3-叛逆の仕事術

目に飛び込んでくる刺激とその解釈__『マシュマロ・テスト』を読み込む 第一回

書評記事でも書いた通り、しばらく『マシュマロ・テスト』を読み込んでいく。

マシュマロ・テスト:成功する子・しない子
マシュマロ・テスト:成功する子・しない子 ウォルター・ ミシェル 柴田 裕之

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本来こうした企画はメルマガのBizArtsで行うべきなのだが、現状別のテーマで盛り上がっているので、当ブログで展開していきたい。

マシュマロ・テストの詳細やその周辺的な事柄については一切省略する。興味のある方は本書を直接ご覧頂きたい。

さっそくはじめよう。

マシュマロ・テストの条件変更

実験では、いくつもの条件が変更された。たとえば、報酬でもらえるマシュマロについてどう考えるのか、という点だ。

この仮説を検証するため、実験者は一方の条件では部屋を出る前に、もっちりして甘いマシュマロの味という、ご褒美のホットで欲求をそそる魅力的な特徴を考えるように子どもたちを促した。一方、「クールに考える」条件では、マシュマロのことを丸くふっくらした雲だと考えるように促した。

結果、どうなったか。「クールに考えた」子どもたちは、ホットに考えた子どもたちの倍待つことができた。もちろん、広告業界はこんなテストをしなくてもそのことをよく知っている。

面白いことに、マシュマロを目の前にした子どもに、プレッツェルについてホットに考えるように促すと、やっぱり待つことができた。これが示唆することは興味深い。何かがワクチン的に機能することを予感させる。

また、楽しいことを考えている子どもと悲しいことを考えている子どもでは、前者の方が長く待てる。私たちの感情と決断には、どうやら関係があるらしい。

他にも条件を変えた事例がいくつも紹介されている。重要なのは以下の点だ。

とはいえ、その力は刺激そのものが持っているのではなく、その刺激が頭の中でどのように評価されるかで決まる。したがって、それを頭の中でどう思い描くかを変えれば、本人の感じ方や行動が受ける影響も変わる。

どれだけ美味しそうなマシュマロでも、その子どもが虫歯の真っ最中ならば誘惑に引っ張り込まれることはないだろう。つまり、マシュマロを目にしたら、何が何でも食べたくなるわけではない。大人であれば、有名な評論家が「マシュマロは健康によくありません。こんなデータが出ています」などと言っているのを聞いた後であれば、マシュマロを食べたい意欲は減退しているだろう。

感じ方を変えることが、行動を変える。

おそらく「測るだけダイエット」が行っていることもそれに近しいのだろう。目の前に美味しそうな食事がある。食べればきっと満足できるだろう。ただし、それを食べれば体重が増える、ということが毎日体重計に乗ってグラフをつけていると実感としてわかるようになってくる。つまり、感じ方が変わってくるわけだ。

おそらく「タスクシュート」を使い続けることによって生じる変化も、この辺りに共通点がある。何かに時間を使うと、後々の自分がどうなるのかがわかってくるのだ。

排除できないパターン

そもそもとして、目に入ってくる刺激を排除できるならば、それにこしたことはない。隔離された状態であれば、わざわざクールに考える必要もないだろう。集中して作業するために、ある時間帯はTwitterに接続できないようにする、というのがそうしたアプローチだ。

が、そうしたアプローチが必ず使える、というわけでもない。また、Twitterに接続できなくてもFacebookに接続してしまう可能性はいつだって残っている(別に他の何かでも構わない)。

つまり、戦略の引き出しには、刺激を排除できない状況に対応できるツールも必要なわけだ。

さいごに

一つ言えることは、自制心とはピンク色のカバだけを目にしながら、ピンク色のカバのことを想像しないように我慢する、といったものではない、ということだ。それを自制心だと考えていたら、あらゆる試行が失敗に終わるだろう。いわゆる無理ゲーというやつだ。

目を逸らす、気を逸らす、別のことを考える、別な風に解釈する。

そんな風にして、水の流れを変えていくことで、ついやってしまう行動をとらないようにしていく。

決して、激流の前に立ちふさがり、「僕は流されません!」と壁のように構えたりしてはいけない。当たり前のように流されてしまう。挙げ句の果てに、自分は流されたかったんだと思ってしまう。このあたりの「結果から動機を修正する」も脳のやっかいな(あるいは素晴らしい)性質の一つなのだが、それについてはまた後ほど触れることになるだろう。

とりあえず、もうしばらく「クールに考える」について考えてみるとしよう。

第二回に続く)

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