7-本の紹介

【書評】時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS(シェーン・スノウ)

すごく長いタイトルだ。それこそスマートに「Smartcuts」だけで良かったのではないかと思う。

時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS
シェーン・スノウ
講談社
売り上げランキング: 1,399

※献本ありがとうございます。

原題『Smartcuts: How Hackers, Innovators, and Icons Accelerate Success』が示す通り、ハッカーやイノベーターと呼ばれる人たちが、どのように「成功」を加速させてきたのかが、9つの事例を通して紹介されている。目次は以下の通り。

はじめに なぜ、人より早く結果を出せるのか
第1章「成功の階段」をハックする
第2章 メンターの理想と現実
第3章 フィードバックで最適化せよ
第4章 プラットフォームの優位性
第5章 波を見つけて波に乗る
第6章 スーパーコネクターの作法
第7章 成功の連鎖をつくる
第8章 シンプルを極める
第9章 10倍思考を実行する
おわりに 実話に学ぶ9の鉄則

ビジネスサクセスストーリーの盛り合わせといった雰囲気だが、面白い話はいくつかある。

スマートカット?

まず本書のタイトルにもある「スマートカット」だ。これは「ショートカット」との対比として用いられている。

ここで言うショートカットとは、「手っ取り早く短期間で利益を出す」行為のことで、うさんくさいビジネス情報や怪しげなセミナーで頻繁に見受けられるあれである。対してスマートカットは、「あざやかな手法で、長期的な成果を上げる」ことだと言う。ポイントは「長期的な」という表現だろう。一発花火ではない、ということだ。

しかしこの差は、実は見分けにくい。一発花火かどうかは二発目、三発目の花火を見てみないことには判断できない。ある瞬間にキラキラと輝いて注目を集めている人も、数年すれば完全に忘却され、心の中に闇を抱えてしまうようなこともある。そういう人たちが提示するノウハウに飛びつくのは危険だろう。その見極めを、「時間をかけずに」やってしまうと手痛い失敗を被ることになる。

そのメンター、本物ですか?

もう一つ、第二章のメンターの話が興味深い。著者はまずこう述べる。

歴史を振り返ると、大成功を収めた多くの偉人は良き師、良き助言者に恵まれていることがわかる。

なるほど。だったらサロンとかに登録して、メンターにご指導・ご鞭撻を頂ければ成功できる__と考えたくなるが、そんなに簡単な話ではないらしい。

企業のメンター制度を研究したクリスティーナ・M・アンダーヒルは、公式のメンター制よりも、非公式のメンター制の方が大きな効果を持つことを発見した。フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグは「公式な形でメンターを依頼するのは、有名人にサインをねだるのと同じだ」と辛辣に告げる。

たしかにそれはそうだ。本当に心の奥底からメンターを呼びうる人と、役職的に用意された「メンター」では、教える方も教わる方も姿勢が変わってくるだろう。そもそも後者は仕事あるいは契約においての関係性でしかない。お金の切れ目が縁の切れ目なのだ。それをメンターを呼ぶのは難しいだろう。

ところが、自然に、あるいは自主的に絆が結ばれ、個人的な経験を築いた師弟関係の場合、将来の収入や地位、昇進回数、仕事への満足度、仕事のストレス、自己評価などで見ると、大きな効果があったのである。

人為的に作られた関係性、あるいは何か別のもので裏打ちされた「絆」では、どうやらあまりうまくいかないらしい。そう考えると、人に教える、人に教わるというのは難しい問題であることに気づかされる。単に「場」を用意して、そこに人を集めれば成立するというものではないのだ。簡単に人を集められるインターネット時代だからこそ、こうした点についてはじっくり考慮しておきたい。でないと、教える方も教わる方も単なるメンターごっこで終わってしまう。

さいごに

本書の最後には、まとめとして「9つの鉄則」が掲げられている。それらをすべて守れば「成功」が加速できる、と思ってしまうのは、さすがに考えを止めすぎだろう。少なくとも、本書に登場しているハッカーやイノベーターは、鉄則を守るのではなく、自ら考え、行動して結果を得てきたのだ。その点だけは、どうしたって揺るぎようがない。

また、本書はラテラル・シンキングの重要性を説いている。であれば、その「9つの鉄則」を水平思考してみることが、本書の効能をブーストさせることにつながるかもしれない。

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