Which type are you? 二つのイノベーションスタイル

アダム・グラントの『ORIGINALS』に興味深いことが書かれている。イノベーションには二つのアプローチがあるというのだ。

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 オリジナリティがピークに達する時期とその持続期間は、個人の思考スタイルにかかっている。ガレンソンがさまざまな創作者を研究したところ、イノベーションには根本的に異なる二つのスタイルがあることがわかった。
「概念的イノベーション」と「実験的イノベーション」だ。

概念的イノベーションを行うイノベーターは、「大胆なアイデアを思い描いてそれを実行に移す」という。

対して実験的イノベーションを行うイノベーターは、「試行錯誤をくり返して問題解決を行いながら学び、進化を遂げていく」とある。

なんとなく、後者のようなタイプには親近感を覚える。その特徴をもう少し続けてみよう。

ある特定の問題にとり組んではいるが、とりかかった時点で具体的な解決策を見つけているわけではない。あらかじめ計画するのではなく、進めていくなかで解決策を見いだしていく、というのが実験的イノベーターだ。

何かもう、自分のことが書かれているような気がしてくる。私がイノベーターだと主張するつもりはまったくないが、それでも私は上記のようなアプローチを好む。「あらかじめ計画するのではなく、進めていくなかで解決策を見いだしていく」。

このようなアプローチは、提唱者であるガレンソンによるとマラソン走者であるらしい。成果が出るのにどうしても時間がかかってしまう。当然だろう。なにせ「実験する」という迂回路を通ってきているのだ。しかし、グラントは次のように書く。

反対に、実験的なイノベーションは、必要な知識とスキルの蓄積に何年も何十年もかかるが、オリジナリティの源泉として、より長続きする。

ようは迂回路は決して無駄にはならない、ということだ。一つひとつの実験は、のちのちに効いてくる。

こういう話は個人的にとても救われるような気がする。いや、さすがにそれは言い過ぎた。救われるようなことはない。自分のようなスタイルでも、まあ、ありなんだな、と思えるぐらいだろう。

詩人ロバート・フロストも実験思考だったようだし、マーク・トウェインも事前のプロットなしに『ハックルベリー・フィンの冒険』を書き上げたらしい。さらに言えば、村上春樹氏もいくつかの作品で「実験」を重ね、その上で新しいスタイルを持った長編を書き上げておられる。

とはいえ、実験的イノベーターが概念的イノベーターよりもすぐれた成果を出す、というわけでもないだろう。なんだかなんだいって、「個人の思考スタイル」が影響してくる。向き・不向きがあるということだ。

しかし、どうしても同時代性に身を置けば、概念的イノベーターに注目が集まってしまう。つまり、自分と同世代の人間がいた場合、概念的イノベーターの方が早く活躍してしまうのだ。そこで焦りの気持ちが芽生えることもあるだろう。が、そこで路線転換をしてしまっては、積み上げてきた実験が無に帰すことになる。

だから、そう、一つ深呼吸でもして、自らの「実験」に戻ればいいのだ。自分がやっていることに確信は持てないかもしれない。でも、幾人もの先達だって、見えていない未来を目指して試行錯誤を続けてきたのだ。「古人の跡を求めず、古人の求めたる所を求めよ」という言葉もあるではないか。

それに、そう、あえて言うまでもないが、「実験」は楽しいのだ。好奇心のエンジンがうなりをあげ、何かを変えていく手応えが心を満たす。それだけで一つの報酬だ。それが無駄ではないというのだから、儲けもの以外のなにものでもないだろう。

さて、あなたはどちらのタイプだろうか。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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