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「MemoFlowy」はWorkFlowyにおけるFastEverではない

Posted on 2015 年 12 月 7 日2017 年 4 月 30 日 by Rashita

「新しいアイデアは、狭間から生まれる」

というのは、誰でもない私の言葉なのだが、わりと良い線をいっていると思う。

さて、先日紹介した(参照)iPhoneアプリの「MemoFlowy」を使っていて、ちょっと思うところがあった。

MemoFlowy
カテゴリ: 仕事効率化, ユーティリティ

もしかしたら、このアプリは、新しいメモアプリの萌芽ではないのか。今回は、そんなことを書いてみたい。

MemoFlowyのおさらい

まず確認しておこう。「MemoFlowy」はクラウドアウトライナー「WorkFlowy」と連携するアプリだ。WorkFlowyをもっと便利に使うアプリと言ってもいいだろう。

ユーザーがアプリを起動すると、ごく普通の入力画面が立ち上がる。そこでペシペシメモを入力し、ボタンを押してWorkFlowy画面へと移動する。そのタイミングでクリップボードに入力した項目が保存されているので、あとはそれを適当な場所にペーストするだけだ。

WorkFlowy画面で表示される項目は、あらかじめ指定しておけるので、何かしらinbox的なものを作っておくのが一番ありそうな使い方だろう。

一見すると、これはスマートなやり方ではない。別の言い方をすると、あまり「ライフハック」的ではない。だって、ペーストするなんて「機械的」な手順を人間が行っているのだ。非効率である__と、少なくとも私は考えていた。

WorkFlowyにはAPIがないので、いやおうなしに、仕方がなしに、こういうやりかたになっていると思っていた。いや、実際に実情はその通りなのだろう。が、どうやらそれだけではなさそうだ。

少なくとも、「MemoFlowy」は、Evernoteにさっくりメモを送れるFastEverとは違っている。下位互換といったことではなく、別の思想を持つツールなのだ。

二つのタイプのメモツール

ここでまず、メモツールの俯瞰を行ってみよう(話が大げさになってきた)。

メモツールの最大要件とはなんだろうか。「即座に入力できること」__同意してくださるだろう。入力までにもたもたしてしまうツールは、はっきりいってメモ用のツールには向いていない。メモは、言葉通り即座に取らなければならないのだ。

そこで普段持ち歩けるような道具がメモツールとして使われる。ここではそれをごく簡単に二つに分類してみる。一つが「メモ帳」であり、もう一つが「FastEver」だ。全然違うものを対比させているようだが、あくまでこれらは代表的な名前を持ちだしているだけであって、重要なのはその形式である。

では、その形式とは何だろうか。

まずは「メモ帳」だ。小さい綴じノートをイメージしてもらえればいい。使用者はそれを取り出し、最新のページを開いて、思いついたことを書き込む。特に難しいことは何もない。問題は、「最新のページ」へのアクセスに多少の時間がかかってしまうことだろう。しおり紐を併用することで、そのアクセスタイムを短縮させることは可能であるが、決してゼロにはならない。

つまりこのタイプのメモツールには「書き込む場所はどこか?」を探す時間が必要となってくる。

では、「FastEver」はどうか。これはEvernoteと連携する素晴らしいメモツールで、「ツールを立ち上げたら即座にメモできる」が基本的なコンセプトだ。書き終えたメモについては、巨大な個人データベースであるEvernoteに送信される。

FastEver – 素早く簡単にEvernoteにメモ
カテゴリ: 仕事効率化, ユーティリティ

「FastEver」では、メモ帳に付きまとっていた「書き込む場所はどこか?」を探す時間は必要ない。書き込もうと思った時、すぐに書き込める。この利点は大きい。
※ちなみに、今代表例として「FastEver」と書いているが、たとえばちぎり取るタイプのメモ帳もこちらに分類できることに留意していただきたい。

では、メモは「FastEver」タイプに限るのだろうか。「メモ帳」に出る幕はないのだろうか。そんなことはない。

「メモ帳」が持つメリット

「メモ帳」は、書き込み始めるために、最新のページを探さなければいけないデメリットを持っている。それはメモという行為においては若干不利だ。

しかし、意外なメリットもある。それは、「過去の書き込みが目に触れること」だ。これは私が常々メモ帳やノートや手帳を使っていて感じるメリットである。

「メモ帳」タイプのメモでは、思いついたことを書き込むというアウトプット的行為を行う際に、過去自分が書いたメモを目にするというインプット的行為も付随して行われる。もちろん、メモ帳に書き付けるときに、必ずしも過去の書き込みをちゃんと「読む」とは限らない。それでも「目に触れる」効果は馬鹿にできない。

書き留めるメモは、たいてい後から自分で使うために書くものだ。言い換えれば、一時的に紙に情報を預け入れ、必要なときに紙から引き出すため使う。脳にあったものを紙に設置し、それを(読むことで)再び脳内に戻す、というのがメモの役割なわけだ。比喩的に言えば、着想銀行である(利子が付くかは知らない)。

よって、どこかしらの(メモを書いたタイミングよりは未来の)時点でメモを見返す必要があるわけだが、「メモ帳」では、書き込むタイミングでそうした行為が発動しやすい。

これは「FastEver」では決して起こりえない現象だ。ちぎり取るタイプのメモ帳で、書きっぱなしになってしまう人が多いのもこのためだ。

だからこそ、「inbox」というシステムがあるわけだが、それが機能する人と機能しない人(もう少し言えば、習慣化できる人とそうでない人)がいる点は現実である。

再びMemoFlowy

「MemoFlowy」に戻ろう。もう一度、このアプリの動作を確認する。

まず、ユーザーはアプリを立ち上げ、そこにメモを書き込む。

IMG_6452

そうして入力したものを、画面移動してWorkFlowyに貼り付ける。

IMG_6453

IMG_6454

どうだろうか。まずメモ入力画面では、「即座に入力する」という、「FastEver」タイプの動作が実現している。そして、その後貼り付ける画面で「過去自分が書いたメモを目にする」という効果も発動している。

ここでの例では、WorkFlowyの「inbox」に貼り付けているので、私の目に入るのは、「少し前の自分が書いたこと」に限定されるが、それでも効果はゼロではないだろうし、別の場所に貼り付けることを選択すれば、また別の「過去自分が書いたメモ」を目にすることになる。

つまりこれはなんだろうか。

instant-inbox

ようはこれは「インスタントinbox」なのだ。

「inbox」は、「とりあえず集めておいて、その後行き先を判断する」プロセスを実現するためのシステムだ。重要なのは、「集めること」と「判断する」のプロセスを分離する点にある。思考をそれぞれ最適な場所に配置すること。それがinboxの要点だ。

MemoFlowyは、「書き留める」ことと「配置する」ことのプロセスが分離されている。しかも、一つのアプリ内で分離されている。

その意味で、「MemoFlowy」が実現しているプロセスは、(パーマネントではなく)「インスタントなinbox」である。

どういうことかというと、「MemoFlowy」に書き込んで、それを配置するその瞬間だけ、メモの入力画面がinbox的な振る舞いをするということだ。通常のinboxとの違いは、MemoFlowyそのものに次々と保存することはできない、という点にある。保存するためには、WorkFlowyに配置しなければいけない。だから、「インスタントinbox」である。

話がややこしいのは、WorkFlowyにも「inbox」(こちらはパーマネントなもの)を作成できることだ。「とりあえずWorkFlowyのinbox項目に貼り付けておいて、後で時間をとって適切に振り分ける」ということが可能である。というか、それが想定されている。

ただ、その見方に限定してしまうと、「MemoFlowy」はWorkFlowyにおけるFastEverとなってしまう。でも、実際はそうではないのだ。このツールの立ち位置(あるいは役割)は、「メモ帳」でも「FastEver」でもない。インスタントなinboxを発生させる、いわば第三のメモツールである。

さいごに

たとえば「FastEver」でも、メモを書き込み、その後送信先のノートブックを選択する、ということは可能だ。しかし、「そのノートブックに入ってある過去のノートを見ながら」選ぶことはできないし、自分が直近で書いたメモを目にすることもない。

「メモ帳」のたとえを持ち出せば、そのメモ帳のインデックスは参照できても、直接書いてある事はわからない、ということだ。この違いは、触診とMRIぐらい違う。

よって、一つのことが言えると思う。それは、仮にWorkFlowyのAPIが開放されても、「MemoFlowy」は独自の存在意義を持ちうるだろう、と。

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