タスク管理とMP戦略

だいたいにして、認知資源は減っていく。じわじわと酸素ボンベの残りゲージみたいに減っていく。

無意識でできるような行動であれば、その減少はゼロか、限りなくゼロに近くなるだろう。そうでない行動だと、その数字は大きくなる。加えて言うならば、作業そのものよりも、作業に注意を振り分けるときにも結構使う気がする。

  • 難しい作業を実行する
  • 気乗りしない作業に取りかかる
  • 短期記憶に作業内容を読み込む

こんなところだろうか。

まず、「難しい作業」に関しては、作業中ずっと注意を振り分ける必要があるので、ガリガリ認知資源は減っていく。ブレストする、原稿を書くといった作業は、まさに情報操作・記号操作・心象操作であり、MPを使用することになるが、それ以外にも慣れない作業などは、一つひとつの行動に注意を必要とするので、これもやっぱりMPを使用するだろう。

気乗りしない作業に取り組むためには、何かしら「意志の力」と呼べるものを発揮しなければならない。当然、そこでもゲージは減る。この場合の、「気乗りしない作業」には、意欲や意義を感じないものも含まれるが、コンテキスト(モード)の差異が大きいものも含まれる。たとえば、情報カードを書き終えたあと、読書メモを作る作業に移行するのは比較的スムーズなのだが、それが皿洗いだと結構辛い。逆に、乾いた食器を食器棚に直す作業の後ならば、皿洗いには比較的スムーズに移行できる。つまり、作業そのものが持つ難易度の高さではなく、一つ前に行っていた作業が持つコンテキストとの差異が、「気乗りしない」という感覚を引き起こすわけである。

さらに言えば、100%無意識で実行できる作業を除けば、たいていの作業は、今からやることについての内容を思い出さなければいけない。これも、それなりにエネルギーを使うだろう(ただし、これが認知資源と同一視できるかは確定的ではない)。

戦う僕らのMP戦略

ということを踏まえた上での、MP戦略である。なるべくMPを浪費しないようにするためには、どうするか。

まず、すぐに思いつくのは、コンテキストを整えることだろう。スムーズに移行しやすい作業をひとまとまりにしておけば、「気乗りしない」状況を減らすことができる。でもって、それはまさにタスク管理で実現できることだ。

「意欲や意義を感じないもの」は、プロジェクトリストを確認するなどして意義を再確認することで(ある程度は)フォローできる。最終的にそういう齟齬がまったく生じないタスクリストを作るのがベストなのだろうが、世の中そんなことばかりも言っていられないので、鎮痛剤的な対処療法も必要である。

でもって、脱線を極力押さえ込むことも必要である。これはタスク管理よりもタスク実行ノウハウなわけだが、気を散らせるものを遮断したり、タイマーを設定するなどして、一つの時間帯には一つの作業に取り組むようにしておくと、頻繁な短期記憶のリロードを減らせる。これも省エネではあろう。

さらに言えば、「難しい作業」の慣れない要素に関しては、チェックリストを使うことで、使用する注意の量はぐっと減らせる。やってみるとわかるが、たしかなチェックリストがあると、安心感がすさまじい。逆に言えば、それがないときには不安感があるということであり、それがMPを摩耗させている可能性は十分にありうるだろう。

ただし、情報操作・記号操作・心象操作で使用されるMPだけは減らすことができない。それを減らすということは、作業の質そのものを変えてしまうことになるからだ。たしかに、コピペで文章を作ればMPは減らないが、それは求められている成果物ではないだろう(そういう場合もゼロではないだろうが)。情報操作・記号操作・心象操作で使用されるMPを削減するのは、どちらかといえば知的生産の技術寄りの話であり、タスク管理ではサポート的行為のみができることだ。

さいごに

上記のようなMP戦略の話は、「覚えておくべきものを覚えておく」という備忘録以上のものであるし、「効率的な計画を立てましょう」という単純生産性向上以上のものでもある。基本的にこれは、人間の話である。物の管理でも、ロボットのアドミニスレーションでもない。人間、それも「自分」のマネジメントなのだ。

だから、個々の要素には個人差がありうるし、具体的なレベルのノウハウはまちまちになりうる。生命種として見た場合の「人間」には多くの共通点があるだろうが、そこに宿る「自分」は、やっぱり少しずつ傾向が違う。「自分」のマネジメントには、その差異についての配慮が欠かせない。でもって、その性質を知るのは、たいていは自分であり、残されたログなのである(※)。
※だからこそ、他者からは理解されにくいという問題もある。

その点は、努々忘れないようにしたい。

▼こんな一冊も:

タスク管理の用語集: BizArts 2nd
(2017-06-27)
売り上げランキング: 783
Related Posts with Thumbnails
Send to Kindle
Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です