すこし期間が空いてしまったが、またぼちぼち後期高齢者医療制度に関する記事を見ていこう。最近はあまりニュースの一面でも扱われなくなってきた感があるが、基本的に自民党は制度の改正ではなく、運用的修正で乗り切ろうという考え方である。
後期高齢者医療制度、公明が保険料軽減基準を見直し方針(読売新聞)
公明党は18日、75歳以上の後期高齢者医療制度(長寿医療制度)で、低所得者の保険料を軽減する際の収入の算出基準を見直す方針を固めた。
同居する子が世帯主で高収入の場合、加入者が低収入でも軽減措置が適用されない現状を改めるため、子供の収入との合算額から、加入者個人の収入に基準を変更する考えだ。
とりあえず、公明党は低所得者の保険料を計算する場合に同居する子どもが高収入である場合は現状では軽減措置が得られないという状況を、軽減措置が得られるようにするべきだ、と訴えておられるようです。
その同居する子の高収入というのが一体どれくらいを基準にしておられるかはわかりませんが、こういった措置は必要ないのではないかと思われます。制度的に必要なのは、生活のレベルを切り下げたり、あるいは生活そのものが困難になる層に対しての軽減措置であって、それ以外は制度の本来の目的としては余計であるように思えます。
でなければ、後期高齢者をわざわざ制度的に切り離す意味があまりないような気がします。まあどこかからの声があったのでしょう。
それにしても制度そのものに根本的な問題があるのにそれに現状を合わせようとするかなこういった意味のわからない修正を加えていかなければいけない、という状況は認識して欲しいところです。
「子が自営業」なら保険料軽減…与党が改善策検討(読売新聞)
与党は25日、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の改善策として、国民健康保険(国保)に加入している自営業などの子に扶養され、4月以降に同制度に移った75歳以上の親について、保険料軽減の検討を始めた。
また、75歳以上の会社員に扶養されていた74歳以下の家族の国保保険料も軽減する方針だ。
上の記事が18日のもので、これが25日のもの。
子が会社員の場合は、親は組合健康保険や政府管掌健康保険の被扶養者扱いになるため、保険料はかからなかったが、同制度に移ると保険料負担が生じる。このため、加入時から2年間は、〈1〉収入に応じて増える「所得割」部分がゼロ〈2〉人数割りになっている「均等割」部分が5割減額――という内容の激変緩和措置をとることになっている。さらに、制度開始時の特例措置として今年4~9月は保険料をなくし、10月~来年3月は「均等割」の9割を減額することも決まっている。
これに関しては制度が開始される前から決まっていたこと。それ自身は緩和措置としては悪くないものです。
これに対し、子が自営業の場合は、同制度への加入前は子供が親の分もまとめて支払っていた保険料を、加入後は親が自分で支払うことになる。世帯全体では負担が増えないため、激変緩和措置などは設けない方針だったが、親にとっては負担が増える形になるため、救済策が必要だと判断した。
で、これがよくわからない。世帯全体で負担が変わっていないのなら、なぜわざわざこういった措置を設ける必要があるのでしょうか。子どもが親にお金を渡さない、ということでしょうか。
ここで軽減される分のお金もどこかから捻出しなければいけない事を考えると、いかにも場当たり的な措置であるとしか思えません。
制度の問題点はいろいろあるでしょうが、それに対する対応策もかなり場当たり的というか国民の目先の不満を解消するような形にしかなっていないような気がします。
もう少し根本的なところが議論されてもいいと思うのですが、民主党はこの制度の撤廃を主張しており、そもそもの議論というのは始まらないのでしょう。