物書き生活と道具箱

物書きのロール・モデル

月刊群雛の特別号、別冊群雛2016年02月号を読みました。

別冊群雛 (GunSu) 2016年 02月発売号 ~ インディーズ作家と読者を繋げるマガジン ~
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読みたかったのは、『山珍居にて』というゲスト座談会。以前いしたにまさきさんが、藤井太洋さんと楽しい時間を過ごした、みたいなことをTwitterかFacebookに投稿しておられたので、「おいおい、その組み合わせは気になるじゃないか」と思っていたのですが、どうやらこの座談会だった模様です。しかも、林智彦さんも入っての豪華メンバーな座談会。

で、内容はもちろん面白かったわけですが、その冒頭近くで、いしたにさんがこんなことを言っておられます。

いしたに:藤井さんをそのまま真似するのはやめた方がいいんじゃ……(笑)。

まあ、そりゃそうですよね、と思ったんですが、ふと疑問も思いつきました。

一体、誰ならばそのまま真似できるのだろうか?


藤井さんはなんでもこなせる人(=多彩なスキルを持っている人)なので、そうでない人がそのまま真似してもうまくいかないだろう(そもそも真似できない)という点はたしかにそうでしょう。あこがれにはなっても、汎用的ロールモデルとしては機能しにくいわけです。

だったら、私みたいな平々凡々な物書きをロールモデルにすれば良いのでしょうか。それも難しそうです。

私はブログを中心として、有料メルマガをその下支えとしながら、商業出版といわゆるセルフパブリッシングで「出版活動」を行っています。で、これと同じことをやっている人はどのくらいいるでしょうか。

細かい点で言えば、有料メルマガを活用しているライターさんはちらほらいます。ブログを使っている人も多いでしょう。セルフパブリッシングを活動の中心に据えている人も少なからずいます。しかし、それらを私と同じ割合・意図・頻度で行っている人は誰もいないはずです。

つまり、何が言いたいかというと、誰かのやり方を「そのまま真似する」というやり方は、たぶんもう通用しないのではないか、ということです。

座談会の中では、プラットフォームとそこで機能する戦略の差異についても触れられていたのですが、現代ではメディア手段が多様になり、ニーズは複雑化しています。そして、クリエーターも様々な選択が可能となっています。

そんな状況で、「こうしておけばうまくいく」といった簡単なノウハウはなかなか成立しないでしょう。誰かが「成功」していたとしても、そこにあるノウハウをアレンジなり、取捨選択していかなければ、なかなか望む結果は得られないでしょう。

で、そうした取捨選択をどのように行うのかですが、それは自分の中にある「意図」と合致するかどうかが鍵になりそうです。言葉を大きくすれば、自分の「野望」に適するのかどうかというジャッジメントです。

文章を書くことで生きていくのか、生きていくことの中に文章を書くことを組み込みたいのか、それとも単にみんなに読んで欲しいのか。文章との関わり方はさまざまあります。

それに「文章を書くことで生きていく」ことでも、個人でやりたいのか組織に属したいのか、それとも全然違う野望があるのか。その辺については、当人にしかわかりません。逆に言えば、そこをある程度クリアにできない限り、さまざまなノウハウを自分のために役立てることも難しそうです。なにせ、数あるノウハウには逆向きのベクトルを持っているものもあるはずですので。

もちろん、使えるお金や時間・持っているスキル・動かしがたい価値感といったものも、考慮すべき制約条件になるでしょう。そして、それは人それぞれ違っています。

そんな全体像を眺めてみると、結局は、自分の戦略を自分で組み立てていかなければならないことが見えてきます。

その意味で、単純なロール・モデル、言い換えれば静的なロール・モデルは、それだけでは頼りになりません。言い換えれば、物書き一人ひとりが、自分の前の道を切り開いていく必要があるのです。


ずいぶん抽象的な表現になりましたので具体的に言い換えると、

「どうやって人気を得るのか」
「どうやって読者を得るのか」
「どうやって収入を得るのか」

は、(他人のアイデアを参考にしつつも)自分で考え、ときに自分で生み出す必要がある、ということです。それは別に物書きに限ったことではなく、現代のクリエーター全般に言えることなのかもしれません。

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