6-エッセイ

不規則の中の規則性

ここでちょっとサイコロを振ってみよう。そうそう、紙とペンをお忘れ無く。

コロコロコロ。

5が出たね。じゃあ、その紙に5と記入して。要領は分かったかな。じゃあ、しばらく続けてみようか。

え、どのくらい? そうだな、無限回ぐらい続けようか。もちろん、無限サイズの紙とペン、それに無限の人生も必要だね。あとはよろしく。


仮にそうして作られた表があるとしましょう。無限のサイコロの試行を記した表です。

言うまでもなく、サイコロは6分の1の確率でそれぞれの目を出します。もちろん「6分の1で目を出す」というのはどういうことか、というのは深遠な問題なのですが、ここでその問題に踏み込むのは止めておきましょう。もう少し別の問題を考えたいのです。

少なくとも、そのサイコロは何の規則性も持ち合わせていません。ただ目が出るだけです。でも、その表とにらめっこすると面白いことに気がつくでしょう。

「123456123456123456123456」
「111111111111111111111111」
「135135135135135135135135」
「112351123511235112351123」

という並びがどこかに見つかります。そのサイコロが純粋にランダムで目を出し、かつ無限にそのサイコロを振っているのなら、かならずどこかに見つけられます。

その一部分を切り取り、「ほら、このサイコロは1〜6までの目が規則的に出るサイコロなんです」と主張することすら可能でしょう。なんとそこにはちゃんとしたデータも付いてきます。視野が狭い人ならば、一瞬で信じ込んでしまうに違いありません。

これは実に面白い現象です。

「不規則なものであればこそ、いかようにでも規則を見出すことができる」

この点は努々心に留め置きたいものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です