なぜなに”知的生産” 〜よくわかるKJ法3〜

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どっか~ん!

なぜなに”知的生産”~!

「お〜いみんな〜、集まれ〜。なぜなに”知的生産”の時間だよ〜!」
「わ〜い! ねえねえ、お姉さん、今日はどんなお話をしてくれるの?」
「今日はね、KJ法の本丸に切り込むよ!」
「やった〜〜!」
「じゃあ、さっそく始めましょう」

(シーン切り替え)

発想法 改版 - 創造性開発のために (中公新書)
川喜田 二郎
中央公論新社
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グループ編成

記録ステップ記録ステップが終わったら、次はグループ編成ステップに移ります。

このステップでは、記録ステップで作成した見出し[項目、要素、その他]を用い、それを再編していきます。ここでは記録ステップでたくさんの紙片を作成し、その上に見出しを書き込んだとして話を進めていきますので、別のツールを用いた場合は便宜読み替えてください。

まず、その紙片を大きく拡げます。テーブルもしくは壁、適切な場所がなければ畳やフローリングの上に直接並べても良いでしょう。それぞれの紙片が重ならないように、しかしすこしのゆとりを持って配置していきます。このときの順番は適当で構いません。むしろ適当の方が良いでしょう。ともかく全紙片を一望できるようにします。

次に、それらの紙片全体を眺めていきます。端からでも真ん中からでも構いません。このとき、いちいち細かく「読んで」いったのでは時間がいくらあっても足りません。だからこそ、記録ステップでの見出し化(コンセプトメイキング)が重要になってきます。適切に見出し化されていれば、「読む」のではなく「眺め」ていけます。
※書店で雑誌の表紙を「眺める」感覚に近いかもしれません。

すると、やがて内容的に近さを覚える紙片同士が見つかります。その紙片同士を近づけ小グループを作成するのが、グループ編成の第一段階です。この作業を、川喜田氏は以下のように表現しています。

やがて紙きれ同士のあいだで、その内容の上でお互いに親近感を覚える紙きれ同士が目についてくるだろう。「この紙きれとあの紙きれの内容は同じだ」とか、「非常に近いな」と感ずるもの同士が目にとまる。そう気がつけば、その紙きれ同士をどちらかの一カ所に集めるのである。

これを繰り返すことで、全体の中に、たくさんの小グループを作成していきます。

一見簡単な手順ですが、案外わかりにくい点があります。それが、グループ化の基準が「親近感を覚える」という感覚に依っているところです。この基準は、あまり「マニュアル向き」ではありません。しかし、この基準を、論理に基づくルールに還元することは不可能です。むしろ、ここにこそKJ法が「発想法」たる理由があります。

紙片Aと紙片Bが「何かしら近い」と感じること。それは、KJ法実行者の認識の中にある情報構造(あるいはパターン化基準)に呼応する何かがあった、ということです。

ある人はテーブルと椅子を「近いもの」と感じるかもしれませんし、別のある人はテーブルと食事を「近いもの」と感じるかもしれません。何を「近い」と感じるのかは、個々人が持つパターンに依るのです。

その認知の力(パターン化の傾向)を用いて断片を再構成するのがKJ法であり、その認知の力(パターン化の傾向)には個々人ごとの違いがあるからこそ、KJ法の出力は人によって違ってきます。つまり、これは、アルゴリズムではありません。発想法なのです(※)。
※両者の相違(あるいは類似)について考察するのはまた別の回にしておきましょう。

よって、先行的に「こういう類似点があったら、グループ化しましょう」とルーリングはできませんし、それをしてしまえばそれはもはやKJ法ではなくなってしまいます。あくまで、KJ法実行者が紙片を眺め、「これとこれは近いぞ」と感じたものを集めることが肝要です。

この点が、KJ法についての勘違いをよく発生させています。KJ法はすべての紙片の組み合わせを試すようなことはしませんし、機械的基準によって紙片をグルーピングするわけでもありません。その人が「近い」と思う(感じる)ものを集めるのです。でもって、それは、究極的に言えば、紙片を使わない発想とやっていることは同じです。無意識化のパターン化の傾向を用いて、インプットした(見聞きした、脳内に蓄積された)断片的情報に新しいグルーピングを与える。これが発想です。あるいは着想の源です。それと同じ作業を、外部記憶ツール(この場合は紙片)の助けを借りることで、実施しやすくしているのがKJ法なわけです。

そうした外部記憶ツールを使うことで、記憶力が天才的でない人もたくさんの断片的情報が扱えるようになりますし、単に人間の記憶力以上の情報を扱えるようにもなります。さらに、複数人のブレストの結果を利用することもできます。つまり、発想作業を孤高の天才のみが行える作業から、(複数の)凡人でも実行できる作業に変換することが、KJ法を代表とする発想法の役割なのです。

少し脱線が過ぎましたので、続きは次回としましょう。小グループを作成したのちの作業について紹介する予定です。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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