6-エッセイ

シンデレラ、一万円選書、ジャンプ

先日のライフハックLiveshowで、シンデレラ・プランニングというサービスが紹介されていました。

ライフハックLiveshow #132「シンデレラ」

話を聞きながら感じたことは、「自分一人では絶対に開けなかったであろう扉を開けること」の面白さです。言い方を変えれば、自分を揺さぶることの大切さ、となるかもしれません。

二つの財布

人は習慣の生き物です。習慣で行動し、習慣で思考します。そして、行動の幅と思考の射程がその人が知覚する世界を決めるのです。つまり、私たちは習慣の世界に生きています。

私はずっとお安い財布を使っていました。文房具店や雑貨屋さんで980円(税別)とかで売っているような長財布です。小銭もお札もカードも入る。これで充分。と、思いながらお安い財布を何度も買い換えながら使っていました。

ある時、妻が私の誕生日に、お安い財布が20個以上は余裕で買えるブランドものの財布を贈ってくれました。嬉しかったことはたしかですが、心の5丁目の隅っこの方では「ちょっともったいないな」とも思っていたものです。

でも、実際に使ってみると、それが大きな勘違いであることがわかりました。高い物には高いだけの価値(及び機能)があるものです。たしかにお金を持ち運ぶ、という部分だけを見ればお安い財布でもブランド財布でも変わりません。でも、違いはやっぱりあるのです。そして、実際に使うという体験をしなければ、その違いについて私が知ることは無かったでしょう。

お任せで、一万円分

「店長にお任せで、一万円分の本を買う」

そんなサービスを提供している書店があるそうです。

おまかせ「1万円選書」に注文殺到 北海道の小さな書店「雑誌や新刊でなく、本を売りたい」 (1/3)(ITmedia ニュース)

そうしたなか、北海道砂川市にある小さな書店「いわた書店」で行っているのが「1万円選書」だ。1万円分のオススメの本をおまかせで頼むサービス。

私が、シンデレラ・プランニングの話を聞きながら頭に思い浮かべたのはこの「一万円選書」です。

送られてくる本は、高い確率で「自分一人では絶対に買わなかった本」となるでしょう。

そうした本を読み、楽しむ。

そうすれば、新しい著者と出会えるかもしれません。新しいジャンルと出会えるかもしれません。もしそれが起きたら、次からは自分で新しい本を開拓していけるでしょう。

すでに読書沼にはまり込んでいる人であれば、新しい著者や新しいジャンルの物色を積極的に行っているかもしれません。でも、普通の人はなかなかそうはいかないものです。それに読書沼住人でも似たような本ばかり読んでいることもありうるでしょう。習慣の世界に生きているのです。

思いもつかなかったドアを指し示してくれる存在は、新しい世界とのパイプラインとなります。

おそらく「読書好き」を増やすサービスというのは、ベストセラーを売りつけるものではなく、こういう形をしているものなのかもしれません。

スケーラブル?

ここからは空想に過ぎませんが、上記二つのサービスを眺めてみると、「自分一人では絶対に開けなかったであろう扉を開けること」をお手伝いするサービスは、もしかしたらスケールしないのかもしれません。

なぜなら、どうしても個人に寄り添う必要があるからです。「40代でこれだけは読んでおきたい10の本」みたいなリストをマスに向けて送信する、というのとはまったく違ったアプローチが求められます。個人の内側に入り込み、どのドアが開いていないのか、あるいは開けられるのを待っているのかを見定める必要があります。

あるいは膨大の量のデータベース(購入・読了・興味)とその分析が、こうしたアドバイスに取って代わりうるのかもしれません。そうなれば、スケールはありうるでしょう。

私の半分は、いやそんなことはできないだろうという情緒を抱き、もう半分は、技術的には可能ではないかと推論を立てます。今のところ、どちらも譲る気配はありません。

さいごに

新しい世界に飛び込むためには、扉を開けるだけでなくジャンプが必要です。

そのジャンプが、勇気によるものなのか、誰かに背中を押されてしまったのか、猛獣に追いかけられているのか、セーフティーネットや命綱に助けられてのものなのかはいろいろあるでしょう。

でも、飛んでみることで見える風景が変わるというのは、たしかにあります。

毎日新しい世界に飛び込むのはなかなかしんどいですが、たまに自分を揺さぶっておかないと、どんどん習慣の世界は内側に縮まっていくものです。

jump.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です