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どっか~ん!
なぜなに”知的生産”~!
「お〜いみんな〜、集まれ〜。なぜなに”知的生産”の時間だよ〜!」
「わ〜い! ねえねえ、お姉さん、今日はどんなお話をしてくれるの?」
「今日はね、みんながとっても大好きな情報カードのお話だよ!」
「やった〜〜!」
「じゃあ、さっそく始めましょう」
(シーン切り替え)
情報カードとカード・システム
情報カードは、情報を扱うためのカードです。少し厚みのある紙で、100枚入り300円〜400円程度で販売されています(※)。サイズはいろいろありますが、5×3やB6のカードが主流です。
※最近では100円均一ショップのダイソーで100枚入り100円(税別)で発売されているものもあります。
このような情報カードを使った情報管理の手法として、カード・システム(カード法)が開発・提唱されています。個人が情報を扱うためのシステムです。たとえば梅棹忠夫の『知的生産の技術』、渡部昇一の『知的生活の方法」、板坂元の『考える技術・書く技術』などが参考になるでしょう。
またそれらの知見を踏まえ、さらにデビッド・アレンのGTD(※)の概念を取り込んだ「PoIC」という比較的新しいカードシステムもあります。
※『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』(デビッド・アレン)
このどれもが、個人の知的生産に寄与するシステムであることは発案者の業績をみれば容易に想像がつきます。
ただし、カード・システムは情報カードを使わなくても運用が可能ですし、また情報カードを使うからと言って必ずしもそうしたカード・システムに準拠しなければならないというルールもありません。この点には注意しておきましょう。
カードは何をする?
情報カードは、あなたが何かを書き込むのを待っています。前述の梅棹はカード法について次のように書きました。
カード法は、歴史を現在化する技術であり、時間を物質化する方法である。
カードという物質の上に情報を固着化し、それをストックして並べておく。そうすることで、私たちはもっと容易に情報を扱えるようになります。むしろそうしなければ、私たちは非常に狭いフィールド__短期記憶と連想が及ぶ範囲のみ__で知的活動を行わなければなりません。非常に息苦しいものです。
カードに何かを書き込むことで、そこに一つの「まとまり」が発生し、情報の単位が生まれます。それがノートではなくカードである理由は、その単位を後から操作するからです。組み替えたり、つなぎ合わせたりして新しい情報の生成を促す目的があるからです。だからこそ、それぞれの情報は独立した単位として扱われなければなりません。操作可能な、独立した単位として。
カード・システムの本質
梅棹は次のようにも書きました。
知的生産の技術としてのカード・システムは、さまざまな場面で、さまざまな方法で、つかうことができるだろう。研究の過程も、結果も、着想も、計画も、会合の記録も、講義や講演の草稿も、知人の住所録も、自分の著作目録も、図書や物品の貸出票も、読書の記録も、かきぬきも、全部おなじ型のカードでいける。
カードはこれほどの包容力を持っていますが、だからといってこのすべてを「やるべき」だという話ではありません。やりたければ、できる。それだけのことです。
ただし、以上のすべての使い方の要点は「記録しておいて、後から取り出して使う」にあります。そのためには、
- まず記録する
- 記録を同一の場所に集めておく
- 後から取り出せる形に並べる
- 後から取り出す
の4つのプロセスを経なければいけません。こうすることで記録が扱えるようになり、そしてそれこそがカード・システムの本質でもあります。
さいごに
カード・システムは、情報を主体的に移動させることが一つの特徴です。操作こそがこの方法を使う目的なわけです。
ただし、カードを使って情報を操作する、という行為にはいくつかの分類が発生します。次回はそのことについて考えてみましょう。
また違う問題として、カードがあまりにも多様な情報を包括できるがゆえに、何をどのように書いてよいのかわかりにくい点もあります。これもカードシステムの導入時に起こりがちな問題です。そこでの鍵は「無駄に使う」ことにあるのですが、それについてはもう少し後の回で探求してみましょう。
では、次回は「カード法とこざね」です。お楽しみに!
▼その他の回:
なぜなに”知的生産” 〜情報カードの使い方〜
R-style » なぜなに”知的生産” 〜情報カードの種類について〜
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