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メモと思考の連想性と、ついでにEvernote

Posted on 2017 年 4 月 25 日2017 年 4 月 30 日 by Rashita
Tag:
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  • アイデアの扱い方
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  • メモ

あるとき、実験したことがある。

メモをとるときに、なるべく思考の制御を行わず、思いついたことをそのまま書けばどうなるのか、という実験だ。

タイトルは「ノートについて」。ノートをどのように使うかについての軽い着想があったので、それをメモに定着化させようと試みた。普通にやれば、そのページにはノートに関すること以外は書かないだろう。いや、「書かない」というといかにも意識的な行為な印象がある。実際は、「書こうとしない」という無意識のブロックが行われている状態かもしれない。

そのブロックをできる限り手放してメモを取ると、以上のようになった。行頭に☆がついてある行が、「ノートについて」とは直接関係がない内容であり、直前に書いたメモから連想的に発想したものでもある。

「☆作業するときはプロジェクトノートを開く」は、まだ〈ノート〉という言葉が入っているので、概念的距離感は小さいと言えるだろう。「☆赤ペンには赤ペンの仕事がある」には、〈ノート〉は登場しないが、〈ペン〉という近しい存在が顔を覗かせている。しかし、「☆smoking spaceからspeaking spaceへ」ともなると、もはやまったく関係がない。

おそらくこれは、カードをくることで一見関係ない概念が脳内で結びつくことと、喫煙スペースにおいて異なる「場」に属する人々が集まりことによって生じる対話によって異文化交流が行われることとの呼応関係からの連想であろう。でも、タバコを吸わない人は喫煙スペースには足を運びにくいのだから、むしろ雑談のための場所を積極的に設けてはどうか、というような着想であったと思う。すでにノートの話とは、大きくずれている。

でも、まさに、人間の脳とは、このような情報処理を行っているのではないか。その乱雑な処理を背景に持ちながらも、一つの意味的まとまりをもった記述を行うときは、思考の流れを制御し、雑多なものは前に出てこないように抑制しているのではないだろうか。

意味的なまとまりの保存

次の記事を読んだ。たいへん興味深い。

Scrapboxで創作のアイデアカードを書くとすばらしい経験が | 知的生活ネットワーク

ここから新しい体験が始まりました。

あるページを書いていて「探索ギルド」という言葉にリンクボタンを設定したとき、その探索ギルドについての説明が頭にありありと浮かんできました。

そこで今作ったボタンをおして探索ギルドぺーじをつくり、そこに説明を書いていきます。

その中に、「報酬」という言葉がありそれをりんくぼたんにしたら、とたんに関連ページが現れました。

するとそこでまた新たな報酬についてのアイデアが湧いてきたのです。

普通に文章を書いていくとき__「普通」の定義は放置させていただく__、一般的には、それはリニアに記述される。頭から終わりに向かって、線のように紡がれていく、ということだ。

リニアに記述することは、意味的なまとまり、あるいはベクトルに合わせて記述を進めていくことであり、それはつまり、そのベクトルにそぐわないものは抑制される、ということである。私のメモの実例で言えば、「☆〜〜」の行は書かれないわけだ。

もちろん、途中で発生した着想に身を委ねることもできる。いわゆる「脱線」というやつだ。ただし、その脱線に深く嵌り込むと、もともと辿ろうとしていた意味ベクトル(本線)の道行きを忘れてしまう。そのことには一定の恐怖があり、深く嵌り込みすぎない抑制が生まれる可能性はあるだろう。あるいは、脱線中に別の着想が生まれ、それに身を委ねると、迷宮がさらに入り組んでいく可能性もある。ここにも似た恐怖はありそうだ。

ともかく、ピュアにリニアに書いていこうとすると、私たちは上記のような脱線や脱線の脱線を抑制しようとする。その文章の意味的な一つのまとまりを壊さないように慎重に振る舞うのだ。むろんそれが、発想も抑制していることは想像に難くない。

切り、繋ぐ

しかし、である。

上記の記事ではその抑制がきれいに外れている様子が描写されている。貢献しているのはなんだろうか。切断と接続である。

ポイントは、文章が持つ「意味的な一つのまとまり」にある。脱線することで、本線が持つ意味的なまとまりが壊されるのだとしたら、それを別の場所に書けばいい。これは思想としての「情報カード」に限りなく近い。コンテキストを細かく区切り、意味的な一つのまとまりをできるだけ小さく保存していく、ということだ。

しかし、そうするとそれはもはや「脱線」ではなくなる。もう一つの別の「本線」である。つまり、関連性が失われる。そこで活躍するのが接続である。機能的実装で言えば、リンクということだ。

ScrapBox上で文章を書き、その中の言葉の一つを「リンク化」する。するとそこで分線が生じる。脱線を受け止めるための器が、先駆的に(つまりコンテンツの中身よりも先に)生成される。これがどれほどパワフルな体験なのかは、実際にやってみないとちょっとわからないかもしれない。私たちがリニアに何かを書こうとするとき、いかに多くの抑制、言い換えれば思考や注意の制御を行っているのかは、普段は意識されないからだ。

今こそ必要な機能

私は以前、次のような提言を書いた。

Evernoteにあったらアンビリバボーな機能3つ – R-style

この記事に「wiki型ノート作成」の機能が登場している。Scrapboxでは当たり前にできる機能だ。

2015年の段階で、私はこの機能のパワフルさを予見していたが、もちろん今をもってもEvernoteには実装されていない。しかし、まさにEvernoteが単なるWebスクラップの置き場所ではなく、思考を、思想を、情報を発展させていくための場所として機能するには、このような実装が必要なのである。

私たちが提出するアウトプットはだいたいがリニアな形をしている。だから最終的にアウトプットを生成するツールはリニア適正を有しているのが望ましいであろう。しかし、そのアウトプットを生み出すための前段階の思考は、まったくもってリニアではない。思考は連想的、発想的、同時多発的なのだ。

思考を扱うためのツールは、その点を考慮して頂けると、たいへん助かる。

さいごに

アリアドネの糸は、迷宮から脱出するための命綱だ。それがあるからこそ、私たちは臆することなく迷宮に踏み込める。思考の探索にも似たものが必要であろう。

しかし、アリアドネの糸は、もう一つの側面も持つ。探索者が迷宮の奥深くまで入り込むとき、彼が持つ糸は長く伸び、俯瞰すれば一定の「形」を持つだろう。その形は、もちろん、迷宮の「形」にも呼応する。

リンクの長い連鎖は、脱線から戻れるだけではなく、情報の構造を表現する上でも役立つのだ。

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