5-創作文

でんでんコンバーターでスタイルを変更する方法(アルテさんと僕)

「今日は、でんでんコンバーターで作成する電子書籍のデザイン変更について説明するわ」
「デザイン変更?」
「そう。たとえば文字を太くしたり、行間を詰めたり、フォントの指定を変えたりといったこと。使うのはCSSよ」
「しー・えす・えすって何でしたっけ?」
じと目で僕を見つめるアルテさん。
「EPUBファイルの構成回のときに説明したわよね。もう忘れたの? それともその脳には入ってなかったの? こじ開ける? こじ開けてグリグリ突っ込む?」
「い、いえ聞き覚えはあるんです。でも、曖昧だったんで、一応」
「まあ、曖昧なままわかったフリするよりもマシね。じゃあ、ちょっと復讐してみましょうか」
「アルテさん。誤字ってますよ」
「あらそう。でも、いいんじゃないかしら。フロイト先生によると言い間違いや書き間違いは深層意識の表出らしいから」
「ちょっと、目が怖いですって。はい、次からはちゃんと覚えてますから、その目つきを止めてください」
「冗談はこれまでにして」
あれが…冗談の目つきだと……。
「CSSとは、カスケーディング・スタイル・シートの略ね。ウェブページのスタイル、つまり見た目を指定するための一種の様式と考えておけばいいかしら。もちろん賢い君のことだから、EPUBがxhtmlファイル、つまりウェブページベースで構成されていることは覚えているわよね」
「ええ、それはもちろん。そこのところはしっかり説明を受けましたから」
よろしい、とアルテさんは満足そうに頷く。
「そこで、EPUBの見た目の指定にもCSSが使われます。CSS自体はそんなに難しくないから、詳しい話は割愛するわ。尺の問題もあるしね。また別の回で改めてということで」
メタ発言だよ…。
「さて、でんでんコンバーターで作成する電子書籍のデザインを、自分好みにカスタマイズしたい場合には、3つ方法があります」
そう言って、びしっと3本の指を立てるアルテさん。
「1つ目が、CSSファイルを準備して、テキストファイルと一緒にアップロードする方法。王道中の王道ね」
指が1本折られる。
「2つ目が、テキストファイルの中にあらかじめCSSを書いちゃう方法。オススメする方法ではないけども、変更箇所がちょっとしたものなら一番手っ取り早い方法かもしれない。たとえば、本の中の一箇所だけを特別な行間にしたいとか、そういう場合ね」
なるほど、と僕が頷く。そしてさらに指が1本折られる。
「3つ目が、完成したEPUBの中にあるCSSファイルをいじっちゃう方法。外道の法、というわけではないけど、若干マニアックね。でも、こうした方が効率がよい場合もあるわ」
「どんな場合ですか」と僕は素直に尋ねる。
アルテさんは残った1本の指をくるりと回した。
「でんでんコンバーターは、シンプルさを追求した仕様になっているから、一緒にアップロードできるCSSファイルが1つに限定されているの。たいていの場合はこれで問題ないのだけれども、たとえば全体は縦書きで、章の扉ページだけを横書きにしたい、といった場合に対応できないの。そういう作り込みをしたい場合は、EPUBファイルの中身をいじる必要があるわね」
「ということは、初心者レベルでは気にしなくて良い、ということですね」
「まあ、そうなるわね」
コクリと、アルテさんは頷いた。
「まずは、CSSファイルのアップロードから始めてみるのがいいかしら。どうせ、これからもCSSファイルとはお付き合いしていくことになるでしょうから。作り方を覚えておいて損はないわ。普通のテキストエディタがあれば、誰にでも作れるから、あとは書き方を覚えるだけ」
「なるほど」
「で、習うには倣え! の精神で早速取りかかってみましょう。「Downloads」に、標準のスタイルシートが準備されているから、これをダウンロードして改造しちゃうのが簡単ね」
「標準の、というのはどういうことですか?」
「このCSSは、でんでんコンバーターにCSSファイルをアップロードしなかったときに適用されるものなの。開発者の方が、綺麗に見えるスタイルをあらかじめ準備してくれているわけね。逆に、自分で何かのCSSファイルをアップしたら、このCSSは適用されなくなる。つまり……」
アルテさんは、一呼吸置いて続けた。
「もし、タイトルの文字サイズを大きくしたいと思って、それだけを指定したCSSファイルをアップロードすると、標準のデザインの指定はすべて消えてしまうの。たぶん、ダサいデザインになるわね。その点には注意しましょう。そういうときは、標準のCSSファイルを変更、あるいは追記したものをアップロードすると良いわ。もちろん、スクラッチでCSSが書けるなら、それに越したことはないけど」
「スクラッチって、ゼロから作ることでしたっけ」
「そうそう、良く覚えていたわね。さすが賢い」
「……嫌みにしか聞こえないんですが」
「嫌みで言ってるんだもの」
意外に根に持つタイプである。
「とりあえず、default.zipをダウンロードして、解凍してみましょう。”vertical”と付いている方が、縦書き用のスタイルシートよ。それをテキストエディタで開いてみましょう」

(次回に続く)


本作はスピンオフ作品です。

僕とアルテさんが登場する一連の物語からのスピンオフです。

しかし、その一連の物語はいまだ紡がれてもいません。私の脳内に存在するだけです。つまり、先回りスピンオフ。史上初ではないでしょうか。

今回は、そのキャラクターに登場してもらって、「でんでんコンバーター」の使い方を紹介してもらいました。位置づけとしては、全20回あたりの15回目ぐらいですが、そもそも1回目すら書いていません。本文中にある「EPUBファイルの構成回」なるものも、空想の存在です(が、いつか書きます)。史上初ではないでしょうか。

とりあえず、近いうちに続きは書きますので、お楽しみに。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です