雑多なインボックスと頭の中

段階を追って考えていきましょう。

仕事場のインボックス

オフィスに机があり、その机の上に3段のトレーが置いてあります。入ってきた書類のうち、未決済のものが最上段に置かれ、保留中のものは中段、処理済みのものは最下段に置かれます。明らかに必要ないものは、ダイレクトにゴミ箱に入れてしまえばよいでしょう。

わかりやすく、シンプルな構図です。

メーラーのインボックス

仕事で使っている電子メールのインボックスはどうでしょうか。そこにはメールが入ってきます。それも多様なメールが入ってきます。明らかに自分宛のメールもあるでしょうが、ついでとばかりに「宛先」に加えられたメールもあるでしょう。でもって、そのアカウントで何かのサービスに登録していたら、ダイレクトメールまで飛び込んできます。

雑多です。

こうなると、振り分けに少々時間を取られるようになります。また、振り分けとは判断であり、判断には認知資源が使われます。脳が疲れるわけです。さらに、あらゆる判断には間違いの余地があるので、メール処理がうまくいかないときだってあるでしょう。これまた疲れそうな話です。

自動処理などで、ある程度は目に触れないようにすることもできるでしょうが、多少雑多になったインボックスの整理にはコストがかかるようになります。

Evernoteのインボックス

「思いついたこと」を書き留める場所としてEvernoteを使っていると、さらに雑多になります。いやむしろ、混沌と表現した方が良いかもしれません。情報のるつぼ、という言い方もできるでしょう。そこでは、あらゆるものが混濁としています。

書類もメールも、誰かが作ったアウトプットです。そこには、なんであれ一定の「規格化」が行われており、それが処理の判断を補助します。「ダイレクトメールなら、すぐに捨ててしまおう」という判断は賢明でしょうし、それをアルゴリズム的に運用することもできます。

が、「思いついたこと」は、内部からの情報であり、その段階では「規格化」はまったくほとんど行われていません。むしろ、その規格化を行うのは自分自身の役割です。

言い換えれば、「思いついたこと」を書き留めるインボックスは、規格化される前の情報が集まることになります。その人が毎日水素原子の構造についてしか思いつかないなら話は簡単ですが、人の頭はだいたい連想的であり、領域横断的でもあります。つまり、仕事のこと、プライベートのこと、自分の将来のこと、自分の家族のこと、地球のこと、貯まっているゴミ箱のこと、冷蔵庫に冷えてあるプリンのことなどについて考え、何かを思いつきます。

それらはジャンルも違えば、粒度も、レイヤーも、違います。そういうものがインボックスという名の場所に一列に並ぶことになるわけです。よって、「思いついたこと」を書き留める習慣は、まずそうした雑多さを受け入れる必要があると言えるでしょう。そして、その整理が一筋縄ではいかないことを了承する必要もあるでしょう。

少なくとも、オフィスの書類受けのように、発生するものがあらかじめ規格化されていて、処理の判断がしやすいものとは、ひと味違った運用が必要になる、という心構えはあった方が良さそうです。

さいごに

処理するのが簡単な情報もあれば、そうでない情報もあります。

人生をシンプルにしていけば、身の回りの情報すべてが処理が簡単な情報になっていくのかもしれませんが、そうではない可能性もあります。なにせ起こることすべてをコントロールすることなどできないのですから。

だからこそ、雑多なものを扱う手腕を身につけておきたいところです。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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