Let’s DUPLICATE!

まずはこちらをご覧いただこう。

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先日発売になった新刊の原稿データを管理していたScrivenerのファイルだ。

「5th text」までのフォルダが見える。最初に書き上げたのが「text」で、見出しを大きく修正したものが「next text」。それ以降はゲラに入れた修正を反映したものだ。逆に言えば、大きな修正を加える前には、フォルダごとコピーして、そこに手を加えるようにしている。

Scrivenerにはバージョン管理に適した「snapshots」という機能があるのだが、私はわざわざDuplicateの機能を作って、こうやって並べている。なんとなく、この方がしっくり来るのだ。あるいは前に進んでいる感じがすると言ってもよい。

先日着手したプロジェクトも、まず原稿を集めた段階を1st draftとし、そこに手を加えたものを2nd draftとした。これも5thぐらいまでは伸びていくだろう。

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「気になっているプロジェクト」の管理

話を変えよう。

「気になっているプロジェクト」を把握しておきたい気持ちがある。だから、心がもやもやしてきたときなど、中心に自分の名前を書いたマインドマップを描き出していた。そこに並んでいるプロジェクトが「気になっているプロジェクト」であり、そのマインドマップを見れば、今自分が気に掛かっていることが一望できる。

ただし、それらは「すべてのプロジェクト」ではない。そうではなく、その時点の私の注意が向いているプロジェクト群であり、できれば時間をかけたいと願っているプロジェクト群でもある。

手帳→Evernoteへのシフトを進めていく中で、このようなものもEvernoteで管理しようと思った。さすがにマインドマップを直接描くことはできないので、簡単な表組みで代用することにした。そこに「気になっているプロジェクト」を書き込んでいくわけだ。それで一覧的に把握することができる。

が、何度かチャレンジするものの、どうしても心が馴染めなかった。不便はないのだが、違和感が消えない。小さなトゲがいつまでも刺さっているような感じがする。で、結局、紙への書き出しへと戻ってしまう。時間が経ってデジタルに復帰するのだが、それでもうまくいかない。そんなことを何度も繰り返していた。

実に不思議である。手書きであれば、毎回新しく書き始めなければいけない。手間だ。その点、Evernoteの表組みであれば、修正点を書き換えるだけでいい。「気になっているプロジェクト」などそう大きく変わるわけはなく、短いスパンであれば変更点など全体の10%~15%程度であろう。圧倒的にデジタルでやった方が効率が良い。

だから私は、これは「手間の価値」なのだろうと仮説を立てていた。こうした書き出しでは手間こそが重要なのだ、と。でも、そうではないのかもしれない。

あるとき、私は気がついた。ここには時間の経過がないのだ、と。

いかにして残すのか

2016年の1月1日に、「気になっているプロジェクト」を書き出したとする。それを、2月1日に修正し、3月1日にも修正する。

そのたびごとに、そのノートは新品の顔を見せてくれる。「はい、これが今のあなたの気になっているプロジェクトですよ」と。その代わり、過去の自分の足跡はまるではじめからなかったかのように消えてしまう。

だから、そのノートはいつまで経ってもペラペラである。時間的な厚みはまったく感じられない。もしかしたら、そこが問題なのかもしれない。

そこで打開策を考えた。

「気になっているプロジェクト」で気にならなくなったもの(たいていは解決したもの)を消さなければよいのではないか。たとえば取り消し線などを付けて残しておけば、情報の時間的な厚みは増えていく。しかし、問題もある。一つには、いつそれが終わったのかのデータが残らないことだ。ただしこれはその時間を書き加えることで対処できる。が、手間の問題は大きい。

もう一つの問題は、それを1年も続けていけば、リストの量が膨大になることだ。なにせそれは増えるだけである、そう遠くない未来に項目数は膨れあがることだろう。私がやりたいのは「一覧的に把握すること」であるので、情報量が増えすぎるのは好ましくない。ということは、長期的な運用にこのやり方は向いていない。

そこで閃いた。Duplicateだ。

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週次レビューの際、私は「心に抱えているプロジェクト」というノートを開く。このノートには「list」というタグが付いており、そのタグはショートカット欄に置いてあるので、すぐにアクセスできる。

基本的にはそのノートを眺めるだけで終わる。でも、書き換えたい衝動が起きることもある。そういうときは、まず最初にそのノートの複製を作る。そして、その複製に修正を加える。

あとは、旧のノートのノートリンクを、複製したノートに貼り付け、ノートのタイトルを変更した日付に書き換えればバッチリだ。加えて、旧のノートからは「list」タグを削除しておく。これで、最新の「心に抱えているプロジェクト」にアクセスしたいときは、「list」タグから、これまでの「心に抱えているプロジェクト」にアクセスしたいときは、このキーワードで検索すれば良いことになる。

ノートリンクを辿っていけば、それぞれの時点の「私が気にしていたプロジェクト」を想起できる。時間の経過が保存されたわけだ。

そして、今のところこのやり方はうまくいっている。

さいごに

デジタルデータは複製も簡単だし、保存コストも安い。データの重複? 大いに結構。 そんなものは「冗長性コスト」と名前を付けて引き受けておけばいい。

気にすべきは「検索の混乱」だけである。そこにノイズが発生しないのなら微妙な差異しかないデータだって取り込んでも構わない。使っている自分すら気にならないだろう。でも、そうして微妙な差異のデータが残っていることで、自分の知覚や認識が変わることもある。

コストと効果。天秤の傾きは明らかである。

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