0-知的生産の技術

『アイデア大全』オススメ技法 〜第Ⅰ部編〜

42個もの発想技法が紹介されている『アイデア大全』の中から、実際に私が使っている技法(あるいは近しい技法)をピックアップしてみようと思います。

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数が多いので、第Ⅰ部編と第Ⅱ部編に分けるとしましょう。まずは、第Ⅰ部編から。

バグリスト

不快なこと、不具合、困ったこと、あったらいいな。

そうしたものは小まめに書き留めています。先々月発売した『タスク管理の用語集』も、タスク管理の言葉がバラバラに使われていることの不満が制作の出発点になっていますし、雑誌「かーそる」も、こういう雑誌が読みたいのにない、という気持ちが創刊の動機づけです。

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つまるところ、不満というのは、そこに「ないもの」を見るという行為であり、新しいものを生み出す原動力とアイデアになりえます。しかもそれは具体的かつ実際的なので、抽象的な混乱や〈受け手不在〉に陥りにくいのもポイントと言えるでしょう(あなたが火星人なら、地球人受けするアイデアを思いつくとは限りませんが)。

『Dr.Hack』のハカセもこう言っています。

「できるかぎり、《困ったこと》を記録していくこと。それが改善の手助けになってくれる」

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当然、世の中に対してぐちぐち不平をつぶやくだけでなく、「どうしたら、そこに改善を加えられるか」について考える(発想を広げ、深める)ことが必要であるのは言うまでもありません。

エジソンノート

古くはミニノートで、最近ではEvernoteで書き続けています。ともかくメモする。自分の思い付きを書き留め、それを見返す。他人の良さそうなアイデアやアウトプットを収集し、インスピレーションの源とする。最近では、ブログやTwitterがそうしたアイデアノートの延長(あるいは拡張)となっていますが、やっていることは基本的に変わりません。

で、『アイデア大全』にも書いてある通り、これは一朝一夕ではたどり着けない代わりに、一度積み上げてしまえば、他の人には簡単に真似できない資産になります。『ハイブリッド発想術』で「アイデア地層」と呼んだのは、そうした蓄積行為の結果得られる果実のようなものです。

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P・K・ディックの質問

『アイデア大全』では、「それは、本当は何なのか?」という自問が紹介されていますが、私は「もし、それが本当だったら?」という自問をSFを書くときに使います。

現実の物事・出来事に対して、「〜〜では、○○が起きない」という分析をしたときに、「もし、〜〜で○○が起きるような世界だったとしたら、それはどのような世界になるだろうか」とイメージするわけです。そのイメージがSF作品を書くときのエンジン(あるいはガソリン)になります。

たとえば、「アルゴリズムでは、適切なブックリコメンドを100%達成することはできない」と分析したら、「もし、自分が次に読むべき本を一冊一冊適切に教えてくれるアルゴリズムがあるとしたら、それはどのような世界になるだろうか」とイメージするわけです。いかにもSFな世界が広がりそうですね。

コンセプトファン

書籍の初期アイデア(たたき台とも言う)を固めるときには、A4程度の用紙を横に向け、中心に本のタイトルを書き込み、そこから放射線状に関連する思いつくことを書き込んでいきます。正当なマインドマップスタイルを使うときもありますが、大抵は単に乱雑にキーワードを書きつけ、書きつけたキーワードからさらに思いつくキーワードを書き、書き散らかしたキーワード同士の結びつきを考える、というようなプロセスを行うだけです。

その際は、内容に関するキーワードだけではなく、「なぜその本が必要なのか」「その本はどのように説明を組み立てるのか」というった、メタな内容も含めて、記述を広げていきます。しかも大抵は、何度もこれを書きます。大半は同じような内容が書かれますが、ときに違った内容が引っ張り出されることもあります。そうして徐々にコンセプトを膨らませていくことが、(私の場合)工程の初期には必要です。

仮定崩壊&問題逆転

これは非常によく使う思考アプローチで、何か問題を発見したときに、そのまま解決に向かうのではなく、問題を問題たらしめている前提が本当に正しいのか、あるいは変化させられないのかを考えたり、問題として出ているネガティブな結果──ネガティブな結果が出ているから問題と認識されるわけです──を、むしろポジティブに捉えられないのかを考えたりします。

こういうことを常に考えていると、(『勉強の哲学』的に)周りから少し「浮いて」しまうわけですが──一種のアイロニーとして機能するわけです──、これまでそこになかったものを生み出すには、最適な思考回路と言えるのかもしれません。

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ようするにアイデアというのは、世間一般の認識として、

□→○(□と言えば、○)

となっている流れとは別の流れを発生させることであり、そのためには問題を問題たらしめている「問題化」そのものについての眼差しを持つことが必要となります。

さいごに

今回は、第Ⅰ部編として5(あるいは6)の技法をピックアップしてみました。

振り返ってみると、まったく同じ手法でやっているのではなく、自分なりのアレンジが施されているものが大半です。でも、発露している思考のパターン自体は同じ、というのがポイントになるでしょうか。むしろ、パターンを共有しつつ、そこに自分なりの実装のアレンジを加えることが、発想技法において重要なのかもしれません。

次回は、第Ⅱ部編をお送りします。

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