7-本の紹介

【レビュー】なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?(上阪徹)

『なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?』という本を読みました。

なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?
なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか? 上阪 徹

あさ出版 2015-05-25
売り上げランキング : 8017

Amazonで詳しく見る by G-Tools

※献本ありがとうございます。

コンビニの店舗運営ではなく、本部の商品開発がテーマなのですが、興味深いお話がいくつもあります。特に、新商品開発とデータのお話が面白いです。

たとえば、フルーツサンドイッチ『あまおう苺のサンド』の開発者さんの言葉として、次のような文章が出てきます。

「もちろん、売れるのか、コストは、といった、いろいろな裏付けは重要です。しかし、裏付けばかりを気にしていたら、チャレンジはできなくなる。世の中にある、ありきたりのものしか出てこなくなる。新しいものは生まれません」

データによる裏付けは、やはり欠かせないものでしょう。とんちんかんな商品開発を連発していたのでは、経営もままならなくなります。しかし、確実に売れるものしか作らなくなってしまえば、言い換えれば、必ず売れるというデータの裏付けがないと新商品開発に踏み切れないようでは、新しいものは生まれてきません。

新しいものとは、これまで存在していなかったものであり、それはつまり、まだデータが存在していないものです。真にイノベーションな商品は、市場そのものを開拓しますが、開拓される前の市場を調査することはできません。

データによる裏付けがなければスタートが切れない__そんな状態ならば、今すでに存在している市場で勝負し続けるしかないわけです。ブルーオーシャンは遙か彼方です。

データが生み出したもの

もう一つ、面白いお話を。

低糖質の『ブランパン』シリーズは、発売当初はあまり数が売れなかったようです。コンビニの棚は、圧倒的な回転率で商品が入れ替わるので、数の売れない商品は、必然的に淘汰されてしまいます。普通に考えれば、『ブランパン』シリーズもそうやって消えていくはずでした。

しかし、現実はそうはならなかったのです。

一つには、お客さんから問い合わせの電話が殺到したこと。もう一つは、購買行動データの分析により、リピーターの大きな支持を得ていたことがわかったこと。つまり、「売れる力」を潜在的に持った商品であることが確認されたわけです。そこから、継続的な商品のブラッシュアップが行われ、また、そうした購買データの「裏付け」を加盟店に提示することで、発注を促す動きも生まれました。

たとえば、5000店舗のお店があるチェーンで、各店舗がパンをたった一個しか発注しなければ、どう頑張っても最大の売り上げは5000個に留まります。あるお客さんが、実は2個も、3個も買いたいと思っていても、棚に並んでいなければ買うことはできません。よって売り上げも伸びないのです。

ここからわかることは、各店舗の発注者が「この商品は売れる。よし、大量に発注しよう」と思うのか、それとも「う〜ん、とりあえず新商品だから1個だけ入れとくか。SVもうるさいし」と思うのかによって、実際の「売り上げ規模」も変わってしまう、ということです。

なので、商品本来の力とはまったく別の因子によって、その商品の「売り上げ規模」が動いてしまう可能性があります。しかし、データを見ればどうでしょうか。

一日一個しか売れていなくても、毎日来店してくれるお客さんが買ってくれているとしたら、あるいは同じお客さんが買ってくれているとしたら。そんな商品であれば、別のお客さんも買ってくれるかもしれない__発注を伸ばしてみようと思う動機付けが、そうしたデータによって生まれてきます。

コンビニのこれまでの販売データはPOSデータだけだったので、ここまで詳細な分析は不可能でした。しかし、Pontaの導入によって、それが可能となったわけです。

おわりに

二つのお話は、ある意味で対照的です。

片方は、データだけをアテにしていたら飛躍はできないことを示しています。

もう片方は、データがあったからこそ陽の目を見た新商品がありました。

ようは、どのようなデータを、なんのために使うのかが重要なのでしょう。別の言い方をすれば、データの先に何を見据えているのか、というのがポイントになってくるのだと思います。

これはコンビニの新商品に限らず、データとの付き合い方として示唆的ではないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です