BlogArts

言いたいだけの不等式

以下の記事を読みました。

だいたい言いたいだけ。プラス何か – のきばの佐々木正悟

その倉下さんと最近、雑談しました。雑談をSkypeでやれるあたりがいまどきで便利です。その雑談の中で「ブログが読まれるかどうかを気にしているあたりからもう全然ダメで、言いたいことを言ってしまったらそれで9割方満足するべきなんです」という主旨のことをあっさり断言されて、「ああなるほどそのとおりですね。わかりました」と非常に納得し、このブログが生まれました。

こう書くと何かすごくストイックな精神でブログを運営しているように感じますが、もちろん私だってたくさん読まれれば嬉しいです。「読んでいる人が少ない方が価値がある」なんて歪んだ価値観は持っていません。

でも、「自分が書きたいから書いているんだったら、たとえたくさんの人に読まれなくても自分には納得感があるし、それがあれば周りの喧騒に振り回されなくなるのではないか」とは思っています。逆に、読まれるために書くようになると、読まれなくなったら書かなくなるんですよね。つまり継続できない。

『ブログを10年続けて、僕が考えたこと』で書いたことですが、ブログの神髄は続けることにあります。続けるとはどういうことかというと、そこに「場」を張る、ということです。自分の場所、つまり自分の声を上げる場所をウェブに生み出すことが、ブログの一つの真価なわけです。

だからこそ、必要なのは「ついつい当事者性を持ってしまうこと」をテーマにすることです。簡単言えば、「俺にもちょっと言わせてくれよ」と思ってしまうことです。あなたがガンダムが好きならば、「おいおい、そうじゃないだろう。このガンダムのストーリーは背景にうんぬん」みたいに言ってしまうことです。

世の中の情報を眺めたときに、欠落や不足を感じ、そこにツッコミを入れたくなる気持ち。それを起点としている限りは、「あんまり読まれないから、止めます」みたいなことにはなりません。

でも、話はそう単純でもないことを佐々木さんと雑談していて気付きました。世の中には、発言しちゃうとリスクを伴うことがあるからです。

つまり、

言いたいことを言いたい気持ち ー 発言のリスクを恐れる気持ち = x

のxが0より大きいとき、人は「言いたいこと」を表現します。いや、わかりにくいですか。不等式にしておきましょう。

言いたいことを言いたい気持ち > 発言のリスクを恐れる気持ち

こうですね。

ヒロイックに表現すれば、「たとえリスクがあろうとも、俺はこれを言いたい」と思うものがあるならば、それはもう言うわけです。逆に見れば、「発言のリスクを恐れる気持ち」は心的な評価であり、それが過剰に大きいと、些細なことでも発言できなくなってしまいます。

これはまあ難しい問題で、「リスクを恐れなければいい!」みたいなポジティブ原理主義に走ってしまうと、本当にヤバイことを言っちゃうわけで、それはそれでどうかと思うわけです。

でも、ちょっと視点を変えてみると、

ネットをあっちこっち読みあさってみると、案外「言いたいことはもう他の誰かが言ってくれてる」を発見してしまうわけです。

ということを発見したときに、「じゃあ、まあ、言わなくてもいいか」と思えることなら、まあ言わなくて良いんじゃないかと思います。言わないという判断ももちろん重要な判断ですからね。

ただ、「それでも俺は、細かいことかもしれないが、これは言っておきたいんだ」と思うようならば、まあ、それは発言してもいいと思います。そこには情報的価値がきっとあります(断言はしません)。

たしか以前、「ネタフル」のコグレさんが、「他の人が同じテーマで記事書いているからって気にすることはない」というようなニュアンスのことを言っておられて、私は最初「いや、そうやって似たような記事が量産されるんじゃないか」と懐疑的だったんですが、でもそういうことじゃないんですよね。つまり、「自分が好きなこと・書きたいことだったら、他の人が書いていてもまだ書きたい気持ちはあるだろ」ってことなんです。これなら理解できます。

でもそれを「他の人が書いているから、自分も書こう」となるとどうにも違った方向になってしまいます。「他の人が書いていても、自分も書こう」と「他の人が書いているから、自分も書こう」は、動機の方向性が全然違いますね。

で、まあ、結論みたいなものは何にもないわけですが、佐々木さんのブログ記事は楽しみにしております。

ほら、ここに読者が一人生まれましたよ。つまり、「価値とは見出されるものである」なのです。

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