7-本の紹介

【レビュー】荒木飛呂彦の漫画術(荒木飛呂彦)

漫画に限らず、エンターテイメント作品をクリエートしたいんだったら、読んどいた方がいいんじゃないか、ていうか読もうぜ、というテンションで推したくなる本です。

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)
荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書) 荒木 飛呂彦

集英社 2015-04-17
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目次は以下。

第一章 導入の描き方
第二章 押さえておきたい漫画の「基本四大構造」
第三章 キャラクターの作り方
第四章 ストーリーとの作り方
第五章 絵がすべてを表現する
第六章 漫画の「世界観」とは何か
第七章 すべての要素は「テーマ」につながる
実践編その1
実践編その2

「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズでおなじみの荒木飛呂彦先生が、どのようにして漫画に取り組んでいるのか。それがまるっと公開されています。もう、それだけで興味を引かれますね。

で、読んでみるとやっぱりいろいろ計算して描かれていることがわかります。いかに読者を惹きつけるのか、ページをめくる手を止めさせないか、一つの絵にどれだけの情報を込めるのか……。圧倒的です。プロの仕事です。

ほとんど間違いない話ですが、本書を読み終えるとジョジョを読み返したくなります(なりました)。「なるほど。こういう話の進め方は、こんな意図があったんだな」なんて考えながら読む漫画は、将棋の感想戦のような楽しさがありそうです。

というわけで、本書は漫画を描かない人でも、ジョジョファンなら楽しめます。

あと、漫画でなくても、「他の人の消費してもらってナンボ」なコンテンツを作っている人には__特にその初心者には、役立つ内容がわんさか盛り込まれています。もう少し言えば、具体的なテクニックだけでなく、「学び方」の姿勢が開示されているのです。

先達の作品に触れる、分析する、真似する、アレンジする……。

漫画家というのは個性を__もちろん作品の個性です__持てなければ話にならないわけですが、とんがっていたらいいかというとそういうわけでもないでしょう。読者に受け入れられるものでなければなりません。しかし、「読者受け」を狙うと個性が急速に失われていきます。

人気作品を分析するというのは、その構図をそっくりそのまま持ってくることではなく、そこに込められた意図やテクニックを分解し、さらにそれを自分用に調整して使うことでしょう。「ジョジョ」シリーズでは、それがはっきりと行われています。

本書のどこをとっても、「楽して人気作家になれる」的な話は出てきませんし、基本的にこつこつやっていくしかない(ただし天才は除く)という地味な話が続きますが、たぶんこれは本当のことです。本当のことは、案外地味な姿をしているものです。

本書を読み終えても、結局のところ自分の手を動かさないと漫画は上手くならないわけですが、作品を見る目つきははっきり変わると思います。それは大きいことです。

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