前の記事:一年間の「月くら」計画、無事達成しました
今回は、それぞれの本について振り返ってみます。
「月くら」計画以前
赤魔導師の白魔法レベルぐらいまでは WRM エッセイ集
倉下忠憲
こちらは一番最初に作った電子書籍。「月くら」計画ではありません。
初めての電子書籍だったので試作品みたいな感じです。内容は有料メルマガで連載していたエッセイをまとめたもの。
とにかく作ってみた一冊。2万字ほど。
一〜三弾
「月くら」計画の第一弾。
仕事術がテーマです。超初心者向けのタスク管理の技術について解説した本。
コンテンツそのものはメルマガの連載がベースですが、電子書籍を意識して、表現をそうとうシャープ切り詰めています。あと、章と章の間に、「間」を設けるために画像を入れました。
「月くら」第二弾で、エッセイ集第二弾。
メルマガで連載していたエッセイをまとめたもの、という体裁は『赤魔導師〜』と同じですが、分量が多くなっています。6万字ほど。また、それぞれのエッセイを時系列ではなく、テーマごとに「分別」してあります。画像は一切なし。
表紙はエッセイ集第一弾のカラーバリエーション。手抜きと言えば手抜きです。
280円でしたが、(昨日)250円に値下げしました。
ブログに掲載したショートショートを詰め合わせたもの。書き下ろし2編も追加。
タイトルのAllegoryは「寓話」という意味。韻を踏んでいます。
なんだかよくわからない本に仕上がったので、表紙もなんだかよくわからないイメージにしました。画像は一切なし。2万5千字ほど。
100円ですが、値上げする予定です。
四〜六弾
まるで未来からやってきたかのような WRM エッセイ集
倉下忠憲
エッセイ集第三弾。メルマガエッセイのまとめ。
8万5千字オーバーで、さらにテーマ別ではなく、時系列でエッセイが並んでいます。画像は一切なし。
300円でしたが、(昨日)250円に値下げしました。
真ん中の歩き方: R-style selection
倉下忠憲
R-styleの記事セレクション。厳選集ではありますが、「生き方・考え方」に関する記事がピックアップされています。
5万字オーバーで、記事内で使った画像をそのまま使っています。あと、常体・敬体の統一がありません。ブログ記事の雰囲気をそのまま残すために、あえて統一しない選択をしました。
また、テーマごとに記事を分類していませんが、かといって時系列でもありません。著者の意図がある配列、ぐらいの雰囲気でしょうか。
今後、表紙を変える予定です。
はじめてのコンビニ系。ご存じない方に言っておきますと、私の前職はコンビニ店長です。
明確なノウハウ集でもなし、エッセイ集でもなし、という取り扱いの難しい本です。たてつけが悪いとも言います。トータルで4万5千字ほど。章と章の間に「コラム」を設けました。画像は売り場の実例で少しだけ使っています。
メルマガの連載が元原稿ですが、構成はずいぶんいじりました。
もしかしたら、値上げするかもしれません。
七〜九弾
おそらく一番実験的要素が強かった一冊。
私が毎日のようにTwitterでつぶやいている「今日の一言」をまとめた本。名言集の体裁なので、文章がほとんどありません。それでもトータルで3万字ほどあります。
ポイントは各セクションに、別のセクションのリンクをつけたこと。それも複数のリンクをつけたこと。これによって、関連する「今日の一言」をぐるぐると回遊する読書体験が得られます。雰囲気としては、名言集+ゲームブック、みたいなものをイメージしてもらうと良いかも。もちろん、頭から最後まで読んでいくことも可能です。
エッセイ集を作ったときに、コンテンツの順番はどのように決めればよいのだろうか、という問題意識を抱えていました。明確に著者の主張を強く出すのか、あるいは時系列で自然に読んだもらうのか。『真ん中の歩き方』は、その名の通り中間を選択したわけですが、この本では一つの本の中に複数の「読み方」を準備することで、別の答えを用意しました。
100円ですが、値上げする予定です。
ブログの運営に関するノウハウ集。ノウハウ集というか、「考え方・姿勢」を紹介した本です。
コンテンツは、メルマガの連載から。トータルで3万字ほど。画像は一切なし。
本書は、二つの部(主+おまけ)から成り立っています。これがはじめての試みでした。あと、これまでの本に比べると、タイトルにキャッチーさが漂いますね。
値上げするかもしれません。
「本」を読むことについて
倉下忠憲
「知的生産」をテーマにした一冊。というか二冊。
エッセンス部分だけの通常版と、おまけ文章を付けた増補版の二種類を同時リリースしました。電子書籍なら、こうしたことは簡単にできます。通常版は2万字ほど、増補版は10万字ほどとなっています。値段も5倍程度。ちなみに、動きは増補版の方が良いです。
コンテンツは、メルマガとブログ(R-style、シゴタノ)から。違うメディアに掲載した文章を、再構成するのは非常に手間がかかる、ということを学びました。あと、当初本の構成に不備もあったので、反省の多い一冊です。
十〜十二弾
マシュマロを、もう一つ: セルフ・マネジメントのヒント集 R-style Selection
倉下忠憲
R-styleの記事集第二弾。仕事術やセルフマネジメントに関係するエントリーを集めました。
『真ん中の歩き方』と違い、五つのsectionを設けてありますが、そのsectionにタイトルを振っていないのがポイントです。やわらかいカテゴライズ、といったところでしょうか。せっかくsectionを作ったので、section間に、コラム的な文章を書き下ろしました。
トータルで8万字で、ブログで使った画像を載せています。
値上げするかもしれません。
ブログのノウハウ本。わりと、ストレートなノウハウ本です。
トータルで5万字ほど。第一部・第二部の二部構成となっています。こちらは『ドラッカーに学ぶブログ・マネジメント』の「主・おまけ」とは違い、両方が「主」となっています。第一部はメルマガから、第二部はブログからです。画像はわずかに使いました。
いずれ値上げするかもしれません。
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Evernote豆技50選 (Espresso Books) 倉下忠憲 倉下忠憲 2015-03-29 by G-Tools |
Evernoteのテクニック集。これまた純度の高いノウハウ集です。
トータルで3万字ほど。大量に画像を使っています。あと、これまでと違い完全な書き下ろしです。
私が確認したところでは、Amazonランキング22位まで行っており、発売して5日ぐらいしか経っていませんが、これまで発売したどの本よりも売れています。一ヶ月平均の売り上げではなく、トータルの冊数でナンバーワンです。
さいごに
以上、12冊(13種類)が「月くら計画」のすべてです。
自分の中で感触はあったけど、さほど動いていない本もありますし、まさかこんな……みたいな動きをしてくれる本もありました。
基本的には、時間が経てば経つほど(冊数が増えれば増えるほど)、本の売れやすさがアップしてきたような感覚はあります。個人的造語ではありますが、それを「ロングテールの外部性」と呼んでいます。
とりあえず、いろいろな本を作ってきましたし、今後もいろいろな本を作っていこうと思っていますが、ベースとなる方針は
- 紙では作れない本
- 出版社さんが作らない本
の二つです。
電子書籍が、紙では実現できない本を作り、紙の本が、電子書籍にはない要素を充実させる。
セルフパブリッシャーが、商業出版に乗らないような本を作り、商業出版は、セルフパブリッシャーに真似できないような本を作る。
この状態が維持されていれば、「あれか、これか」的二者択一ではなく、両方の本が共存していけるのではないでしょうか。個人的には、その可能性を探ってみたいところです。
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