月の切り替わりに行う「月次レビュー」を紹介しましょう。
まず、WorkFlowyに月次レビュー用のトピックを立てます。その下に、二つの項目をセッティング。
この二つの項目(問いかけ)が、レビューの軸となります。
- 先月(今月)は何をしたか?
- 今月(来月)は何をするつもりか?
※月頭に行うなら「先月」、月末に行うなら「今月」と適宜読み替えてください。
先月何をしたか?
まず、考えるべきは先月何をしたのか。ただし、粒度が荒いので、もう少し項目を掘り下げます。
先月、気がかりだったことはできたでしょうか。これを考えるためには、「先月、気がかりだったこと」を書き残しておく必要があります。ほとんど間違いない話ですが、一ヶ月前に気がかりだったことはまず覚えていませんし、それが解決されているならなおさらです。
とは言え、記録がないなら記憶の想起だけで振り返ってみましょう。何も出てこなければ、そのままにしても大丈夫です。
成果チェック
気がかりチェックが終わったら、次に「仕事」と「その他」の領域で何をやったのかを振り返っていきます。
たとえば「仕事」の領域であれば、電子書籍の原稿が半分くらい書けたとか、メルマガ読者さんの数が微増したとか、何かしらそういうことです。「その他」の領域なら、ブログのデザインを変更できたとか、本棚の片付けが進んだとか、何かしらそういうことです。
この「仕事」と「その他」の区分けは、恣意的なものであって、いくらでもアレンジ可能です。ただし、スタートの段階では、あまり細かく分けない方が良いでしょう。「その他」にいろいろ書いていたら増えてきたので、別にカテゴリを立てた、ぐらいで十分だと思います。
なぜなら、「仕事」とそうでないものの線引きは難しいからです。でもって、レビューの目的はそうしたものを厳密に整理することではないので、細かいことは気にしない方が吉です。カテゴリを設けるのは、あくまで想起のトリガーを引くためであることを念頭に置いておきましょう。
で、ほとんど間違いない話ですが、こうして成果の振り返りをしていると、「ああ、次はあれやらなくちゃ」という考えがぽこぽこ湧いてきます。その場合は、遠慮せずそこにそのまま書きつけておきましょう。なにせ、そのためにアウトライナーを使っているのですから。
今月何をするつもりなのか?
一通り先月の成果を確認できたら、今後は今月何をするつもりなのかを確認していきます。同様に掘り下げると、こうです。
何をした方がいいのか
注意してください。何をすべきなのかでもなければ、何ができるのか、でもありません。「何をした方がいいのか」です。先月の成果を振り返ってきたときに、いろいろ思いついたことがあるかと思いますが、それがベースとなります。上から項目を移動してきてもいいですし、コピーしてもいいですし、まるっと新しく立ち上げてもいいです。
また、どのようにカテゴライズしても構いません。仕事を立てて、その下にプロジェクト・ルーチンを立ててもいいです。立てなくてもいいです。ともかく、今月何をした方がいいのか(と思うのか)を書き出していきます。
そのための課題は何ですか?
しかしながら、「した方がいい」と思うことが、その通りに実現できるわけではありません。時間がない、資金がない、スキルがない……いろいろ課題がありえます。
ここでちょっと現実的なことを考えます。やるべきことと気がかりなことを洗い出していくわけです。
リストの更新
上記が終わったら、書き終えたことを考慮しながら、既存プロジェクトリストを更新したり、新しいプロジェクトを追加したり(あるいは削除したり)します。
これで、簡易の月次レビューは終了です。
月次のレビューについて
こうしたレビューの手法は、いわゆるGTDシステムの一部なのですが、実は、GTD本には「月次レビュー」なるものは登場しません。固有の名詞を持つのは「週次レビュー」だけで、その他は雑多に扱われています。
なぜかと言えば、それぞれの職場によって区切りのタイミングが異なるからでしょう。当然レビューを行うべき区切りも違っています。ただ、多くの仕事サイクル(生活サイクル)において、「一週間」という単位は共通しているので、「週次レビュー」というのはわりと提唱しやすいわけです。
※あと、人間の記憶の感覚にも適しているのかもしれません。
本書が主眼をおいているのは、日々の作業をどう片付けていくかという視点と、それよりももうすこし高いレベルの視点である。ただ、人生を謳歌して理想に近づくという本来の目的から見れば、より高い場所から眺めるのも大切なことだ。日々の行動とプロジェクトをうまくコントロールできるようになったら、ときどきはもっと上からの視点でもレビューし、本当の意味で頭をクリアにしていこう。
よって、とりあえず注力するのは「週次レビュー」です。それに慣れてきたら、次のステップとして、それよりも長いタームでのレビューに取りかかるのがよいでしょう。具体的には、毎週週次レビューをやっているのだけれども、どうにも頭がモヤモヤするな、という状態が出てきたら、より高い場所からのレビューのタイミングです。脳のデフラグを行うのです。
ちなみに、「Horizon レベル2」の解説にはこんなことも書かれています。
次にやってほしいのは、「重点的に取り組む分野」のリスト作りである。「仕事」と「プライベート」の二つの下位リストに分けてもいいが、その場合、どちらも同じように定期的にレビューする必要がある。このリストは自己管理のチェックリストの中でも最も有用なものの一つだ。これについては「プロジェクトリスト」のように週一で更新する必要はない。もうすこし長めの問題でレビューすることに意味があるリストだ。仕事や人生の重要な分野における変化のスピードを考慮し、1ヶ月から3ヶ月ごとにレビューして、新しいプロジェクトを見つけるトリガーにするといいだろう。
これが月次やそれ以上の単位で行うレビューの意義です。
基本は週次レビューでOKなのです。しかし、週次レビューでは、今そこにあるプロジェクトにしか視点が向きません。「もしかしたら、このプロジェクトは必要ないかも」「新しいプロジェクトをやった方がいいのかも」については考えにくいのです。それをフォローするのが月次以上のレビューとなります。
心理的価値構造の上位項目が変化してしまっているのに、下位構造を固定的に捉えてしまえばズレが大きくなります。それを修正することが、月次レビューの一つの意義です。
さいごに
まとめてみると、月次レビューには二つの役割があります。
一つは、月単位でしか振り返ることができない要素の振り返り。たとえば「月間売上げ目標」についてレビューしようと思えば、少なくとも月単位のタームが必要となります。言い換えれば、これは週次レビューの拡大版です。
もう一つは、少し大きな視点から各プロジェクトを振り返るためのレビュー。あるプロジェクトが必要かどうかは、たとえばそれを3週間ほど続けてみないと見えてこないことがあります。そうしたものを確認するのもまた月次で行うレビューの意義です。
ともあれ、基本が週次レビューであることは間違いありません。それで足元を固めて、次なるステップに進む。そのように段階的にレビューを捉えることが大切なのでしょう。
▼GTDの高度について:
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