7-本の紹介

【レビュー】日経ビジネス アソシエ2015年11月号 

手帳術特集ということで購入。

実は、あまり買う気はなかったのだが、アヨハタさんのブログを見て気が変わった。

毎年はりきって手帳を買うけどすぐ挫折する現象について名前を誰かつけてください | アヨハタブログ – 電子書籍、出版のことを主に書いてるブログ –

「毎年はりきって手帳を買うけどすぐ挫折する現象」は、日本社会に普遍的に見られる現象なわけだが(大げさではないだろう)、そこにはいろいろな理由がある。でも、簡単に言ってしまえば「続けないから、続かない」のだ。

別にバカにしているわけではない。記録というのは、蓄積できてはじめて価値を持ち始める。手帳を持ち始めて3日目の人と、1000日目の人では、一つの記録に対する価値の感じ方が違うのだ(※)。
※3人しか登録していないSNSと1000人も登録しているSNSを比べるような感じだ。

だから長く続けた人は、誰に言われるでもなく記録を続けていく。そこに価値があると、しっかり実感しているからだ。

ここにギャップが存在する。

たとえば、手帳術特集に刺激されて、手帳を書くモチベーションが上がったとしよう。そして、手帳に記録を付け始める。しかし、当初のモチベーションはいずれ沈下し、やがてゼロになる。そのとき、彼(あるいは彼女)の手に残っている記録は、まだ育ち始めた雛のように脆弱なものだ。そこに価値を見いだすのはまだ難しい。よって、記録の習慣は途絶えてしまう。

すると、記録を継続するためには記録を継続しなければならない、というどうしようもないアドバイスが飛び出てくるわけだが、だからこそ「毎年はりきって手帳を買うけどすぐ挫折する現象」が日本中で普遍的に見られるのだろう。なかなかやっかいな問題なわけだ。直線的な解答では、まず解きほぐせないだろう。

脱線しすぎた。

アソシエ2015年11月号の特集は「一年が劇的に変わる!手帳術 2016年 完全版」で、全部で5つのPartに分かれている。

Part 1 私が”紙の手帳”を使い続ける理由
Part 2 のぞいてみたい プロフェッショナルの手帳
Part 3 目的別”強化手帳”の作り方
Part 4 まだまだある! 手帳の使い方
Part 5 ニーズ別「最新手帳カタログ」

Part 1では3人の社長に手帳の使い方をインタビューしている。それぞれ個性的な使い方なのだが、ちょっと思ったことがあった。

デジタル・クラウド時代に、わざわざ手書きの手帳を使うことの意味とは何だろうか。この話は、拙著『ハイブリッド手帳術』でも触れた。スケジュール的なものはまったくGoogleカレンダーで問題ない。でも、それだけでは足りない何かがあるのだ。

で、手帳における重要なものを考えてみると、やはりそれは「見返すこと」に尽きるわけだが、実はそのバックグラウンドとして「書くこと」が存在していることに気がつく。そして、それが案外に大切なのだ。

何かを書くためには、まずその対象に注意を払う必要がある。

たとえば、毎日の日経平均の終値を手帳に書き込んでいたとしよう。とすれば、平日は日経平均の終値を毎日目にすることになる。記録をつける人はたまに見なかったり、あるいはまったく見なかったりする。極端な言い方をすれば、記録をすることでインプットの方向性が変わることになる。

さらに、そうしたものを書き写すためには、ごく短い時間であっても、それを頭に留める必要がある。いわゆる短期記憶(作業記憶)だ。もちろんそうしたものの大半はすぐさま消え去っていく。でも、長期記憶の入り口が短期記憶にあることを忘れてはいけない。そうして短期記憶に入れたものの0.001%くらいは長期記憶に残る可能性が出てくる。大げさな言い方をすれば、脳が(あるいはそのニューロンネットワークが)変わってしまう__なんてことも言えるだろう。

この効果は、何かのデータを書き写すときだけに起こるものではない。

たとえば、考えたことを書き留める際には、微量でも「自分との対話」が発生する。自分の感情や考えといったものと向き合う必要があるのだ。手帳に何かしらを書きつけるとき、そこでは黙考の時間が進んでいる。私たちが現代で簡単に手放してしまっているあの時間だ。

そしてもちろん、以上のようなことは「見返すこと」でも強化される。

さいごに

どの手帳が良いのか、というのはもちろんカジュアルに楽しい話なのだが、それはそれとして「何を書くか・どう書くか」は結構おおきな問題である。それは引いて見れば、「どんな時間の使い方をしているのか」ということに直結している。

手帳を使えばスケジュール管理によって効率的に時間を使えるようになる、という話だけでなく、そうして記録する、記録を見返すという習慣そのものが、一つの時間の使い方であり、そのことが私たちに影響を与えているのだろう。

▼拙著:

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