タスク的とプロジェクト的

前回的な:タスクとアイデアは(似ているようで)違う


行動は状態を求めて為される。

喉が渇いたから、キッチンに行って、水を飲む。机の上が散らかっているので、書類をシュレッダーにかける。どれも、現状とは違う状態を求めて、行動が発露される。現状が漸進的に変化している場合、現状を現状のままに止めておくために行動が発露されることもあるが、構図は同じである。

そのような行動は、大きく二種類に分けられる。タスク的なものと、プロジェクト的なものである。

上がタスク的なものであり、下がプロジェクト的なものである。前回にも書いたが、タスク的なものを何と呼んでも構わないし、プロジェクト的なものを何と呼んでも構わない。あくまで、そういう種別の情報カテゴリが存在していることが認識されれば良い。

では、タスク的なものとは何か。求めている状態に一直線にたどり着けるものだ。夜中に目を覚まし、喉の渇きを潤そうと思ったときには、ほとんど何も考えなくてもそれを達成できるだろう。「まず、布団から抜け出て、地面に足をきちんと付けて、右足を一歩前に出し……」みたいなことは考えないはずである(例外はある)。

しかし、もし目覚めたのが地下ダンジョンの3階で、4階にしか飲み水が湧き出る泉がない場合は、武器を装備したり、ランタンを準備したりする必要があるし、そこには意識的な何かが必要となるだろう(ただし、熟練の冒険者なら話は別である。彼らは、呼吸をするようにそれらの動作ができるから、ほとんど一直線に泉に向かえる)。

まず、ここで確認しておこう。求めている状態に至るために、一直線でそこに向かえるのと、複数のステップが必要なものがある。前者がタスク的なものであり、後者がプロジェクト的なものである。

目的の階層性

ここで行動と目的について考えてみる。

たとえば、喉が渇いたから水を飲むという行動は、「自分の健康を維持するため」というさらに上位の目的を持つ、と言ってしまえる。別段水を飲むときに、「これをすることで自分の健康が保たれるのだ」と意識はしていないだろうが、あえて情報をカテゴライズすれば、そのように位置づけることは別段間違いではない。

同じように、押し入れを片付けることも、取引先にお礼のメールを送ることも、目先の「求めている状態」よりも、上位の目的が設定可能である。つまり、階層的なのだ。GTDで「高度」と呼ばれる概念が、これに対応している。

この場合、行動と「求めている状態」の関係は、Googleマップの縮尺のようになるだろう。グンとズームインしていけば、「取引先にメールを送る」になり、ブーンとズームアウトしていけば、「出世する」や「世界に笑顔を増やす」とかになる。

で、これがどこまで縮尺変更できるかと言うと、小さい方は、「一直線で求める状態まで至れるもの」であり、大きい方は「生きる」である。もちろん、理論的にはこれよりも小さくしたり、大きくしたりはできる。小さい方は、「右手を15度ほど傾け、人差し指でjのキーを叩く」みたいなところまで、大きい方は、「宇宙の意志」みたいなところまで拡張できるが、そこまでの拡張は実際的な意味を持たないだろう(もちろん何事にも例外はある)。

で、その「一直線で求める状態まで至れるもの」をタスクと呼び、それをタスク管理の最小単位にする、言い換えればタスク管理の出発点にしようではないか、というのが『タスク管理の用語集』で触れた話である。

極めてトートロジーではあるが、「人間は取れる行動しか取れない」のであり、管理の最小単位はやはり「取れる行動」にすべきであろう。それ以上の「求めている状態」ももちろん管理するのは構わないし、必要でもあろうが、それはあくまで階層的に上の話である。

これが、『タスク管理の用語集』でサブ・タスクという概念を別段紹介しなかった理由である。すべては階層的であるので、サブ・タスクを導入すると、サブ・サブ・タスクや、サブ・サブ・サブ・タスクが容易に発生してしまい、タスクとは何であるかの概念が薄まってしまう。それらのタスク群をまとめるものをプロジェクトと呼んでも、ミッションと呼んでも、ゴールと呼んでも構わないが、意識を向けたいのは、「実際の行動」なはずである。サブ・サブ・サブ・タスクみたいな言い方は、そこに混乱をもたらすのではないだろうか。

「求めている状態」があり、それが一直線で達成できるならそれをタスクとして扱えばいいし、どうもそうはいかないぞ、という場合は、そこに至るために必要な行動について分析してみる、つまりプロジェクト化してみる。それでずいぶん見通しがよくなる。

もし、求めている状態が、グレイトに大きいのならば、複数の段階的なプロジェクトを必要とするだろう。それはやはりミッションとか何かそう言った呼び方をされるはずである。私は、複数のプロジェクトを発生させるものを〈founderプロジェクト〉と呼んでいるが──「月刊くらした」計画が〈founderプロジェクト〉で、「月刊くらした」計画ZZが〈プロジェクト〉である──、そういうのは自分のタスク管理システム内で勝手に呼称すればいいだけの話だ。

重要なのは、一直線で求めている状態に至れるものとそうでないものがあり、そうでないものには階層性がある、という二つのポイントである。さらに言えば、階層の違うものを同列に並べたり、扱ったりするとうまくいかない、という話もある。「偉大な画家になる」というミッションを抱くのは結構だが、毎日のタスクリストに「偉大な画家になる」と書いても、これはどうしようもない(目標を再確認する意味はあるだろうが)。その目的のために実際に取れる行動をリストに書き込む必要があるのだ。

もちろん、リストに書き込んだからといってその行動が実際に取れるとは限らないのだが、それはタスク管理のまた別の側面の話である。まず、「行動」を扱う意識を持つこと。それが出発点であろう。

▼こんな一冊も:

タスク管理の用語集: BizArts 2nd
(2017-06-27)
売り上げランキング: 1,733
Related Posts with Thumbnails
Send to Kindle
Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です