6-エッセイ

Twitter and I

3月21日、Twitterが10周年を迎えるという。

ツイッター:初ツイートから10年 – 毎日新聞
Twitterは10周年 10年の変遷や影響を与えたツイートをまとめる – ねとらぼ

私はサービス開始当初から使っていたわけではない。最初のツイートを探してみると(参照)、2009年の4月と出てくる。せいぜい遅めのアーリーアダプターぐらいだろう。

それでも、これまでTwitterを使い続けてきた。いくつものSNSが出てきたが、結局はTwitterである。きっと使い心地が良いからなのだろう。


当初はこんなに長く使うことになるとは思っていなかった。だからアカウント名も適当に取ったのだ。あっ、rashitaが取られちゃってる。う〜ん、どうしようか。何か別の名前を考えるのも面倒だな。じゃ、2をつけとけばいいか。二番目だしな。こんなノリである。で、その名前と7年近く付き合っている。世の中、何が起こるか分かったものではない。

特に自慢というわけでもないがフォローしてくれている人は5000人を越えているし、これまたまったく自慢ではないがツイート数は9万以上である。1ツイートを仮に30文字と計算しても、意味の分からない文字数が出てくる。7年の歳月をかけて築き上げた、つぶやきの山。そこに一体どんな意味があったのだろうか。


Twitterは実に不思議なツールである。

Twitterは、つぶやきである。つまり会話ではない。たまに会話になることはあるが、それは前を走っている車が自分のと同じ車種だった、くらいの確率である。基本的には、ウェブに向かって放り投げられる、パブリックなつぶやき__それがTwitterだ。

Twitterには、いろいろなものを流せる。

行動を書き込んでもいいし、考えていることを書き込んでもいい。読んだ記事を流したり、あるいは自分の作品を発表することだってできる。

もし、行動を書き込んでいくのなら、振り返ったときそれはライフログのようなものになるだろう。考えていることを書き込むなら、「発見の手帳」のようなメモ帳となるはずだ。あるいはスクラップブックやポートフォリオとしても機能するだろう。なんにせよ、それは記録である。記録の集合体である。個人のための、記録の集合体である。

気楽なつぶやきでも、それを長い間続けてみると、振り返ったときに面白いものができあがる。それはまさに手帳やノートの効能と同じであろう。私が面白いなと思うのはその点である。

実際のところ、私みたいな記録魔はどうでもいいのだ。Twitterがなければ、何か別のツールに似たようなことを書き込んでいただろう。でも、そういう習慣がない人たちでも、気がついてみると個人のログができている。これはなかなかすごいことではないだろうか。極端なことを言えば、「これぞ情報化社会」という気もする。

たとえば、私の一番最初のツイートは以下である。

買った本をメディアマーカーに登録すると、自動的に流れてくるツイートだ。そういえば、そのころはこの手のビジネス書・自己啓発書を読み漁っていたな〜、ということが思い出される。そして、この「思い出される」こそが、記録の役割である。

記録が記憶を想起する。そこから思考が生まれ、思想へと結実する。というと大げさだが、まあ何かしらのきっかけとはなってくれる。記憶だけの人生とは、また違ったものがそこにはある。もちろん、それをどう評価するのかは、個人によりけりだろうが。


それとはまったく違う話もある。

物書きにジョブチェンジして5年以上になる。これも決して短くない時間だ。そして、物書きは基本的に孤独な仕事である。もちろん、その孤独性を理解した上で(あるいはむしろ好んで)この仕事をやっている。でも、外で口にする言葉が「ブレンド1つ」だけの一日だって珍しくないのだ。そういう生活は、たぶん澱みたいなものを貯め込んでいく。

その点、微妙に他人に開かれている「つぶやき」は、良い気分転換となる。社会とのつながりを回復する。前の車が同じ車種ぐらいの確率ではあっても、楽しい会話が生まれることもある。それは間違いなく私のメンタル・ヘルスにプラスの効能をもたらしてくれていただろう。

もしTwitterなるものがぜんぜんなければ、物書きとしての私は早々とダメになっていたかもしれない。可能性の話でしかないが、可能性の話でもある。そして、この話はたぶん物書きに限定されるものでもないだろう。その効果は小さくしか見えないかもしれないが、その意義は大きい。一人の人間の、心に関係する話だからだ。それを軽んじることは、誰にもできないだろう。

というわけで、これからも私はTwitterユーザーであろう。1万字の機能が出てきても、それは変わらないはずだ。タイムラインがアルゴリズムに支配されたら? それはなんとも言えない。

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