それが構造物としてしっかりとした文章になるわけではありません。

材料と設計図

さて、建物を建てるためには何が必要でしょうか。

まずは、材料です。

材料は木を切り出して木材に仕上げたり、出来合いの木材を買ってきたりもできます。あるいは、あらかじめ完成したパーツ(机・テーブルなど)をそのまま設置することもできるでしょう。別の家で使っていた柱を切り取って持ってくることすら可能です。

ともかく、材料がなければ始まりません。

では、材料があれば万事OKかというと、微妙なところです。おそらく設計図が必要でしょう。

小さな犬小屋ですら、「おおよそこんな形になるであろう」というイメージがないと組み立てることができません。大きな構造物であれば、耐震を考慮した緻密な設計図が必要でしょう。

では、緻密な設計図があれば万事OKかというと、これまた微妙なところです。

設計図は書いたものの、それに必要な材料が綺麗に揃うとは限りません。ときには、目の前にある材料を制約条件にして設計図をあらためる必要もあるでしょう。どうしても材料が少なければ、10階建てではなく、8階建てに変更する。そういう現実的な対応が必要です。

文章の素材

構造物としての文章に話を戻します。

文章は何からできているかというと、文です。その文は単語と文法からできているわけですが、話を簡略化するために、それについては考えないでおきましょう。

文が組み合わさって文章になる。

では、その文はどこから出てくるのかというと、もちろん私たちの頭の中です。思考の宮殿みたいなところにトコトコ出向いていって、宝物庫から使えそうな木材をゾロゾロと運び出してくるのでしょう。あるいは、他の人の宮殿に行って何かを借り受ける(引用する)こともできそうです。ただ、あんまりその数が多くなると、テセウスの船問題にぶつかるので注意が必要です。

文章をすばやく組み立てていくためには、宝物庫にある木材は、切り出したままの状態であるより、ある程度使える形に整形されていた方が良いことが推測できます。しかし、細かく整形しすぎるのも考えもの。一度割り箸サイズに分割してしまえば、大きな柱としては使えません。扱いやすい適度なサイズというのがあるのでしょう。

これはインプットの話をしています。

何かしら本を読み、感銘を受ける。それはそれで素晴らしいことですし、きっとその後のアウトプットにも何かしら影響を与えます。ただ、構造物を組み立てることを考えると、何かしらの形でその「感銘」を切り出しておいた方が良いのかもしれません。それがつまり、読書メモの効用、ということです。

さいごに

配置についても書こうかと思いましたが、字数のリミットがやってきてしまいました。

たぶん、この話はアウトラインにも関係してくると想像します。

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