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「先輩、ドラッカーってどれから読めばいいんですか?」と尋ねられたら

Posted on 2014 年 12 月 22 日2015 年 2 月 9 日 by Rashita
Tag:
  • 読書好きの先輩

Inheritance:「先輩、なんかオススメの本ありますか?2」


 昼休み。ハムの入ったサンドイッチを一口頬張り、カフェラテをゴクり。至福のひととき。さっそく本の続きに取りかかる。
 さいわい休憩室には誰もいない。喫煙所があるのに、非喫煙者のための休憩所がないのは不公平だ! という謎の抗議の声でできたこの休憩所は、予想通り誰も利用者がいなかった。なにせ、椅子と机しかない。手持ちぶさたを満喫したい人にはぴったりだが、残念ながら忙しく働くビジネスパーソンにそんな暇はない。食事ついでにカフェに出かけた方が遙かにマシである。
 そうして、この休憩所は読書家の憩いの場となった。この会社では私と、もう一人。たぶん総務部の若い女の子。黒縁の眼鏡をかけ物静かで、バルザックとかサマセット・モームとかを愛読していそうな__いつもブックカバーをかけているので実際に何を読んでいるのかは知らないが__あの女の子……
「あっ、先輩。ここにいたんですね! めっちゃ探しましたよ!」
「そういえば、君もいたね。忘れてたよ」
「何のことですか?」
「こっちの話だよ」と私は言った。どうやら私の読書時間はここで終わりらしい。「で、ご用件は何だい?」
「それがですね、だいぶ前に先輩に勧められた『プロフェッショナルの条件』をようやく読み終えたんですよ。んで、チョー感動しまして。これはもっとこのドラッカーさんの本を読まないと!って思ったんですよ。で、ちょっくら本屋に行ってみたらですね。これが、もう山ほどあるんですよ。ドラッカーさんの本」
「彼は精力的な執筆家だったからね。10や20じゃきかないだろう」
「そこで、先輩にどれから読めばいいのかを訊こうと思いまして!」
じゃーん!という効果音でも聞こえてきそうな勢いだ。「ようそこ、なんでも読書相談室へ」と私は苦笑しながら答える。
「ちゃんと御礼はしますよ。ジョジョ園のフルコースでどうですか?」
「えらくリッチだね」
「ボーナスさまさまです」
「そういうのは親御さんに返しておくべきものだよ」と私が言う。彼はほとんどわからないくらいに顔を歪め、その後大きな笑顔を浮かべて「そうですね!」と答えた。私はカップに手を伸ばし、カフェラテをズルズルとすする。
「まあ、私も全部読んだわけじゃないけど、いくつか紹介はできると思うよ」
「お願いします」

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「君が『プロフェッショナルの条件』の自己啓発的な部分に惹かれたのなら、これを手に取ってみるといい。一種のワークブックになっている。知識は知っているだけじゃ意味がないからね。それを行動に移すための教習が必要だ。この本はそのためのトレーニングを提供してくれる」
「学校の勉強で言うところの、ドリルみたいなもんですか?」
「ちょっと違うけど、その方向の理解でおおよそ間違っていない。とにかく自分の手を動かすことが肝要だよ」

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「逆に、ドラッカーの観察者・分析者としての力惹かれたのなら、この本だ。”マネジメント”に関する要素が凝縮されている。本当は赤本の三冊を熟読できればいいんだけども、まずはこの一冊でいいと思う」
「でも、”マネジメント”って、経営者っていうか偉いさんの領分じゃないんですか?」
「たしかにマネジメントはマネジメント層の仕事だよ。でも、マネジメント層だけの仕事でもない。とりあえず、私に言えることは、もう一度『プロフェッショナルの条件』を読み返してみること、かな。この本を読んでから再読してみるのもいいかもしれない」
 ふむふむ、という感じで彼はメモをとる。

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「もし、ドラッカーという人物そのものに惹かれたのなら、この本がきっと面白い。タイトル通り彼の自伝集だ。ドラッカーの思想が、どのようなバックボーンから生まれて来たのか。彼がどのような経歴を積んできたのか。そんなことが語られている。プライベートな話もずいぶん出てきているよ」
「魅力的な人物だったんですかね?」
「さすがに直接会ったことがないから、それはわからないよ。優れた著作を記す人間が、ひどく愚劣である、という例も珍しくないしね。でも、彼の人生もまた興味深いものがある。それは保証するよ」
 なるほど、という感じで彼は頷いた。

 昼休みも終わりが近いので、彼は仕事帰りに本屋に寄ると言っていた。不思議に思い「Amazonとかで注文しないのかい?」と尋ねると、「なんか、こう圧倒されないんですよね。ビビッとこないというか。それがつまんなくて。まあ、どこで買っても一緒ですねよね。本は逃げていきませんし」と答えが返ってきた。
 前半には同意できるが、後半には同意できない。でも、私はそうだねと頷いておいた。教えられることもあるし、教えられないこともある。
 サンドイッチのビニールと空のカップをポケットにつっこみ__ここにはゴミ箱すらないのだ__、私は休憩所を後にした。少しだけ暖められた空気が、誰もいない部屋の中に漂っている。たまには遠くの書店に行ってみるのもいいかもしれない。

▼読書好きの先輩シリーズ:
「先輩、なんかオススメの本ありますか?」と尋ねられたら
「先輩、なんかオススメの本ありますか?2」
「先輩、村上春樹のオススメありますか?」と尋ねられたら

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