4-僕らの生存戦略

「世渡り力」とは?

Business Media 誠:「世渡り力」のない“エリート”じゃあどうしようもない――岡野工業の岡野雅行社長(中編)

岡野 特効薬なんかないよ。まして日本は少子高齢化や若者の学力低下、犯罪そして新興国の追い上げなど、すべて前例のない問題ばかりで大変だ。しかも模範解答しか知らず、しかも「世渡り力」のない“エリート”じゃあどうしようもないよ。

――「世渡り力」?   

岡野 問題解決のための「人と情報のマネジメント力」ってやつよ。いい例が暗号を解読され、日本軍が壊滅的な損 害を受けたミッドウェー海戦だ。どんなにパイロットが優秀だって、多勢に無勢で待ち伏せ攻撃されたらおしまいだろう。政治や外交なんてのは、どれだけ情報 を集め、把握し、どう活用するかなんだ。そこには国の運命がかかっているんだからな。

岡野氏は世渡り力というものを問題解決のための「人と情報のマネジメント力」と定義している。
これが日本のエリートには存在していないと岡野氏は主張している。
確かに日本の教育、それも有名大学に進学するような教育においては、設定された問題をいかに素早く解決していくかということが重点に置かれている。

それは、問題を与えられ、ただ解くということの反復作業でしかない。

が、実際さまざまな「現場」に立つとそういった反復作業で得られた能力というものはほんの一部分にしか使えないということがわかる。

日本がある意味で鎖国的で、一億総中流といわれ、終身雇用というものがサラリーマンにとって当たり前であった社会においてはその程度の能力でこなせる仕事が多かったのだろう。
新人は同然の様に、多少部下を従える様になっても、必要とされる能力はさほど変わるものではなかったはずだ。
年功序列の意識が強く働いている組織の中では、ただ年を取っていれば上に扱われる。会社というものの恩恵も束縛も強い。
そんな中では例えどのような人間であっても上司というものの発言は強い意味を持ってしまう。

しかし、そういった社会はすでに過去のものだ。

今例え新人社員といっても単純に物事を解決していくだけの能力では足りないと言えるし、それが課長や部長など多くの人をまとめる人間になればなおさらである。

そういった状態に置かれたときに必要なのがまさにこの世渡り力であろう。

人を動かす、人と人をつなげるといった事や。情報を集める、情報を配る、などといったこと。
そして人を情報を関連づけ、新しい情報を生み出す、など課題に対する流動的な解決方法の模索というものがこの世渡り力によって実現できる。

ただ、ではこの世渡り力というものがいかにすれば鍛えられるのかということに関して明確な答えはないと思う。

現場で生きている人間はそこで生き残るのが困難であれば必然的に身につけていくだろう。そういった先人と身近に接することが出来た若者もそういった能力の必要性に気がつくかも知れない。

しかし、社会の中で個人が分断化され、必要以上に自分を見せない風潮が広まっていればそういった伝達はなかなか行われない。
伝達の役割を果たすはずのメディアも機能しているとは言い難い。

「世渡り力」が必要ということがわかっても、ではどうやってそれを手に入れるのか、というより難しい問題に直面してしまう。

とりあえずは、今を生きるビジネスマンは、自分が求めるハードルの高さをどんどん上げていくしかない、としか言えない。

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