7-本の紹介

【書評】決してマネしないでください(蛇蔵)

タイトルだけみると、何の漫画なのかまったくわかりませんが、その実体は科学実験漫画です。現在二巻まで発売中。

理系大学を舞台に繰り広げられる、ちょっぴり甘酸っぱい恋愛ストーリーと、奇想天外な科学のお話というイチゴ大福みたいな奇妙な__それでいて美味しい__組み合わせ。第一話一コマ目の主人公のセリフで、私はぐいっとツボを押されてしまいました。

「僕と貴女の収束性と総和可能性をiで解析しませんか?」

なんじゃそりゃ。この世にそんな告白の仕方があったとは想像もしませんでした。まあ、告白された方もチンプンカンプンでしょうけれども。

しかし、科学のお話はチンプンカンプンというわけではなく、奇妙な実験を通して面白く語られています。

というかですね。今「面白く」と書きましたが、基本的に科学の話って面白いんですよ。物質の性質やその振る舞いは、分厚い学術書を読んでようやくたどりつける学問的真理とかではなく、ごく普通に私たちの日常に頻繁に出現しているものなんで、距離を置く必要なんてぜんぜんありません。すすーっと近寄っていけば、気まぐれな猫みたいに遊んでくれるところがあります。

あと科学の話も面白いですが、科学史の話も面白いです。なんといっても、そこには人間が関わっています。

皆さん、ご存じでしたか。これまで地球上に存在してきた科学者のすべては人間なのです。彼ら(彼女ら)ひとりひとりに人生があり、動機があり、情熱があり、失敗があり、栄光があり、転落があるのです。でも、教科書を読んでいるだけでは、あんまりそういうことってわからないですよね。実にもったいない。

一度でもそうしたものに視点を向けてみると、意外な面白さが発掘できると思います。サイモン・シンの著作なんかは、そのあたりが絶妙ですね。

というわけで、理系の方もそうじゃない方も、なかなか楽しめる漫画だと思います。あと、子鹿のゾンビちゃん、最高です。

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