タスクとの心理的な距離を改善する

一日の作業を、タスクリストを参照しながら進めていくと、ずらっと並んだタスクを上からこなしていくことになります。たいていは順調に進むのですが、ときどき「なんとなく嫌だな」と感じるものが出てきます。いや、「嫌」という言葉は少し強すぎるかもしれません。なんとなく心理的距離を感じる、というくらいのものです。

別に疲れているわけではありません。タスクリストの別のタスクなら着手しようとする気持ちはあるのです(そうでなければ、さっさと寝るべきでしょう)。単に、そのタスクに限ってだけ、取りかかろうという気持ちが湧きにくい、という状況です(こういう対比による状況把握は、単に頭の中だけで進めていてもなかなかわからないもので、リストを使っているからこそだとは言えるでしょう)。

そこで、考えます。「一体なぜ、自分はこのタスクに嫌気を感じているのだろうか」と。

答えはいろいろあるでしょうが、私の場合は、大きく二つの傾向があります。一つは、「具体的に何をするのかが決まっていない」。もう一つは、「作業のステップが煩雑」。この二つです。

paragraph 具体性の欠如() {

前者からいきましょう。たとえば、メルマガの連載に「今週の一冊」という本を紹介するコンテンツがあるのですが、タスクリストに「メルマガ-今週の一冊」とだけあると、高い確率で「なんとなく嫌オーラ」が発生してきます。

なぜかと言えば、具体的にどの本について書くのかが決まっていないからです。で、具体的にどの本について書くのが決まっていないということは、どの本について書くのかを決めなければいけないということであり、それは認知資源使用の可能性を匂わせます。これが嫌気の発生源です。

もし、その週に読んだ本が一冊しかなければ、「メルマガ-今週の一冊」のタスクが意味することは自明であり、嫌気オーラも発生しないでしょう。しかし、複数の候補があり、それぞれが「どれも可能性がある」とすると、紛糾する国会ぐらいに面倒な状況に引き込まれます。

脳は、あまりそういうところに近づきたくないので、タスクに取りかかる気持ちが湧いてこないのでしょう。

}

paragraph 作業の繁雑さ() {

次に後者です。「作業のステップが煩雑」は、もちろん感覚的なものではありますが、たとえば、「テキストファイルを新規作成し、○○フォルダの○○フォルダの○○フォルダに入っている、Scrivenerの○○ファイルを開き、その中の○○テキストを開いて、それをコピーして、テキストファイルに貼り付けて、リライトする」みたいな作業は、漠然とではありますが、「なんとなく面倒オーラ」が発生してきます。

文章関係の作業の中では、リライトは比較的心理的障壁は低いものです。少なくとも、まったくの書き下ろしよりは、手がける気持ちになりやすいことは間違いありません。上の話(paragraph)をcallすれば、「具体的に何をするのか」は明確だからです。しかし、それがどれだけ明確でも、そこに含まれている作業の中に、心理的に面倒なものが含まれていると、総体としてのタスクにも面倒オーラが生じ始めます。

これはEvenroteの検索についても似たようなことが言えて、ノートブックの選択など、単一のステップで情報が取り出せるならひどく簡単に着手できるのですが、3〜4のステップを踏まないと該当の情報にアクセスできない予想が立つと、「まあ、いいか」という気持ちになってしまいます。

しかし、実際にやってみるとそれらのステップは、言うほど面倒なものではありません。だいたいは細かい作業の積み重ねです。しかし、感覚として、それが面倒に感じられるともうダメなのです。一気にタスクと自分の距離が開いてしまいます。

}

さいごに

上記のような発見があると何がよいのかと言えば、上記のようなことが起こらないように、あるいは起きにくいように環境を調整しておけるようになることです。

  • タスクリストに書き込むときは、具体的な内容まで決定しておく
  • 決定しきれないなら、「えいや」でとりあえず決める
  • よく使うファイルなどは「1ステップか2ステップ」程度でアクセスできるようにしておく

こういう話は、仕事術・情報整理術でよく出てきます。理屈としても頷けることが多いでしょう。が、理屈だけではダメなのです。実際に自分でタスクリストに書き込んだタスクの億劫さを感じ、それを改善するための手段として使わないと、上記のようなことをする「意義」は感じられないでしょう。そして、意義が感じられなければ続かないのが、人の常です。「ああ、なるほど。たしかに変わったな」という感覚が、案外大切です。

とりあえず、タスクリストを使うと、自分とタスクとの距離が感じられるようになります。それをベースに改善を進めていくことは、すべてをやる気の問題にしてモチベーションを高く高く上げることで車輪を回そうとするよりも、ずいぶんマシなのではないかと思います。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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