検討課題(agenda)リストという着想の扱い方

意識というのは流れている。あるいは、流れている何かを意識と呼ぶ。

発想は連想的に広がっていくものだった。が、やっかいなのは意識の方はリニアなのである。この齟齬にはもっと注目した方がいいが、とりあえずメモとノートに限って話を進めよう。

私たちは順々に何かを思いつく。ノートで表せばこんな感じだろうか。

ズーム・イン。

冒頭に、「Evernote連載はどうするか?」という記述がある。私はメルマガでEvernoteについての連載を書いているのだが、その将来的な展開をどうすればいいだろうか、と思ったということである。ある種の着想と言ってもいいだろう。

さて、この「着想」をいかに扱えばいいだろうか。

これは何か?

まずこの着想は、タスクであろうか。

もちろん、タスクと言えなくはない。タスクリストに「Evernote連載について考える」と書き込めば、立派にタスクとして扱える。しかし、どういう状態になったらそれにチェックマークが付くのかはわからない。仮に「5分Evernote連載について考える」と具体性を増した記述をすれば、タスクの完了は明確になるが、5分考えたからといって、納得できる答えが出せるとは限らないだろう。いささか扱いが難しい。

では、この着想は、プロジェクトであろうか。

はっきり言えばノーである。プロジェクトには複数のタスクが含まれているものだ。しかし、「Evernote連載について考える」には、「Evernote連載について考える」しか含まれていない。その実行は複数日にわたるかもしれないが、複数のタスクをこなしているのではなく、単一の巨大なタスクに取り組んでいるだけである。もしこれをプロジェクトとして扱えば、すさまじい数の「Evernote連載について考える」タスクが並ぶことになるだろう。見ていて、あまり心躍るものではない。

つまり、「Evernote連載はどうするか?」はタスクでもないし、プロジェクトでもない。そのように扱うこと自体は可能ではあるが、適切な運用とは言い難い。

第三の分類

では、「Evernote連載はどうするか?」は何だろうか。GTD的に言えば、この着想はどのリストに入れるべきだろうか。

私はこれを「検討課題」と呼びたいと思う。英語で言えば、Agenda になるだろうか。

「Evernote連載はどうするか?」は単なるアイデアではない。それを考えないことにはメルマガの運営に滞りが生じる。「3年間寝かせておいて、熟成を待つ」みたいなアプローチは役立たずだ。緊急とまでは言わないものの、喫緊には考えて結論を出す必要はある。GTD風に言えば、「気になること」のリストではなく、「気にすべきこと」のリスト、というわけだ。それを検討課題(あるいはAgenda)リストと呼ぶことにしよう。

こうした性質を持つ着想は、実は扱いが厄介なのである。

どれだけ直近に考える必要があるにしても、私たちの意識は連想的であり、同じこと一つを四六時中考えているわけにはいかない。しかも、意識は流れているので立ち止まることはできない。うまい立ち回りが必要なのだ。

しかも、思考も流れていくものであり、何かについて考え続けるときには、前回考えた流れの上に乗らなければいけない。単に議題を思い出すだけでは不十分である。

意識のブランチを切る

図を用いて考えよう。

私たちの意識は流れている。その中でさまざまなことを考える。「Evernote連載はどうするか?」のような着想は、その流れの中で、断続的に同じことを考え続けることを要求する。

だからそう、「ブランチを切る」ことが必要だ。

本線の「意識の流れ」とは別の意識の流れを確保すること。しかも、その複線が存在していることを私にリマインドし、かつ必要となれば、前回までの流れを即座に想起(recall)できること。そのような環境があればいい。

さいごに

「検討課題」(Agenda)の扱い自体はそれほど難しいものではない。課題について連続的に書きつける場所を準備し、それらのインデックスを作ればそれが「検討課題リスト」になる。後はルーチンタスクに「検討課題を検討する」を設定すれば良いだろう。

バインダーノート(ルーズリーフ)や情報カードなら簡単に運用できるし、大学ノートでも各ページに番号を振っておけば、インデックスの運用は可能である。デジタルノートでも、リンクを扱えるものならば同じことができる。陳腐な言い方だが、あとは実行するのみだ。

とは言え、本当に重要なことは別にある。それは、着想の性質を見極めることだ。それはタスクなのか、プロジェクトなのか、アイデアなのか、それとも別の何かなのか。GTDで重要視される「これは何か?」という問いは、それを見極めるためのものなのである。

自分の頭に浮かんだ着想は、どのように扱われるべきなのか──それを考える。

アイデアの扱い方の基本とも言えるだろう。

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