本を読むことが好きな人って、平均的に次の3つの制約を持っているんじゃないかと思います。
- 時間
- お金
- 場所
こういうものがあるから、「本を買いたい欲求」を十全に満たせないわけです。もちろん、すごい富豪とかは別ですよ。あくまで平均的読書ピープルについてのお話です。
でもって考えてみると、最近の電子書籍って、この制約を(ある程度は)解決してくれているのではないでしょうか。
スマートフォンで「本棚」を持ち歩けるようになり、隙間時間で読書を進めやすくなった→時間
これまで定価販売だった書籍にセールが頻繁にかかるようになった→お金
家の本棚に置けるかどうかは気にしなくてもよくなった→場所
もちろん、単純な話ではありません。スマートフォンのせいで読書時間そのものが減ってしまったということもあるでしょうし、端末の保存容量の限界なんかについても制約はあります。でも、それはそれとして、これまで存在していた制約が電子書籍によっていくつか解放された、という点はあるでしょう。
電子書籍の販売・購入に関しては、まだまだハードルはありますし、所有権の問題もこれまでの書籍の購入とは違ったものとなっています。電子書籍そのものも完璧なメディアとは言えない状況です。
その点を踏まえた上でも、上記のような制約を解決している、という点はまず評価しておくべきではないでしょうか。その評価の上に、紙の本の良さも加えてから、「本」の未来について論じられるのがバランスが良い気がします。
著名人で、リッチメンで、本の置き場所なんか困ったことがない、みたいな人ではなく、平均的読書ピープルの感覚がやっぱり大切なのではないか、と感じる今日この頃です。
▼拙著:
「本」を読むことについて |
|
![]() |
倉下忠憲
倉下忠憲 2014-12-29 |
「本」を読むことについて[増補版] |
|
![]() |
倉下忠憲
倉下忠憲 2014-12-29 |