時事ニュース

日本での義務教育中の職業訓練

少し前になるのだが興味を引いた記事があったので備忘録的に引用しておく。

英ブラウン政権、ニート対策で義務教育を18歳まで延長へ(読売新聞)

英国のブラウン政権は6日、イングランドでの義務教育修了年齢を現行の16歳から18歳に引き上げる方針を明らかにした。

 国家元首のエリザベス女王が同日、英議会で同政権の施政方針演説を行い、表明した。通学も就労もせず、職業訓練も受けていない若者(ニート)への支援が狙いで、若者の1割に上るニート対策を強化することになる


ニート対策として、義務教育を16歳までから18歳までに引き上げるというものである。
はてさて、これには効果があるのだろうか。

たとえば日本では高校は義務教育ではないが限りなくそれに近い状況である。
多くの学生(あるいは親が)がとりあえず高校くらいはと進学する。
そのまま大学に進学し、就職活動、失敗、フリーター、ニートという道のりもあるだろうし、高校でドロップアウトそのままニートというのもあるだろう。
すくなくとも前者のパターンは義務教育を2年のばしただけではほとんど何の意味もない。

まあ日本だけではないだろうが、ニートの形というかそれまでの成り行きというのはいろいろなパターンがあるだろう。仕事が見つからないままやる気をなくしたとか、社会に一度出てみて肌が合わず退社そしてそのままニートというのもあるだろう。こんなところでは語り尽くせない形の「理由」が存在していると思う。

このロンドンの2年間義務教育をのばすことで、単純に学生の数は増える。学生の間はニートとは呼ばないので、数は減少する、というまああまり意味の無い施策というのとはちょっと違う。
義務教育の中で職業訓練ができる、というのが一つの大きなポイントではないだろうか。日本のフリーターにしてもそうだが、職業訓練を受けていないから、しかるべきところの仕事に就けない、という状況がある。気にくわない仕事を気にくわない労働環境で行えば当然やる気というものに悪影響を与えてしまう。
その部分へのてこ入れとしてこれは結構大きな意味を持つのではないか、そういう気がする。

働くナビ:フリーターの経験は評価されるか。(毎日新聞)

企業は、フリーターに厳しい目を向ける。厚労省の調査では、フリーターであったことを「マイナスに評価する」と回答した企業が30・3%に上る。「影響しない」も61・9%あり、「プラスに評価する」はわずか3・6%だった。マイナス評価とする理由(複数回答)では「根気がなくすぐ辞めそう」(70・7%)、「責任感がない」(51・1%)、「職業意識の教育が必要」(42・6%)などが並ぶ。企業のフリーターに対する固定観念の強さがうかがえる。

多くのサービス業でフリーターが重宝されているというのに、正社員として雇うとなるととたんに冷たい視線を浴びせる。こんな状況が続いている。その上あまり積極的にそれを変えていこうという意志みたいなものも政府からは見えてこない。
問題の本質は、職業訓練をしていないから職業訓練の場がないという悲惨な悪循環である。

改正最低賃金法、成立へ…与党・民主が合意(読売新聞)

最低賃金法改正案の修正は、都道府県で異なる地域別最低賃金の水準について、「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう」という文言を追加した。政府案よりも、最低賃金の引き上げ幅の上積みが期待できるという。

政府はあくまで最低賃金の底上げでフリーターが何とかましな状況になってくれれば、という対応しかできていない。というかしようという意志がない。これはかなり深いレベルまで入り込んだ日本社会の雇用体系の問題である。

フリーターにしろニートにしろ社会で働くこととについて、制度と現状がうまくかみ合っていないというのが大きな原因ではないだろうか。そこにメスを入れない施策ではおそらく点滴を打ったほどの効果しか無く、本質的には問題を先送りしているだけである。
最低賃金を上げれば、当然フリーターの収入は上がるが、当然雇用する側の負担が増える。それを税制上補ってくれるならまだしも、不必要なリストラを招くおそれすらある。
おそらくそういうことを理解していても、それ以上の行動に出ることができない、というのが政府の本音なのかもしれない。
これは問題が入り組みすぎている。

「少年家庭省」創設提言へ・教育再生会議(日本経済新聞)

現行の子供や家庭の問題に関する機関では、法務省が所管する少年鑑別所、厚生労働省が所管する児童相談所、文部科学省が所管する教育委員会などがあるが、連携不足が問題となっていた。再生会議では縦割り解消に向けた少年家庭省のほか、子供の権利保護や紛争解決のための少年家庭審判所(仮称)の創設検討も打ち出す。

11月の5日に出された教育再生会議では子どもの問題に関する縦割り行政を一括に管理する「少年家庭省」なるものの設立について議論されている。おそらくこれは作られないだろうし、作られても機能しないだろうと思う。おそらく各省庁が譲り合わない、というのが目に見えた結論だし、もし設立されたとしても形だけのものになってしまうだろう。
しかし、本格的に各省庁が人材と情報を出し合ってこの問題に取り組むとなれば、今よりはもっと現場的な対応もできるようになるかもしれない。

実際、日本においてフリーター・ニートなどの問題も厚労相文科省などが関わって結局どういう方向に導いていくのか、という大きな指針が立てられていないし、もし立てたとしてもうまく機能しないのは上と同じ理由だ。

しかし、本当に危機感を持ってこの問題に向き合うなら、「少年家庭省」のように、殺陣の行政を超えた取り組みが必要であると思う。
英国のように義務教育に職業訓練を入れるというのは今の日本ではかなり難しいであろう。職場体験というのが各地域で行われているようだが、コレはそのレベルの話ではない。学校の中に厚労相の得意分野をつっこんで行かなければならない。

その様な行政の対応が日本でできるのか、疑問ではあるが、少しは期待したい。

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