0-知的生産の技術

発想技法のワークブックの形

まったく関係ないところから合いの手を入れたら、なんと拾ってもらえました。

20年後のアイデアの本のあるべき姿(を発想法の大家からいただきました): 石井力重の活動報告

いろいろ思うところがあるので、ちょこっと書いてみましょう。

ちなみに、ちょうどシゴタノ!で「『発想法の使い方』でアイデアと身近になってみる」という記事を書いたのですが、ものすごくたまたまです。こういう不思議なタイミングの巡り合わせもあるものです。


以前『ハイブリッド発想術』を読んだ方から、「この本をベースにしたワークブックがあったらいいですね」と言われました。たしかにそのとおりです。ノウハウを解説した本を買って読んだのはいいけれども、結局それを実践しなかった__これは少々寂しい状況です。そして、よくある状況でもあるのでしょう。

もし『みるみるスイングが上達する本』みたいなのを読んだら、やっぱりそれを参考にしながら素振りをしてみるでしょう。ノウハウの知識は、実践に移されてナンボです。加えて、ゴルフと違って発想は打ちっ放しにでかける必要がありません。日々の生活の中で、身の回りにある道具を使って行えます。やろうと思いさえすれば、敷居はずっとずっと低いのです。


発想は、脳のごくありふれた機能の一つでしかありません。そして発想法は、高度な技術というよりは、ある種の方向性を持って脳を使う、というだけの話です。自動車をF1カーにしなくてもよいのです。たとえば、速度を落とさなくてすむコーナーのライン取りを覚えたり、燃費の良い運転方法をマスターするのに近いかもしれません。つまり、ちょっとしたことなのです。

乱暴な表現を許容すれば、それは誰にでもできます。

しかし、最初に紹介した記事にあるように、ノウハウ本を読んだ後に実行するかどうかは読み手に委ねられています。そこが一番大切であるにも関わらず、です。この問題は、一応ノウハウ本の著者としてはいつも思い悩むところではあります。


ごくシンプルに考えれば、「発想のワークブック」を作ればよいのでしょう。受験勉強で言えば、教科書ではなく問題集を作るわけです。それで、実行部分についての補佐は大きく前進するでしょう。

しかし、完全とは言えません。受験勉強を振り返ってみても、問題集を大量に買い込んだはよいものの、結局ほとんど真っ新なまま、という体験は笑い話になるぐらいありふれたものです。きっと、「発想のワークブック」でも似たようなことが起きるでしょう。やる気がある人にとっては役立つものではありますが、そうでない人を「何とかする」ものにはなっていません。

だとすれば、どのようなコンテンツ・デザインが役立つでしょうか。

一つは、インタラクティブなコンテンツです。電子書籍でページをめくりつつ、途中で問題がでる。そこに何かしらでも書き込まないとページがめくれない。こういう形式であれば、発想の強制はいくぶん力を持ちます。これも完全とは言えませんが、重い腰を上げてもらう効果ぐらいはあるでしょう。


その思索をさらに進めると、以前私が書いたSF系妄想に飛んでしまうので、そこは打ち止めとして、現状の技術で何ができるかを考えてみると、「発想技法+問題+物語+対話」というコンテンツを作ることが思いつきます。

登場人物に感情移入してもらうことで、本に登場する問題をあたかも自分の問題であるかのように捉えてもらい、そうした上で発想のトリガーを引く。そして、作中にはそのためのヒントをちりばめておく。

基本的に発想は受動的なもの__考えようと思って進めるのではなく、情報に感応して連想が進むもの__なので、物語に発想の触媒を埋め込むことができるかもしれません。もちろん、それがどんなコンテンツになるだろうかは、私にはまったくわかりませんが。

ただ、この問題は上の記事の最後で触れられていた「選択肢としてのアイデアをたくさん出す、という行為を至って普通の、誰にでもできる行為を習慣化するにはどうすればよいか」という問題とも関わってくるでしょう。


発想の習慣化については、また別の回に改めて考えたいところですが、それはそれとして習慣化を行うためには、「最初に一回行い、その後に何回か繰り返す」ことが必須です。「これを習慣化しよう!」と思いついたら習慣にできるわけではなく、結局のところ、行為を繰り返し、そこにプラスのフィードバックが発生することで、脳にそのルートが刻まれる、というプロセスをすっとばすことはできません。

とすれば、「最初の数回の試行」と「プラスのフィードバック」をいかに与えるのかが、考えるべき問題ということになるでしょう。もちろん、これは簡単な問題ではありません。そんなことが簡単にわかるなら、世の中の社員教育は驚くほどスムーズに進んでいることでしょう。

が、それはそれとして「発想技法+問題+物語+対話」のコンテンツの形については、ちょっとじっくり向き合ってみたいと思います。もし、そんな本があったらアンビリーバボです。ほんとに。

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