「時間」は大切

時間は大切です。タイムイズマネー、という言葉もあります。

なにせ人生は有限です。寿命には限りがあります。一日も24時間しかありません。絶対の不文律。人が生きる上でのサンクチュアリー。それが時間というものです。

仮にその話を受け入れたとしましょう。

となると、出てくるのはどんな行動でしょうか。「だから、時間を大切にするんだろ」

では、時間を大切にするとは、どのような行動でしょうか。「ばかばかしい、そんなくだらない話に付き合ってられるか。こっちは忙しいんだ」

そうですね。ありがとうございました。なにせ時間は大切です。あとは私ひとりで考えてみます。


お金を大切にする場合、たとえば無駄なお金を使わない、といった行動が出てくるでしょう。そうやって無駄なお金を使わなければ、大きな買い物をするときに役立つかもしれません。なにせ塵も積もれば山となるです。

だから、時間を大切にする場合でも同じようなものかもしれません。無駄な時間を使わない。無駄なことをしない。そういった戦略です。すばらしいですね。今の時代、なんとか速報とかの記事を読んでいる暇はありません。炎上ブロガーで消耗している時間も無駄です。ぜひともミュートしておきましょう。すばらしい、すばらしい。

で、そうやって無駄な時間をダンシャリしていけば、時間を大切にできる__のでしょうか。

これはいささか難しい問題です。ここにはお金と時間の違いが如実に発生しています。

自動販売機でコーヒーを飲むのを我慢すれば、130円が手元に残ります。理路がなく感情でわめきちらしているだけの記事を読まなければ、5分の時間が手元に残る……のでしょうか。

時間は絶え間なく流れていきます。だれもその流れを押し留めることはできません(光速に近づけば多少は抗えますが)。押し留めることができなければ、貯めることもできません。そうです。時間の貯蓄はできないのです。これが大きな問題です。

「いや、毎日5分ずつ隙間時間に読書をすれば大著でも読めるだろ」

おや、お帰りなさい。たしかにそのように感じます。でも、それは時間を貯金しているのではなく、小さい行動を積み重ねているだけです。ここに大きな勘違いの元があります。

時間はただ流れていくだけなのです。それを貯めることはできません。

無駄なことをしない。それは結構なことです。でも、私は代わりにこう問わなければいけません。「その空いた時間に何をするんですか?」と。

その問いに答えられないのなら、無駄な時間をどれだけ削減していっても、時間を大切にすることはできないでしょう。むしろ、そうしている時間そのものが無駄になる可能性すらあります。

時間がなくてやりたいことができない、という状況はあります。でもそれは時間さえあればやりたいことができることを意味してはいません。ビジネス書風に言い換えれば「時間さえあれば、どうとでもなる」わけではないのです。

時間はただ流れていくだけだからこそ、「使う」ことが大切です。使うという言い方が悪ければ、波に乗ると言い換えてもよいでしょう。そこに自分の意志を乗せるのです。


もう一つ、「時間を大切にするために無駄なことをしない」施策をとると、困ることがあります。話はかなりシンプルで「何を無駄だと断じるのか」ということです。

比較の視点を宇宙にまで持っていけば、何もかもが無駄になります。人ひとりの人生すら消しカス以下です。安易な相対化は、虚無への最短ルートなのです。

あるいはまるで逆の方向もあります。ある時点での「自分が無駄だと思うこと」を徹底的に避けていたとしましょう。当然そこでは「自分が有益だと思うこと」ばかりに時間を費やすことになります。そのような状況では決して「自分は無駄だと思っていたけど、実は有益なことだった」に出会うことはありません。なにせ自分でその扉をかたく閉め、鍵をかけているのですから。

つまり、世界を狭い袋小路へと追いやってしまうのです。

「いや、それでも狭い世界で充足しているならいいじゃないか」

もちろんそうですね。ただし世界は変化し、エントロピーは増加し、人間は歳を取ります。環境がずっと同じである保証はどこにもありません。閉じた扉は、それだけで世界を悪くしていく可能性を秘めています。


「で、結局どうすれば時間を大切にできるんだよ」

たぶん、それを考えることが必要なんだと思います。誰かに教えてもらうのではなく、自分の頭をチクタクと動かして。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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