なぜなに”知的生産” 〜よくわかるKJ法5〜

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どっか~ん!

なぜなに”知的生産”~!

「お〜いみんな〜、集まれ〜。なぜなに”知的生産”の時間だよ〜!」
「わ〜い! ねえねえ、お姉さん、今日はどんなお話をしてくれるの?」
「今日はね、グループ編成の再帰適用についてだよ!」
「やった〜〜!」
「じゃあ、さっそく始めましょう」

(シーン切り替え)

発想法 改版 - 創造性開発のために (中公新書)
川喜田 二郎
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再帰的適用

前回では、たくさんの紙片を小グループに分け、それぞれに「見出し」(表札)を作成する、という手順を紹介しました。今回は、それが一通り済んだ後の話になります。

小グループの編成がだいたい終わったら、次はその小グループを一つの紙片と見立て、中グループの編成に移ります。やること自体は小グループの編成と変わりありません。近しいと感じる紙片たちを集めていきます。当然、中グループを作ったらそこにも「見出し」を作成します。このとき、小グループと見分けがつけられるように文字色を変えておくのがよいでしょう。

そうして中グループの編成が終われば、今度は中グループを一つの紙片と見立て、大グループを作成します。大グループの見出しもまた、中グループとは見分けがつくように色や文字装飾を変えておくとよいでしょう。

最終的に五〜十個程度にまとまった大グループにも、一つの「見出し」を与えます。そしてそれが、全体を包括する主題となります。

つまり、紙片全体にグループ編成の手順を施し、それを再帰的に繰り返していくことで、少しずつ大きなグループを作成していく、といのがKJ法におけるグループ編成で、それがボトムアップアプローチの最大の特徴でもあります。

グループ編成の注意点

ここで、川喜田氏が触れている、注意点を紹介しておきましょう。

  • 離れザルを無理矢理まとめない
  • 中途半端なボトムアップに気をつける

離れザル問題

小グループを編成しようとしていると、どうしてもうまい仲間が見つからない紙片が出てくることがあります。そういうときに、「君はとりあえず、このグループに参加しておこうか」などとおせっかいをしない方がよいと、川喜田氏は説きます。

グループに入らないことにはきちんと意味があり、中グループや大グループ編成時のどこかではしかるべき居場所を見つけられるから、そのときはそっとしておく方がよいというわけです。何かしら人間の扱い方にも同じことが言えそうですね。

中途半端なボトムアップ

もう一つ大きな問題が、中途半端なボトムアップです。

KJ法を進めるときには、まず紙片を小グループに分類し、そこから中グループ、大グループと少しずつ大きくなっていくわけですが、それとは逆に、まず大きなグループを考え、そこから中→小と進めていくこともできます。しかし川喜田氏はこれを「専制的」な進め方として否定しています。少し長くなりますが、『発想法』から引用してみましょう。

それは自分の心のなかに、「これだけの紙きれの資料は、自分の考えによれば、内容的に市場調査・品質管理・労務管理と三つに大きく仕切るのが正しい」などというたぐいの、グループ分けについての独断的な原理をあらかじめ頭の中にもっているからである。その独断的な分類のワクぐみを適用し、そのできあいのワクの中にたんに紙きれの資料をふるい分けて、はめこんでいるにすぎないのである。これではKJ法の発想的意義はまったく死んでしまう。

KJ法が「発想法」として位置づけられるのは、紙片群の「語り」に耳を傾けることで、そこから新しい主題を浮かび上がらせる(新しい主題を見出す)からであって、すでに自分の中にある知見に資料を当てはめるだけでは、単なる情報整頓法に過ぎません。

というのは理屈としてはわかるのですが、川喜田氏が「実際にやってみると、しばしば大分けから小分けにもってゆこうとする人がいる」と書いているように、一見小分け→大分けに進んでいるように見えて、その実頭の中では先に大分けが機能している場合があります。

実際、私も似たような失敗を幾度か経験してきました。『かーそる 2017年7月号』のTak.氏とのインタビューでも触れていますが、文章を集め、それを再編しようとする際、それぞれの文章の近さではなく、むしろ頭の中に先駆的に存在しているカテゴリに合わせて文章を集めてしまうのです。

そうして生まれる文章の塊は、図書分類法的というか、静的というか、「うん、まあ、そうだろうね」的というか、簡潔に言えば、面白みの欠けたものになりがちです。これが(私が命名したところによると)中途半端なボトムアップというものです。

紙片を使うKJ法でも、小グループを作っているときに、もうすでにその先にある大グループを見据えて作っているようなときは、中途半端なボトムアップになっていると考えてよいでしょう。これはしっかり頭に留め置きたいところです。

以上二つの点に注意して、グループ編成を進めていけば、KJ法の力を発揮させられるはずです。次回は、そうして全体のグループ編成が終わった後の手順について紹介しましょう。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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