Shake!
WorkFlowyは何に使えるのか。
もちろん、リスト形式で扱えるものなら何にでも使える。買い物リスト、タスクリスト、アイデアメモ、原稿の下書き(箇条書き)、エトセトラ……。
ただ「書き終えた原稿の保管場所」としては、いまいちかもしれない。書き終えた原稿は消してしまうか、あるいはcompleteして見えなくするのが良いような気がする(もちろん、保管場所として使えないわけではない)。
二つの極を考えよう。
一つは現実世界の「もの」だ。アウトプットと言い換えても良い。それは単一である。もう一つの極は、私たちの頭の中(認識の状態)であり、それは混沌である。
私たちはその混沌から素材を切り分け、調理し、何かしらまとまりのあるアウトプットへとまとめていく。頭の中では、あれとこれとそれとが混ざり合っていたものを、「これは、あれです」と整えて、他人にわかる形で提出する。
WorkFlowyは、その中間あたり、あるいは少し頭よりのものを入れておくのに適している。そうしたものは、アウトプットのように固まりきってはいない。いつでも変化する可能性を秘めている。言い換えれば、うごめいている。じつに流動的な存在だ。
『アウトライン・プロセッシング入門』の中に、「シェイク」という概念が登場する。トップダウンとボトムアップの視点を交互に行き来するアプローチのことで、バーテンダーがシェイカーを上下に振る動作を何度も繰り返す、というイメージがあるのだろう。
「シェイク」は動詞であるが、日本語では名詞でもある。マクドナルドとかで買えるあれだ。ミルクセーキ。
そのシェイクは、飲み物なわけだが「液体よ!」という感じもしない。かといって、「固体ですたい!」という雰囲気でもない。中間的な存在だ。リキッドでもソリッドでもない。ある程度のかたまりはあるが、固まりきってはいない。シェイク。
WorkFlowyは、そうしたものをうまく受け止めてくれる。
ただし、それはWorkFlowyに保存しておけばOK、ということにはならない。シェイクというのは、やはり動詞なのだ。何もせず放置しておけば、それはいずれどちらかの極に偏りすぎてしまう。上に振り上げ、下に降り下げを繰り返すこと。それがシェイクであり、それがシェイクをつくる。
ちなみにこのイメージの面白いところは、単なる液体をどれだけ混ぜてもやっぱり液体だ、ということである。それを固体に向けて進めるためには、何かしら異質なものが必要なのだ。が、そのイメージの探求はここでは避けておく。
「頭の中がもやもやしていたら、それを書き出してみること」というアドバイスはよくある。私も賛成だ。そして、それをシェイクできると面白い。そこから何かが生まれてくるかもしれない。
脳のオーガナイズ
(第八回に続く)
▼参考文献:
アウトライン・プロセッシング入門: アウトライナーで文章を書き、考える技術 |
|
![]() |
Tak.
2015-05-07 |