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自殺者の構成変化を見て思う

14日警視庁から去年自殺した人の数やその世代の傾向などが発表された。

30代の自殺過去最多 若い世代増加 08年警察庁統計

 警察庁は14日、08年中に自殺した3万2249人の年代別や原因・動機別などの統計を公表した。30代が4850人と統計を取り始めた78年以降最多となるなど、若い世代が増えたのが特徴だ。一方、50代は長年自殺者が最も多い年代で今回も最多だったが、11年ぶりに7千人を割った。70代以上も減少傾向だ。

総数自体は去年に比べて844人減少している。しかし3万人という大台には乗ったままである。

 警察庁のまとめによると、年代別自殺者のうち、50代は07年に比べて10%減の6363人。03年の8614人をピークに年々減り続けている。60代(5735人)は微増だが、70代(3697人)と80歳以上(2361人)はそれぞれ5%減った。

傾向的に高齢者はやや減かそれほど目立った増加はないという所。総数の減少はこの世代の減少が要因であろう。

一方、30代は前年比2%増の4850人と2年続けて過去最多。10代は611人(07年比12%増)、20代は3438人(4%増)と増加に転じた。若い世代が増えた理由として、不況を背景にした雇用問題や職場のストレスの影響を指摘する専門家もいる。

10代と20代を合わせて4000人、そして30代だけで約5000人が自殺している。朝日新聞の記事では簡単に不況を原因とした雇用問題などにまとめられているがそれほど簡単なものであろうか。

就職氷河期だとかロスト・ジェネレーションと呼ばれる世代。ここに生きた人たちが「希望」を抱きにくい社会になっているということは容易に推測できる。安定した職を得られない人が増えてきている中、正社員でもリストラという言葉を直視して働かざるえない。

ただ、仕事が見つからないというだけでなく、面接で落とされ、仕事先で「役立たず」扱いされてしまう。派遣社員制度が日本に与えたメリットは大半企業が享受し、そしてその等価交換に働く人がデメリットを被ってしまった。社会の景気が良い間はそのデメリットはあまり目に付かなかった。しかし社会は変化を今強要されている。人件費のバッファーとして存在していた人々は、企業の帳尻を合わせるために、憂き目にあっている。
それは先ほども述べたが単に仕事が見つからないという状況だけではなく、社会から自分が必要とされていないという感覚を強く与える影響の方が大きいと思う。

この先、この社会はどう変化していくだろうか。
人件費は派遣や海外労働者から切り詰められた、正社員も残業代のカットなどで影響を受けている。ただ、これ以上ひどくなっていくかは未だ微妙な所だろう。しばらく株価は低迷を続けるかも知れないが、年末には回復していくだろうという観測も多い。

そうなったとき、この社会は以前の様に元通りになるのだろうか。
私は漠然とだがそうはならないと思う。さめてしまったスープは暖めてももう同じ味にはならない。
労働者と企業とがきっぱりと溝を作ってしまった、というのは厳然たる事実である。

こういった状況でも苦しい思いをして社員の雇用を守ったところはそういう溝を作らなかっただろう。しかしそうでないところは、現代の傾向として増大していた「会社」と「個人」の心理的距離感を遠ざけてしまった。
社会で働く人が、会社を自分の居場所、つまりアイデンティティを確保する場所としてとらえにくくなってしまっていくような気がする。

それに変わる共同体を社会は提供することができるのだろうか。それとも新興宗教がはやってしまうような事態がやってくるのだろうか。

ブログやSNSはそういったコミュニティーを作り出すツールとしては機能すると思う。しかし社会がそれを積極的に進めていかなければ、なかなか認知はされにくいだろう。
ごく一部のリーダーがコミュニティーを作り出しているものはあるが、社会全体という視点で見ればまだ小さなものだ。

安心や希望がひどく見えにくくなっている社会になりつつある中、個人として生きるというのはどういった事がというのがきちんと議論されていなかった日本で解決策をだしていくのはなかなか難しい道のりであるな、と感じることは多い。
すくなくとも日本政府の視点はそういった方向はほとんどケアされていないのではないだろうか。

が、この自殺者の構成の変化はそういった問題の解決に当たらざる得ないという思いを強くさせる。その問題は放置しておけば10年後20年後にまったく解決不能な、あるいは日本にとって致命的な問題にまで広がりを見せる可能性すらあるのだから。

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