物書き生活と道具箱

実用書ではないけれども #Dr.Hack

引き続き、新刊『Dr.Hack』について。

Dr.Hack (Lifehack Lightnovel)
Dr.Hack (Lifehack Lightnovel)

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倉下忠憲 (2017-03-23)
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本書は、小説であり、実用書ではありません。実用書成分が皆無かと言えば、そんなことはないのですが、どちらかと言えば薄めではあるでしょう。

今回の本は、私の本書きの三指針である「読みやすく、面白く、役に立つ本」の最後の一つは若干弱めです。あるいは、遠回り的、という言い方もできるでしょう。

まさしく、このような本です。

でもって、このような本でもあります。「考える」ことを大切にしている本と言えるかもしれません。対話重視の本です。その意味で源流は『ソクラテスの弁明』あたりになるでしょうが、この本で行われているのは議論ではありません。せいぜい穏やかな講義です。

Amazonのカスタマーレビューを頂きました。以下に引用します。

ライフハック本は「このようなときは,このようにしましょう」的なTIPS集が多いように思いますが,この本は違います.how toだとその用途や事柄に特化した応用が出来ない知識が増えるに留まることがあります.しかしこの本では,幾つかの事例を例題に挙げて問答形式で進むため,否応なしに一緒に考える形になります.結論だけではなく,結論に至る過程や考え方も理解出来,そして応用も効く本質的な部分まで理解が進むというわけです.

ここまで丁寧に読み取って頂いて嬉しい限りです。で、まさにこのようなことを目指した本です。

たとえば、リマインダー1つとってみても、リマインダーを使えば便利ですよ、という話で終わるのではなく、なぜそれが便利なのか、どのような理由でそれが機能するのかまでつっこんで「考え」れば、応用の範囲はぐんと広がります。少なくとも、具体的に紹介されているツールの垣根なんてあっという間に越えられます。

もちろん個々の具体的なテクニックも大切ではありますが、その分野は他の方がさんざん語り尽くされているので、私としては別の方向を開拓したい気持ちが強くあったのです。でもって、それを為すためのフォーマットが、この「ライフハック・ライトノベル」という形でした。

というのも、その手の話は、ストレートに語るとどうしても硬くなり、とっつきにくくなってしまいます。教室の一番前の席に座って、黒板を睨みながら、黙々とノートを取る眼鏡っ子くらいの話しかけにくさです。それは避けたいと思いました。気楽に読めるけども、奥にまで届く。そういう作品を目指して書いたのが本作です。

とは言え、本作もまだまだストレートさは残っています。なにせ5年も前に書いたので、使える引き出しの数が少なかったのです。この辺が第二弾、第三弾でどう変わっていくのかが楽しみですね、と他人事みたいに書いていますが、言葉通り楽しみではあるのです。だいたいにして、自分がどんな作品を書くのか、自分でもわかっていないところがあります。というか、だからこそこの仕事は飽きることがないのかもしれません。

ともかく、本作は実用書ではありません。娯楽小説とも言い難いでしょう。では、一体何なのか?

もちろん、ライフハック・ライトノベルです。これまでのどんな定義にも当てはまらないから、わざわざ新ジャンルを作ったのです。ハカセのイノベーションに関するセリフが思い出されますね。

というわけで、今回は、「実用書にあらず」について書いてみました。次回は、小説作品を書くことについて書いてみようかと思います。

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