6-エッセイ

「発見の手帳」としての情報カードとブログ、あるいはshare

以下の記事を読みながら、ずっと考えていました。

価値は、増したわけではなく(iPhoneと本と数学となんやかんやと)

「セルフマネジメントについて、本を書いてください」とお願いされて、一から書き始めても、決して「マシュマロを、もう一つ」は生まれない。「こんな内容にするぞ」と定めて、書けるものではない。

この指摘は、たしかにそうだなと感じました。

セルフマジメントについての本の企画書で、『マシュマロを、もう一つ』(の内容)なんて提案できるはずもなく、そもそもアイデアすら浮かんできそうにありません。それでも、面白いと感じてくれる人がいるのだから、不思議なものです。

『マシュマロを、もう一つ』は、脈絡がなかった文章群に、文脈を与えた本です。それが理解しやすい形かはさておいて、そこには文脈がたしかにあります。一方で、はじめから文脈を想定して書いていく文章もあります。作り方はそれぞれです。

という風にまとめようと思ったのですが、ちょっとまてよ、という気持ちも湧いてきました。

情報カードの使い方

梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』では、情報カードの使い方が紹介されています。

B6サイズのカードを用い、1枚に一項目、自分なりの発見を書く。しかも、走り書きではなくきちんとした文章で。梅棹さんは、それを「豆論文を執筆する」と表現されています。当然、その豆論文にはタイトル(カードの見出し)も付きます。

そうやって日々の着想をこまめに書き付けていくと、「わたしの日常生活における知的活動の記録というようなものになっていった」と梅棹さんは書かれました。

こうした発見の手帳としての情報カードの使い方を改めて振り返ってみると、一つの気付きが得られます。

「これって、自分のブログじゃん」

と。

まとまった量の文章で、(一応)1エントリーで一つのことを書く。走り書きや箇条書きでなく、きちんとした文章で。当然、それぞれの記事にはタイトル(と見出し)が付いています。

でもって、毎日毎日ブログを更新していくと、たしかにこれは「わたしの日常生活における知的活動の記録というようなもの」になっています。

つまり、R-styleは私にとっての発見の手帳なのです。そして発見の手帳としての情報カードがより大きなアウトプットの素材になるのならば、このR-styleの記事もまたより大きなアウトプットの素材となり得るのでしょう。

そう考えるならば、『マシュマロを、もう一つ』も蓄積された情報カードから作成した本、という風に捉えられます。制作工程や編集意図に違いはあるにせよ、着想からアウトプットまでの大きな流れは同じなのです。

Aでもあり、Bでもある

気がついたのは、両義的、ということです。

私にとって、ブログの記事は一つのアウトプットです。2000字というブログ記事は平均からするとやや長めの方でしょう。そのボリューム感ある文章を日々書き出しています。完成品を作り続けているのです。

しかし、それぞれのブログ記事はこれまで作ってきたいくつかの電子書籍が示すように、より大きなアウトプットを構成する要素ともなりえます。

つまり、完成体であると共に、部品でもあるわけです。

私は別にはじめから「よしよし、後ほどこれをあのテーマの電子書籍に、こういう形でまとめてやろう」などと想定してブログを書いているわけではありません。単に、その日その日考えたことを書き、他の人にシェアしているだけです。

仮にそれをシェアしないでおいたらどうなっていたでしょうか。ありそうな推測は、私のEvernoteの中で、一義的に「情報カード」として蓄積されていく、ということでしょう。それが一定数溜まったら、電子書籍にまとめてアウトプットする。そうすれば、素材は素材、完成品は完成品ときちんと区別できます。

しかし、ひとたびそれをシェアしてしまえば、両義的な意味が添付され始めます。

もちろん、そうなるには、豆論文がミニサイズの論文であるように、着想メモもちゃんとした文章の形になっていなければいけません。そこが一つの鍵です。

シェアするからこそ

先ほどの推測を、もう少し現実的な形で修正すれば、仮にシェアしないとするならば、ここまでの「部品」はきっと蓄積しなかっただろう、ということです。

豆論文は「他の人が読んでもわかるような文章で書く」ことが推奨されていますが、ブログ記事ははなから他の人が読むためのものなのですから、当然「他の人が読んでもわかるような文章」で書くことになります。

もし、そういう動機付けが少なければ、私はこんなにたくさんの豆書籍を書いてこなかったかもしれません。というか、その可能性はずいぶん高いでしょう。「自分しか読まないけど、他の人が読んでもわかるようにきっちり書く」ことと「他の人が読むから、きちんとわかるように書く」ことを比べてみれば、どちらがより起こりやすそうかは一目瞭然です。

シェアすることが先にあったからこそ、「きちんとした形の、まとまった量の文章」が生まれた、というわけです。

さいごに

当ブログのモットーは「Sharing is Power!」ですが(知ってました?)、たぶんそれにはいろいろ深い意味があるのだと思います。シェアって思ってる以上に(あるいは思っているのとは違った形で)力があります。

これは自分で考えた言葉なんですが、その言葉に引っ張られるように思考が先の方へと進んでいくのはなかなか面白いものです。

▼話題に上がった本:

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