0-知的生産の技術

おまえは今までとったメモの枚数をおぼえているのか? あるいはメモ試論

メモ。

Memo。

Memory。

Memorandum。

メモは一般名詞であり、メモは動詞であり、メモは概念でもある。

書き付けるツールとしてのメモ(メモパッド)。書き付ける動作としてのメモ(メモする)。そして、ノートと対比されるメモ。

それらすべてが「メモ」と呼ばれる。混乱は激しい。

メモの流れ

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頭の中に情報が生成される。心象が発生する。それらを脳の外に追い出すために書き留める。脳以外の媒体であればなんでもいい。アナログ・デジタル問わない。チラシの裏だってOKだ。そうした行為を行うとき、誕生するのがメモである。

もう一度確認しよう。まずツールは問わない。メモ帳を使わなくてもメモは発生するし、ノートを使ってメモをとることもできる。

さらに、そこで書き留められるものが何かも問わない。頭の中に生成された情報であればなんだってメモの範疇である。それは素晴らしい解法かもしれないし、カレーのレシピのひねりかもしれないし、仕事でやらなければいけないことかもしれないし、これ伝えといてと言われた伝言かもしれないし、欲望の赤裸々な記述かもしれない。そこはなんでもいいのだ。

脳内のものを脳外へ移す。それがメモだ。

なぜメモ

なぜ人はメモするのか。そこにメモ帳があるからだ……というのはある意味で間違ってはない。

メモ帳がすぐそばにあるのはその人が事前にメモしようと思っていたからではあるが、その動機付けが生まれているのは、メモ帳という存在があるからだ。それが安価であり、容易に操作可能なツールで、さらに実用的な価値を持つから人はそうした行動を起こす。メディアはマッサージである。

では、メモの実用的価値とは何か。

記憶の外部化である。あるいは短期記憶の拡張と呼んでもいい。パーソナルなコンピューターが登場する以前から、私たちは脳を拡張してきた。ごく身近なツールで、ごく安価なツールで。

紙がここまで安価なツールでない時代の人々は、きっと今よりも記憶力が優れていたに違いない。何事も訓練すれば鍛えられる。あるいは、そこまで情報が必要ではなかったという可能性もある。人がメモを使うようになったから、世の中の情報流通が増え、結局人々はメモをより必要としてしまう。メモには外部性があるのかもしれない。

ともかく、情報の安定性・再利用性を高めるためにメモは存在する。その利用スパンが短期的ないしは一度きりなものがメモであり、長期的ないし複数回が想定されるものがノートである。概念としてのメモとノートの対比はここにあるし、ここにしかない。だから両者はよく似ていて、見分けが付きにくい。混乱の元である。

それって何メモ?

そのようにメモを捉えると、メモにもいろいろあることが見えてくる。固定化される情報の種類によって、メモにもタイプが生まれてくるのだ。

そして、それらを何と呼び、どのように管理するかが、「脳内整理」(心象整理)の要となる。

アイデアメモがあり、アイデア予備メモがある。タスクメモがあり、プロジェクトタスクメモがある。欲求メモがあり、欲望メモがある。伝言メモがあり、他言無用メモがある。

それぞれに役割が違い、それぞれに使われ方も違う。

そして、それらの一時的・断片的なメモを連結するとき、そこにリストが生まれる。GTDでおなじみのリストだ。

デビッド・アレンに怒られるかもしれないが、このリストはなんだって構わない。どんな形をしていてもOKだ。自分の行動・環境・心象に沿っていれば機能するし、そうでなければ機能しない。

ここを組み立てていけるのは、どうしたって本人だけである。

だからそう、名前を付けてみよう。メモたちにカテゴリーを与えるのだ。ビジネス書の著者たちがよくそうするように。

大丈夫、別に彼らの言うことを真に受ける必要はないし、それと同様に自分で似たようなことをしても構わない。彼らの本は文科省が認定した「教科書」ではない。単なる自己流のやり方だ。だから、自分たちも自己流を立ち上げよう。自分の行動・環境・心象に沿ったやり方を。

そして、そのためには名前を与えることが必要である。独自のカテゴリーを見つけ出すのだ。

さいごに

本稿はメモについての試論である。記事のタイトルを「メモ試論」としようとしたのだが、あまりにも地味すぎるので、有名でキャッチーな台詞を拝借させていただいた。内容には直接関係ないが、でも、実はこれは面白い問いである。私たちは気がつかないところでメモを活用している。記録を使っている。メモは遍在するのだ。

だからこそ、メモとは何で、それをどう活かすのかのノウハウは、汎用的に役に立つ。

ただし、それはCPUをクロックアップはしてくれない。それはそれでまた別のノウハウが必要になってくる。

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