〈気にすること〉を切り分ける形でリストを作る

GTDには、〈いつかやる/たぶんやる〉ことを保管するためのリストがあります。で、このリストに「気になったこと」を入れるということは、二つの意味があります。

一つは、それは「ゴミ箱」にも「カレンダー」にも「プロジェクトリスト」にも「次にとるべき行動リスト」にも「連絡待ちリスト」にも「資料フォルダ」にも「プロジェクトの参考情報」にも入れないということです。

さらにもう一つは、そこに入れたら、当面はそのことを気にしないということです。

今、至極当たり前のことを書いていますが、実際の運用ではまさにこの点が問題になってきます。

どんな頻度で確認したいか

私は、Evernoteに「stock」という名前のノートブックを作っています。そこに入るのは、「当面気にする必要はないけれども、完全には忘れたくない行動」です。たとえば、「行ってみたいお店」とか「東京に行ったら会いたい人」とか「物欲リスト」みたいなものがここには入ります。

あるいは、「押し入れの大掃除がしたい」とか「iTunesで○○というプレイリストが作りたい」とか「オンライン麻雀で”ラシタ杯”を開催したい」とか、細々こまごましたものも入っています。

さて、これらの情報は何でしょうか? もちろん、いつかやる/たぶんやることです。あるいはそうしたいことです。では、いつかやる/たぶんやることである、というのはどういうことでしょうか。

こう考えてみましょう。私は、上記のような情報をどのように扱いたいのか?

毎日確認したい? 
ノー。

毎週確認したい?
ノー。

そうです。簡単なことなのです。「当面気にする必要はないけれども、完全には忘れたくない」のです。あるいは、逆に言いましょう。「完全には忘れたくないけれども、当面気にしたくはない」のです。

だから私は、上記のような情報は、デイリータスクリストにも、プロジェクトリストにも、カレンダーにも加えません。それらは、それぞれのタームやタイミングで「気にする」ためのツールだからです。

デイリータスクリストに入れるということは、その日一日はそれについて気にすることを(そして、それを自分に課すことを)意味します。なぜなら、私は日中デイリータスクリストをずっと参照するからです。プロジェクトリストであれば、最低でも一週間に一回は気にすることを意味します。なぜなら、私は週次レビューでプロジェクトリストを確認するからです。

同様に、私が「stock」ノートブックに入れるものは、「これは月一程度で確認できれば十分だな」と思ったものです。なぜなら、私は月次レビューでstockノートブックを確認するからです。

「この情報は、この程度の頻度で気にしたい」という私の欲求(ニーズ)があり、それに対応するツール(入れ場所、リスト)がある。そういう形です。でもって、そのツールが機能するのは、私の運用上のルール(週次レビューや月次レビューを行うこと、あるいはデイリータスクストを参照しながら作業すること)があるからです。

このどれが欠けても、満足行く運用にはなりません。

難しい自問

単に情報の形式で見れば、「プロジェクトリスト」や「企画卵ノート」(書きたい本のアイデアが入っているノートブック)に入っているものと、「stock」に入っているものは、区別がつきにくいものです。たとえば、「押し入れの大掃除がしたい」は、おそらくは「押し入れの大掃除をする」というで入力・保存されるでしょうし、それはまったくもって「プロジェクト」です。複数の段階からなる継続性のある行動。

でも、それは「プロジェクトリスト」に掲載されることはありません。その行動にコミットするつもりも、時間的余裕もないからです。

もちろん、家を綺麗に保つといったような目的からすれば、「押し入れの大掃除」は行ってしかるべき行動でしょう。で、この「べき」こそが、タスク管理に大問題を生じさせる原因であります。

GTDのワークフローでは、inboxに入ったものに対して一番最初に問われる問い__「これは何か?」__に続くのが、「行動を起こすべき?」です。

そう。「押し入れの大掃除」は行動を起こすべき事柄です。だって、その方が家が綺麗に保たれるのですから、やった方がいいでしょう。だから、やるべきかと問われれば、やるべきだと答えたくなります。つまり、日本語的表現では、「やった方が良いこと」は「やるべきこと」として扱われがちなのです。

しかし、改めて回想してみると、私の頭に浮かんでいたのは、おそらく「押し入れの大掃除がしたい」とか「押し入れの大掃除はやっておいた方がいいな〜 #近々」みたいなことだったはずなのです。そこまで切実に、大掃除にコミットしようとしていたわけではありません。

しかし、inboxに入れる際に「押し入れの大掃除」という形で保存してしまうと、それを後から判断するときに、安直に判断が行われれば__なにせやった方がいいことではあるのですから__プロジェクトリストに加えられてしまいます。

結果的に、プロジェクトリストには、自分が最低でも週一回気にしたいことと、なんとなくやった方がいいな〜と感じていることが混ざり合い、そのリストのコンテキストは融解していきます。すると、そのリストは意味を失います。たぶん週一回の確認すらしたくなくなるでしょう。『タスク管理の用語集』で口を酸っぱくして書いている〈混ぜるな危険〉というのは、そういうことです。

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でもって、リストを混ぜないためには、「行動を起こすべき?」の自問に慎重に答える必要があります。この問いへの答え方こそが、リストが混ざるか、そうではないかを切り分けるからです。

さいごに

どんな名前のリストを作ってもぜんぜんOKです。

ただ、そのリストをどの程度の頻度で確認するのかをまず意識し、その上で、それぞれの情報をどの程度の頻度で確認したいのかを確認してリストに振り分けることが大切です。でないと、リストはすぐさま機能不全を起こします。

作成されるリストの機能は、まだ誰によっても定義されておらず、まさに自分自身がその定義者となります。あやふやな感じでコーディングを進めるプログラマを想像してください。作り込んでいくうちに一つの関数があれもやりこれもやりとなって、変数がむちゃくちゃになる……みたいな状況と同じようなことが、リスト作りにも起こりえます。

明確な一つの役割を持った関数を作るのと同じように、リストも運用していきたいところです。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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