本を一冊書き上げるまえに心がけていること

以下の記事を読みました。

本を一冊書き上げるために心がけていること – 佐々木正悟のメンタルハック

自分は、本を一冊書き上げるまでは、極力「変化しない」ことを心がけます。

非常に単純なことをいえば、最初の一文を書くときに目指していることと、最後の一文を書く頃に目指していることが正反対になっていたら、困ると思うからです。

ちょっと驚きました。だって、私は、まるで逆のことを考えていたからです。つまり、「変化すること」を心がけているのです。もう少し言うと、本を書き始める前の自分と、本を書き終えた自分が、たとえ紙一重であっても、何かしら違いが生じているように本を書きたい、と考えています。もちろん、その変化は、本を書くことによってダイレクトに生じる変化、ということです。

ここまで書いてみて、上の記事に書かれている話とちょっと違うな、ということに気がついたのですが、構わず話を進めてしまいましょう。

たとえばこのブログで、何かの告知記事を書くとしましょう。○月○日、○○が発売です、みたいなやつです。こういうタイプの記事は、私が知っていることを文章に書き写しただけであり、執筆の前後において私の変化は特にありません。もっと言えば、文章を書く行為の中で発見は何も無かったのです。

このような文章を一つの極に置いたとして、私は本を書くことは、できうる限りこの逆でありたいと願っています。つまり執筆を通す中で発見があり、その発見が私を変えてしまう、という風に本を書きたい、と考えています。今、この文章だって、書き始めてみたら、上の記事の趣旨とはちょっとずれているな、ということに気がつきました。極言すれば、そのような変化を求めて、私は本を書いているような部分は少なからずあります。

とは言えです。普通に頭を使って書けば、どうしたってそのような変化は生じるものです。程度の差はあれ、発見がまるでない執筆作業は存在しないでしょう。ということは、その変化をどのように捉えるのか、という点に違いがあるのだと想像します。つまり、なるべく抑制する心持ちでいるのか、それとも積極的に迎え入れる心持ちでいるのか、ということです。

で、実体験から言わせてもらえば、積極的に迎え入れる心持ちでいると、上の記事が指摘するとおり、なかなか本は完成しません。これはもう、見事に、その通りです。書いているうちに書いている主体が変化するのですし、その主体が全体を決めるのですから、仕事を一つ終えるたびに、最終目標を変えてくる上司がいるような状況になってしまいます。これでは予定通りに進めるのは難しいでしょう。

つまり、締切を守るということを一つのテーマとするならば、変化を抑制するような心持ちであった方がよいだろう、という推測は成り立ちます。ただ、あくまで心持ちであるので、それをいかに実現するのかはまた別にノウハウとして考える必要はありそうですが、指針としては受け入れやすいものです。

しかしながら、それはそれとして、ソフトウェア開発におけるアジャイルなシステムで本を書いていくことはできないだろうか、という願いもあります。変化のリスクを引き受けながら、締切が守れてしまう、魔法のようなシステム。何かそういったものがあれば、締切と変化への欲求に折り合いがつけられる気がします。まあ、気がするだけですが。

とりあえず、心がけの話に戻れば、私の場合、変化があるように書く、という一つの指針があり、そうであっても「いつまで経っても1ページもかけなかった」という状態に陥らないために、「とりあえず1ページ書いてしまう」という別口の指針があります。この場合の「1ページ」はあくまでシンボルなので何文字だって構わないわけですが、ようするにまずはちょっと書いてみる、ということです。

で、そうやって書いても、書いているうちに変化してくるので、その「ちょっと書いた」ものも書き直す必要が出てきます。で、まあ、それでいいんじゃないかと考えています。そうやって書き直しても、また書き直す必要が出てくる可能性があるのですが、その時はまた書き直します。スマートさのかけらもないやり方ですし、これだって締切に間に合う保証は皆無ですが、少なくとも、「何一つ原稿ができていない」という状態だけは避けられます。これはこれで大きいことだと個人的には感じます。

まず、小さく書く。固められる部分は固めてしまう。それを受けて、全体を調整する。でもって、小さく書く。固められる部分は固めてしまう。それを繰り返して進んでいく、というのが今の所のR-style執筆styleです。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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