ワンアウトラインの思想 その4

前回:ワンアウトラインの思想 その3

思想の中心にあるもの

たった一つのアウトラインでやっていく、というアプローチ。そこに潜む思想。根底にあるのはなんだろうか。

私たちの意識は、一つである、ということだ。だって、そうだろう。Evernoteのアイデアを思いつくときと、書評記事のアイデアを思いつくときの私の頭は同一である。頭の中の切り分け区画から「EvernoteIdea.App」みたいなものが起動するわけではない。たんに「思いつく」のだ。それもフラットに。

だから、アウトラインでもそうしてしまう。まずはフラットに並べていく。あらかじめ「アイデア」「備忘録」といった項目を立て、それに沿う形で入力するのではなく、むしろフラットに思いついたことを並べていき、そこに生じるパターンに合わせて構造を生み出す。

それがワンアウトラインの思想の中心になる。

ワンアウトラインの思想では、要素をまずフラットに並べるが、それは構造化(階層化)してはいけない、ということではない。

私が脳内で(つまり認識で)「これとこれは同じだな」と感じるものがあれば、それは一括りにしていい。というか、そうするべきだ。なにせそれが意識(認識)の形なのだから。

簡単な導入

よって、いくつかのことが言える。

まず、最初はフラットにアウトラインに項目を書き込んでいくこと。この時点で「良くありそうな項目」で大分類を立てたりはしない。ただただフラットに並べていく。

次に、それを続ける。数を集める。途中簡単な操作をするのは構わないが、10や20くらいで「構造化」しない方がいいだろう。体感では100程度は数を集めた方がいい。

そうして項目が集まったら、設置できる項目を探してみる。探してみるというか、おそらくそれくらいになれば、アウトラインを眺めているとむずむずと項目を作りたくなってくるに違いない。そのむずむずに従って項目を立てれば、それは活きたフラッグ項目になるはずである。むずむず駆動。

そこに辿り着くまでは、項目を単に近づけておくか、あるいはそれっぽいハッシュタグを添えておくくらいで良いだろう。

まとめると、まずフラットに並べ、ある程度数を溜めてから構造化の「序」に取りかかる。そういう段取りである。

注意したいのは、そうしてむずむず駆動で「構造化」に着手したとしても、すべての要素をきれいに構造化する必要はまったくないということだ。ある程度階層化されたものが一方にあり、まったく整理されていない(つまりフラットに並んだままの)ものが大量に残っていい。そういうものは、いずれ新しい項目が書き込まれることで、お仲間を見つけることだろう。

おそらくここで整理欲求と戦わなければならないはずだ。ある部分が階層化され、整理されているならば、他の部分も同じようにそうしたくなる。が、時期尚早だ。むしろ、そういう風に類型に思考を頼るのを止めた方がいい。世の中には分類できないことだっていっぱいあるのだ。

序の次にあるもの

構造化の「序」は、あくまでフラッグ項目を作り、その下に他の項目を配置することである。もちろん、それで終わりではない。中身に手を加えていくことが必要となる。

残念ながら、この部分に関する分析はさほど進んでいない。いくつかのバリエーションがあることは想定できるのだが、それらすべてを網羅できていない。とりあえず、『アウトライナー実践入門』が大いに参考になることを添えておき、判明しているバリエーションだけでも書き記しておくことにする。

simply sort

要素を単純に並べる。並べ方はいろいろある。アルファベット順、時系列。たとえば以下だ。

feeling sort

要素を並べるのだが、感覚に基づいて並べる。たとえば、「近々利用したい要素を上に配置する」という感じ。たとえば以下だ。

documentation

中の要素を使い、文章を作成する。「再生産」に最も近い。これには二つある。一つは、直接アウトライン上で文章を作成する方法。もう一つは、アウトラインに並んでいる項目を参照して文章を作成する方法。つまり、中で行うか、外で行うか。

中で行うと、そのときアウトラインに並んでいる他の全要素が、その文章作成に影響を与える可能性がある(あくまで可能性だ)。対して、それを外に出すと独立したような感覚になる。どちらがいいのかは私はわからない。私は、ある程度アウトライン上で構造化処理を行い、その後はそれを参照して外で文章を書く、というやり方をしている。人によってはもっとギリギリまでアウトラインで進める人もいる。ほぼ備忘録としてしか使わない人もいる。さまざまだ。

このあたりの最適解は示せないし、たぶんある程度は実際にやって試してみるしかないと思う。なぜなら、思いついたアイデアをアウトラインに書き留めたり、それを操作して配置を変更することと、文章を書くことは、基本的に異なる行為だからだ。行為(アクション)が違えば、肉体が求めるUIも異なる。行為は肉体がダイレクトに関係することであり、理念(理性)ベースでは話は進まない。どうしたって使いづらいと感じるものは、使いづらいのである。

※ここから徐々に文章を膨らませていく

さいごに

以上のように「構造化」にもいくつかバリエーションがある。中心となるのは(あるいはそれが目的でアウトライナーを使う理由として挙げられるのは)〈documentation〉であろうが、それ以外にも扱い方はある。ただし、私は物書きを生業としているので、私の利用方法からは、バリエーションの全貌を視野に収めることは難しい。集合知が必要だろう。

ともかくとして、文章を書くことは、アウトライナーの利用の一つのバリエーションでしかない、という視点に立って、アウトライナーの利用方法を捉えたいものである。それがワンアウトラインの隠れた思想でもある。

(つづく、けれども一旦中断)

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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