以下の記事を読みました。
WorkFlowyの構造・文章の構造・意味の構造 | 単純作業に心を込めて
WorkFlowyと文章がそれぞれに持つ、見た目と意味の構造について書かれた記事です。
まず、WorkFlowyの構造と文章の構造は、深さの次元で大きなちがいがあります。WorkFlowyの階層構造には深さの次元がありますが、文章には深さの次元がありません。
たしかにアウトラインを操作できるWorkFlowyには深さの次元があり、全ての要素がフラットに並んでいる文章にはそれがありません。
もちろん、それはあくまで「見た目」の問題です。で、私はちょっと思ったわけです。
こうした文章を「目にする」とき、私はどのように読んでいるだろうか、と。
見た目の奥にあるもの
たしかにそれぞれの要素はフラットに並んでいます。その意味で、どの段落であっても、見出し行であっても、意味づけ・重み付けは変わらないはずです。
でも、本当のところはどうなんでしょうか。
私が文章を書く人間という前提を踏まえておいて、もっと言えば、見出し(Headerタグ)を使って文章を書く人間という前提を踏まえておいて考えてみると、どうやら私は上記のような文章をフラットには「見て」いません。そこに階層構造を読み取っています。
ただし、これは非常にややこしい問題です。「読む」という行為には意味の解釈が加わるので、純粋には「見た目」だけの問題とは言えません。しかし、仮にH3のタグのスタイルが、通常のPタグとまったく同一であるならば__悪夢のようなスタイルです__、私はそれをフラットに「見て」いそうな気がします。
言い換えれば、H3タグが「見出しレベル3っぽく」装飾されていることが、「見た目」的な階層を与えているのではないか、ということです。
中間的な
このことは、MarkDownを使って文章を書くと、より体感されるかもしれません。
### 見出し3
見出し3の本文
#### 見出し4
見出し4の本文
このように文章を書くとき、それぞれの要素はフラットになっていますが、擬似的に階層構造が視覚化されています。
ただし、それはアウトライナーの階層ほど直感的ではありません。「文章と見出しが持つ構造の約束事」を知っているという前提によって成り立っています。
よって私は、「アウトライナーと文章は同じである」みたいな乱暴なことを言いたいわけではありません。むしろ、逆です。
CSSで
HTMLは意味を、CSSは表示を担当します。だからCSSにがんばってもらったらどうなるでしょうか。
つまり、以下のような文章の表示を、
意味的な構造にフィットさせて、
のようにするのです。
文章の方をアウトライナーに近づけてもいいですよね。別に__という乱暴な発想です。
ただし、これが読みやすいのか読みにくいのかはわかりません。それには「慣れ」の問題が大きく関わっています。慣れが小さければ、情報処理のパワーがより必要とされ、読みにくさをもたらします。逆に慣れてしまえば、ぱっと文章の意味的構造を捕まえやすくなるかもしれません。
どちらにせよ、これはH3タグやH4タグを「見た」ときに、私が脳内で行っていることとほとんどイコールなはずです。
さいごに
ちなみに、「構造とは何か?」という一番難しい問題は避けて通りました。
本稿では「意味的な骨格」ぐらいの感触で使っていますが、結局それも「意味的な骨格とは何を意味するのか?」という問いには答えていません。情報と情報の関係性の体系? それもまだしっくりきません。が、その議論はまた別の回に譲りましょう。
とりあえず、一つ言えることは、知的生産の道具というか考具というかインフォメーションをオーガナイズするツールというかは、まだまだこれから発展の余地がありそうだ、ということです。エディタやプレビュアーにしてもきっと新しい形があるでしょうし、アウトライナーも__機能の複雑化とは違う__進化があるでしょう。
でもって、その進化の方向は、私たちが脳内で情報をどのように処理しているのか、という知見に寄り添う形になるでしょう。その意味で、「私たちが脳内で情報をどのように処理しているのか」というのは、探求してみる価値が高そうです。
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