3-叛逆の仕事術

カウントの効能

以下の記事を読みました。

習慣を長続きさせるための「無理なく続けられるペース」を見つけ出す仕組み | シゴタノ!

『スタンフォードの自分を変える教室』からの引用があります。

タバコを吸うなら「毎日同じ本数」を吸うよう喫煙者に指示すると、タバコの量を減らせとは言われていないにもかかわらず、なぜか喫煙量が減っていく。

なぜそうなのかは、直後に説明されているということで、慌てて『スタンフォードの自分を変える教室』を本棚から取り出しました。たしかにそんなエピソードを読んだ記憶はあります。

スタンフォードの自分を変える教室 スタンフォード シリーズ
大和書房 (2013-04-26)
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まずは自分で赤ペンを入れた箇所を探索しましたが、見つかりません。仕方なく、斜め読みで本文を再読しました。最初に読んだときも、「意外に」良い本だと思いましたが、もっとずっと良い本だったな、と再確認したところで、ようやく該当箇所を発見。なるほど、と納得です。


この指示、つまり「タバコを吸うなら、毎日同じ本数にせよ」という指示には、大きく二つの効果があるように思います。

一つは、カウントによる注意向け。もう一つは、行動の重み付けの変化です。

カウントによる注意向けは、ごく単純ながら見過ごされやすい効果です。あるいは単純だから見過ごされやすいのかもしれません。

吸う本数を揃えるためには、本数を数えなければなりません。そうですね。昨日は10本吸った、じゃあ、今日も10本にする。これを実行するには、タバコに火を付ける前に、これは本日何本目のタバコなのかを確認しなければなりません。

そしてチェーンスモーカーだった私の体験から言わせてもらうと、喫煙者は普通そんなものを数えないものです。「タバコが吸いたくなる→タバコを吸う」という行動が、ほとんどシームレスに実行されます。これでは注意が挟まる余地がなく、「理性」(と呼ばれている何か)が発生する余地もまたありません。

タバコの本数に意識を向けるだけで、わずかでもその余地みたいなものが生まれます。「これを吸ったら、今日は9本目になるのか」ということを少し考えるだけで、行動が(もう少し言えば判断が)変わる可能性が生まれてきます。


もう一つは、行動の重み付けの変化で、『スタンフォードの自分を変える教室』や上記記事で解説されている通りの効果です。

「タバコを吸うなら、毎日同じ本数にせよ」に従うならば、今日吸う本数を増やすと、明日も明後日もその次も、その次も本数が増えることになります。それを許容することになります。本数を減らしたいと理性的に考えている人にとっては、なかなか恐ろしい現象です。

私たちが、ある種の行動を取るとき、たとえばタバコの火を付けようとするとき、「たかが一本」という感じがするものです。その一本を吸おうが吸わまいが、健康には微々たる影響しかない、と。たしかにその通りなのですが、人間は習慣的な生き物であり、さらに言えばタバコには依存性があるわけで、その一本の影響は積み重なって大きくなっていきます。でも、それを実感することはなかなかできません。

「タバコを吸うなら、毎日同じ本数にせよ」という指示は、「一本のタバコを吸うこと」の重み付けを変化させます。それは、明日にも明後日にもその次にも影響を与えるものなのです。「あんまりタバコを吸わない方がいいな」と考えている人であれば、自分の行動を抑制することは十分考えられます。


この効果は、レコーディングダイエットがもたらす効果と近しいように感じます。日々の体重に意識を向けることで、一食あたりの重み付けを変えてしまう。そんな効果です。

なんにせよ、自分がとる行動に注意を向け、そこに「理性」(と呼ばれている何か)が発生する余地を生じさせることは、行動を改善するためには有効でしょう。で、注意を向けるために「数える」という効果は、シンプルながら有効です。あと、人は数えるのが結構好きですからね。

しかしながら、「健康を維持しよう」と思っていない人は、たぶんタバコの本数を数えても、あまり効果はないような気がします。こればかりはどうしようもないですね。

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