たまにはゲームの話でも。
奇妙なブロック崩しです。なにせ制限時間が30秒しかありません。
だったら、壊せるブロックなんて限られてるんだから、つまんねーだろ、と思われるかもしれませんが、そうではないのです。
本ゲームでは、ブロックを壊すとお金がもらえます。このゲーム内のショップで使えるお金です。ショップでは、それぞれボール、オプション・ボール、レーザー、バーに関するパワーアップアイテムが販売されています。それを購入すると、威力やサイズやらが向上するのです。
すると、どうなるか?
同じ時間でも壊せるブロックの数が増えます。となると、手にできるお金の金額も増え、また新しいパワーアップアイテムを購入でき……と、ぐるぐる循環が回っていくことになります。
でも、フィールドにあるブロックには限りが……。
心配ご無用。一定数のブロックを破壊すると、世界が一段階拡がります。何を言っているのかわからないと思いますが、Googleマップでひゅっと視点の高度を上げた状況をイメージしてください。当然、その先には新しいブロックが待っています。
という風に、ボールや自機を成長させ、どんどん新しい世界へと歩みを進めていく、というのが『Breaker』という少し変わったブロック崩しの基本です。
思ったこと
一つ面白いと思ったのが、「30秒」という制限です。これはスマートフォンで遊ぶゲーム、というのが強く意識されているのでしょう。
普通ブロック崩しと言えば、上達すればするほどプレイ時間が長くなるわけですが、時簡に追い立てられる私たちにそのような精神的余暇はあまりありません。でも、30秒ぐらいだったらちょっとやってみようかな、という気がしますね。しかしながら、結局何回もやっちゃって5分くらいは軽く過ぎてしまうわけですが。
また、ゲームデザインで言うと、プレイヤーが何度も繰り返すことがきちんと折り込まれています。「新しい世界へと歩みを進めていく」と言っても、ゲームスタート時は毎回同じ箇所(一番小さい世界)から始まります。何度も繰り返せば、やっぱりそれは飽きてきますね。
しかし、このゲームでは、ボールやら自機やらをパワーアップさせると、初期の部分はほぼ1秒ぐらいで通過できます。というか、操作の必要すらなく、ただ見ているだけです。これはレベルアップの爽快感も生み出していますし、またレベルアップしたのに初期箇所で操作をミスして死んでしまう、という「つまらない」状態も避けることが可能です。
プレイヤーが「ブロック崩し」を頑張るのは常に最前線の箇所であって、それ以前のステージは無双シリーズをプレイしているかのような感覚で駆け抜けていけるのです。
これも30秒というゲーム時間の制約があったからこそ生まれて来たデザインなのでしょう。
最後に、広告設計のお話。このゲームは無料なのですが、パワーアップアイテムを現金で購入することができます。一気にレベルを10上げてしまうアイテムが各120円、そして各種アイテムのレベルアップ詰め合わせが360円。高いのか安いのかはわかりませんが、一つ言えるのは、これらは単に時間的ショートカットでしかない、と言う点です。
ゲームをプレイしてコツコツお金を貯めて……、というやや面倒な行為を省略するためであって、「現金を通してしか入手できないアイテム」を手に入れるためではないのです。
さらにもう一つ、ゲームが終了するとたまにお宝箱みたいなものが提示され、それをクリックすると広告動画が流れてきます。最後まで見終えると、ゲーム内のお金が手に入ります。この金額も実にうまくデザインされているのですが、だいたいそのレベルで十数回プレイしたぐらいの金額が提示されるのです。結局これも、時短のためなわけです。
私はこうしたゲームで意識的に広告動画をクリックしたことはありませんでしたが、実に不思議なことにこのゲームでは何度も広告動画を見ています。
その理由を考えてみると、第一にこれらが「ズル」ではない、ということがあります。現金を支払うことや、広告動画を見ることだけで手に入る強力なアイテムを使ってゲームをクリアしてしまうと、何となくゲーマー的罪悪感にかられてしまいます(もちろん、個人の感想です)。しかし、このゲームではこれらは時短でしかありません。「あと十何回かやれば、同じ結果にたどり着く」ものを、少し早めに手にしているだけなのです。だから、広告動画を見ることに対する拒否感は生まれてきません。
さらに言うと、広告動画はどれも30秒以下です。つまり、プレイ時間(30秒ですね)と同じか、それよりも短いのです。ここで不思議な対比が出現します。1プレイ時間か、それよりも短い時間で、十数プレイ分の報酬が手に入る。こんな比較をしてしまえば、お得にしか見えてきません。もし、この対比が出現しなければ、広告動画を見る時間など無駄なもの余計なものと認知されてしまうでしょう。なにせ時間は貴重なのです。
しかし、限定的な対比によって、あたかも広告動画を見るのがお得なように感じる心理的フレームが発生してしまうのです。
もちろん、これは私だけの話かもしれませんが。
さいごに
一応クリアがあるゲームだと思うので、作業時間が無限に吸い込まれてしまう、ということはないとは思いますが、一日やり込んだ私でも、以下の順位であることを考えると、忙しい人は手を出さない方が賢明かもしれません。
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