アウトライナーで遊ぼう 執筆法

アウトライナー・ライティングの型 〜その1 ドリッピング〜

アウトライナーを使う執筆方法を考察していきます。今回は第一回。

参考文献は『アウトライナー実践入門』ですので、そちらもよろしく。

ドリッピング実践

たとえば、次のような文章があったとしましょう。

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文章内の構造はゼロ。内容的にも未完成で、単に材料を並べただけの状態です。ここに手を加えていきます。

まず、冒頭にある文章のかたまりに注目します。そして、一連の文章は何を語っているのかを考えます。「これをひと言で言い表すならどうなうなるだろうか」。深く考える必要はありません。ただ、的確に捉えればよいだけです。ざっくりとしたものでも思いつけば、それを項目として新しく追加します。

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そして、その項目の下に「一連の文章」を配置します(複数行を選択してTabキーを押す)。ここでのポイントは「一連の文章」です。言い換えれば、どの行までが「一連の文章」となるかの判断が必要です。言わば、切れ目を作る作業です。

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ちなみに、この判断には「正解」がありません(少なくとも採点してくれる人は誰もいません)。ある文が半分ぐらいその項目に入って、もう半分は別の項目に入りうる、ということもありえます。後から考えてみたら、違う配置が適切だったということも十分ありえます。いささか悩ましいところですが、アウトライナーは簡単に再編集できますので、とりあえず心を決めて「えいや」と文章に切れ目を入れます。

あとは、それを繰り返していきます。

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仮見出しとその効用

このような作業を、ドリッピング(dripping)と呼ぶことにしましょう。

すでにある文章の素材から、それぞれのエッセンスをぽたぽたと抽出する作業です。

この作業は、『アウトライナー実践入門』のp.89で述べられている、「整理のための見出しつけ」に相当します。

打ち込みが終わったら、メモの断片ごとに内容を示す見出しを付けていきます。整理のためのものなので、深く考える必要はありません。内容のまとまりごとに、自分がわかるような見出しの下にくくればいいのです。

あるいは、p.126、p.127で紹介されている「流れをチェックするための仮見出し」や「編集用の仮見出し」に対応していると言ってもよいでしょう。ポイントは以下にあります。

仮見出しの使い方は、他にもいろいろ考えられます。共通しているのは、完成した文章には残らないということです。アウトラインは読者のためではなく書き手のための道しるべだということを一番わかりやすく示した使い方かもしれません。

ドリッピングで生み出した「見出し」にも同じことがいえます。

その「見出し」は、最終的な文章においても見出しとなるかもしれませんが、それが本来の目的ではありません。あくまで文章に切れ目を入れ、複数の「ひとかたまり」を作ることが目的です。そうすることで、大きく二つの効果が得られます。

  • 文章全体のエッセンスが捉えやすくなる
  • 文章をエッセンス単位で編集しやすくなる

たとえば文章全体が2000文字ぐらいで、300〜400文字でワンブロックができたとしたら、5〜6個の「見出し」__ハンドルと呼んでもいいでしょう__ができることになります。そのハンドル群を眺めれば、その文章がおおよそ何を言わんとしているのかはわかります。

奇妙な話に聞こえるかもしれません。文章を書いている当の本人が、「その文章がおおよそ何を言わんとしているのか」をわかろうと努めるというのは、なにやらねじくれています。

が、実際にその規模の文章を書いたことがある人ならば、くどくどした説明は不要でしょう。たいてい、頭から読んでいかないと自分が何を書こうとしているのかは捉えづらいものです。このドリッピングは、その把握をサポートしてくれます。

また、そうして生まれたハンドルを使えば、内容(ないしは構造)の整理はぐっと容易になります。たとえば、実際のハンドルをいくつか並べてみましょう。

「一人でいろいろできる人は限られている」
「そこで出てくるのが、複数人の力を合わせることです。」
「出版のはじまり出版社のはじまり」
「利益とコストの構造」

若干粒度がとっちらかっていますが、少なくともこうして並べてみれば話の流れ方が検証できますし、必要ならばドラッグ操作一発で順番を入れ替えることもできます。

たとえばいきなり「出版のはじまり出版社のはじまり」を持ってきて、歴史を振り返る話からスタートさせる展開もありうるでしょう。その他の文章パーツがその流れにぴたりとはまるならしめたものです。うまくいかないならば、現バージョンで進めることもできます。

こうした利便性・操作可能性が、ドリッピングを行うメリットです。

まとめ

このドリッピングは、KJ法における「概念づくり」に対応しています。単位化し、圧縮化する作業です。そうすることで、認知的な把握容易性が上がり、また情報操作容易性も上がります。

おさらいしておきましょう。

ドリッピングは、すでにある素材からそのエッセンスを(あるい概念を)抽出することです。あらかじめ立てておく「見出し」ではありません。その意味で、ボトムアップ的行為と言えるでしょう。

また、そのエッセンスはアウトライン上で構造を把握したり、操作するときに役立ちます。ハンドルとして使えるようになるのです。

そのようにして作成したハンドルは、最終的な文章に残す必要はありません。よって、ハンドルの内容は「自分がわかればよい」レベルで十分です。表現に細かく気を遣う必要はありません。ただ、的確であればよいのです。

少し長めの文章を書いていて、「あ〜も〜、よーわからん」となってきたら、このドリッピングを行ってみてください。ぐっと文章が操作しやすくなるはずです。

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