最近の株価の低迷で、今が投資のチャンスと考えて個人投資家が新しく参入してきているという記事をどこかの新聞で読んだ。確かに株式は安く買って高く売れれば儲かる。
ここ最近の株安はちょっと異常だとかあるいはここら辺が景気の底であとは回復するばかりだろうという予測ならば確かに「今が買い時」であることは間違いない。
しかし、それはあくまで中期的な投資スタンスである場合の話で、あまりデイトレ向きの環境とは今は言えないのではないかと思う。
今の短期的な相場の方向感は非常にわかりにくい。こういうところで初心者が参入してきてもプロの食い物にされるだけだろう。
デイトレであれ、中期のトレードであれ、投資に関しての知識というのはこれから投資を始める上では絶対的に必要な物だ。それはポリンジャーバンドとは?とか一目均衡表の見方などといったテクニカル分析の細かい内容ではなく、投資に関する心がけや大けがをしないためにはどのような決まり事を持つべきかという本当に初歩的なルールに過ぎない。
初歩的ではあるが、それを守っていれば、大きく資金を失ってすぐに相場から手を洗うだとか、あるは借金で首が回らなくなるだとか、せっかく資金を2倍3倍にしたのに一瞬で失うなどといった事態を避けることができる確率が上がるだろう。
まず、初心者ならとびつきたくなるような「100%の必勝法」などといった本に手を出すべきではない。株式に必勝法があるかないかという議論は置いておくとしても、そんなに簡単に手に入る物ではない。それは肝に銘じておくべきだろう。
まずは、いかに大きく負けないか、ということをきっちり認識しておくことが投資のスタートラインに立つ上で必要なことだ。
そういった心がけを得る上で参照になる本を紹介しておく。
一冊目は東保裕之氏の「株式投資これだけはやってはいけない」





この本は~をしなさいという指示ではなく~をしてはいけないという禁止のルールが書かれている。この本で書かれていることに目新しいことはほとんど無い。しかしであるが故に投資環境が大きく変化してもある程度通じることが多い。大きく儲けるためにはある程度リスクに自己資金を晒す必要があるのが株式相場なのだが、それでも最低限そのリスクをコントロールするために必要以上に危険な場所は避けましょうというのがこの本に書かれているルールである。
同じ作者の「株式投資これだけ心得帖」という本もある。

この本でも書かれている内容はほとんど同じである。プロの投資家向けではなく、新しく投資を始める個人投資家向けに非常に簡潔に心得が書かれている。どちらも薄い本だがこちらの方がサラサラと読めるだろう。
投資を本格的に始める前に、どちらか一冊だけでも目を通しておけば大きなリスクを避けることができるだろう。
もう一つオススメさせていただく本はこの本だ。





いかに「カリスマトレーダー」というものができあがり、またその実力が「張りぼて」であるかということを非常にわかりやすく解説してくれる本。人間というものがいかに数字に騙されるかという心理学としても楽しめるのだが、それよりも「完全なる必勝法」をうたう投資戦略がいかに危ないか、ということ知ることが自分なりの投資戦略を考えていく上で参考になるのではないかと思う。
私も結構いろいろな投資戦略やチャート分析について書物を漁ってきたが、それらは「水物」であるということをきっちり認識しておく必要がある。バブルが世の中に溢れかえっている時代、誰がどのタイミングで買っても大抵は勝つことが出来た。ほとんどの株式が右肩であがっている中で負ける方が難しいという時代が確かにあった。
その様な時代に通用していた高い勝率の投資戦略を今持ち出していったいどのような効果が得られるだろうか。
それを出発点にすれば、そのときそのときの適切な投資戦略というのは変化していく物なのだろうと思う。基本となる部分は抑えながらも細かい変更を加えていける人というのが、投資の世界で長い間生き残っていける人と言えるのではないかと思う。