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路上ライブとブログと編集スキル

『ブログを10年続けて、僕が考えたこと』の中で、私は次のように書きました。

とあるブロガーさんが、こんなことを言いました。

「呼吸するように、ブログを書きたい」

実に印象的な言葉です。心の奥に届きそうな言葉です。私はこの言葉を聞いて、こう思いました——自分とぜんぜん違うな、と。

できることなら、私は歌うように記事を書きたい。そんな風に考えています。

ブログを10年続けて、僕が考えたこと
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「呼吸するようにではなく、歌うように記事を書きたい」

2016年のブログ界隈では、青臭さを通り越して滑稽さすら感じられるかもしれませんが、長らく続けている私の中ではたしかなこだわりの一つです。

しかし、よくよく考えてみると、「歌う」にもいろいろあります。

その場で

私が「ブログ」と「歌う」で連想するのは、路上ライブです。

アカペラ、あるいはせいぜいギターを一本だけ持って歌いあげる。もちろん、そのまえにちゃんと練習はしてきているものの、一発本番だし、音響やら何やらもぜんぜん足りていません。でも、だからこそ宿る力というものが路上ライブにはあります。また、アーティストの距離感みたいなものも、ぐっと近くなるでしょう。

こういうのが、私の中でのブログっぽさに相当します。

しかし、路上ライブだけが「歌う」ことのすべてではありません。

スタジオで

もう一つ、イメージできる「歌う」が、CD作りです。

レコーディングスタジオに入り、きちんと録音して、しかも音響調整の手が入ります。そのため60分ほどのアルバムを作るのにも、数ヶ月以上の時間がかかりますし、幾人ものプロが関与することも珍しくありません。一つのフレーズを、気に入るまで何度も録音し直すことだってあるでしょうし、録音を使わないと表現できないような音楽効果(一人の声を多重に重ねるなど)もCD作りでは可能です。

同じ「歌う」(=歌を聞き手に届ける)という行為でも、路上ライブとCD作りには大きな違いがあります。必要なスキルも違いますし、結果として出てくるものも違います。もちろん、それぞれに良さがあるわけです。

で、ブログと路上ライブの対比を、CD作りに持ち込めば、その相手は「本を書くこと」になります。

1時間で読み切れるような本であっても、一ヶ月以上の制作時間がかかりますし、幾人ものプロがそこに参加します。ブログなら、まいいかでスルーしてしまうような緩い表現も、本の文章となればキリキリと推敲を重ねます。なぜならば、それはお金を取る商品であるからですし、それ以上に何度も読まれることを想定しているからです。

さいごに

路上ライブで感動したアーティストでも、アルバムを買ってみるとなんだか物足りない、ということは十分ありえそうです。良いアルバムを作るためには、演奏スキルに加えて音源作りのスキルが必要だからでしょう。

たぶんこれは、「ブログ」と「本」についても言えそうです。少なくとも、私の中ではこの二つは上記のようなイメージの違いとして切り分けられています。

「ブログ記事」と「本のページ」は違います。それを変換しうるのが、編集という行為であり、スキルでもあります。

逆に言えば、ブログ記事は路上ライブ感覚で良いとも割り切っています。もちろんそれはそれで勇気(と練習)がいるわけですが。

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